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年金「75歳」説の誤解。むしろ8割増の明るい未来がやってくる
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171203-01433028-sspa-bus_all
週刊SPA! 12/3(日) 16:00配信
10月に行われた衆院選では圧勝した自民党だが、2018年は春に日銀総裁人事、秋には自民党総裁選があり、その先には2019年10月の消費増税が控えている。自民は今後、10%への消費増税を行う見込みで、増税分は年金や子育てなどの社会保障関連に充てることが決まっている。社会保障の充実のための消費増税であるが、将来不安はぬぐえない。理由には、「人口減少」「少子高齢化」「実感なき景気回復」といった漠然とした将来不安があるからだろう。
「人口減少・少子高齢化社会というのは必ずしも楽観できる社会ではないですが、実は国による対策は意外と講じられています」と話すのは、経済解説者の細野真宏氏。国がすでに行っている対策とは何か?
「これまで世界のどの国でも『人口が増える』ということを前提に経済の仕組みがつくられてきました。しかし、これからの日本は誰も経験したことのない人口減少・少子高齢化社会に突入し、その対策を行うことは史上初の試みでもあります。ただ、実は対策はそれなりに打たれてきています。象徴的なものは年金制度です」
◆年金「75歳」説は誤解!?
年金といえば、65歳からもらえるのを「75歳」に引き上げる議論が出ている。一部メディアでは、「すでに実質破たん状態で、75歳支給開始で、夫婦で2655万円減る」とも報じられている。
「それは初歩的な間違いです。実は日本の年金制度は2004年の段階で、この先の少子高齢化社会に対応できる仕組みに変えられています。75歳に引き上げる議論が出て、『年金は75歳になってからでないともらえなくなる』と不安を抱えている人は多いのではないでしょうか。ただ、それは間違った情報で誤解なのです」
では、「年金は75歳からもらえる」とは、どういう話なのだろうか?
「日本の年金の仕組みは65歳をベースにしていますが、昔のように60歳から早めてもらうこともできます。もちろん、遅らせて70歳からもらい始めることもできます。ただ、日本は世界有数の長寿国で、健康でいられる健康寿命もWHO(世界保健機関)の調査で世界一にまでなっています。そこで、年金の話とは全く関係なく、日本老年医学会など専門学会が、“日本の高齢者は75歳前までは心身の健康が保たれているから高齢者の定義自体を75歳に変えないと誤解につながる”といった提言をしているのです。つまり、日本人が長生きとともに元気になってきているので、年金制度の使い勝手をいいものにするため、『75歳からでも受給を遅らせることができる選択肢を広げてはどうか』という案が検討されているだけなのです」
日本では、すでに2004年の段階で年金をもらう年齢は個人の選択制になっていて「年金の支給開始年齢」という言葉が意味を持たなくなっている。「75歳からしかもらえない」わけではなく、「もらう年齢を遅らせて75歳からでもいい」と選択肢を緩和する、というのが事実なのだ。
◆年金は8割も増えた状態でもらえる
年金の受給開始を遅らせると、その分だけ多くもらうことができるのは、よく知られた制度だろう。
「たとえば65歳から1年だけ年金の受給開始を遅らせると、将来死ぬまで8.4%増えた状態でもらい続けることができます。もし74歳まで健康に問題なく働くことができれば、その間はその給料と貯金を使ってやり繰りしやすくなります。そして75歳から年金を受給するとしたら、死ぬまで通常より8割超も増えた状態で年金を毎月もらい続けることができるわけです」
この運用難の時代に「8割超増」を国が約束してくれる、というのは驚異的な数字だ。
「こういう前向きな状態がこれから生まれてくるのです。ただ、残念ながらこういう話はほとんど誰も知らないのです。特に若い世代こそ重要な話で、たとえば2065年の段階で、65歳まで生きている女性は7割が90歳まで生きているのです。このように“人生100年”といった視点をもっていないと本質を見誤るのです。ところが、日本の広報・教育体制があまりに脆弱なことが、私たちの将来不安に拍車をかけてしまっています。この広報体制の強化こそが国の最重要課題といえるでしょう」
では、我々の今後の生活や老後は安泰なのか?
「基本的には多くの人たちが漠然と思っているほど、日本の将来は暗いわけではありません。ただ、唯一大きな心配事は、国の借金問題です。これはかなり根深くて、いつ金利が動き出すのかは誰にもわかりません。リーマンショックどころではないでしょうね。そこで、何が起こっても必要以上に慌てない、という防御策を常に心掛けることが大切なのです」
具体的に、できることとは?
「まずは、財布の“ザル状態”から抜け出し、地に足のついた生活をしっかりとできるようにしましょう。具体的には家計簿をつけるなどして、家計管理を普段からしっかりしておくことです。家計簿というと“続かない”という常識がありますが、それも、もう古い常識なんです。
私が考えた『家計ノート』は“レシート1枚につき1行”が合言葉なのですが、実際に使っている方から圧倒的に多いのが『初めて家計簿が続いた』という声です。その日のレシートが1枚なら1行、5枚なら5行書いたらおしまいです。家計管理なんて、1日わずか3分でできてしまうものなんです。
家計管理の習慣ができると自分の毎月の生活費の相場が見えてきて、自分の場合はいつから年金をもらうと一番得するのか、ということまで見えてくるのです。実は、こういう単純な習慣こそが、漠然とした将来不安を打ち消す大きな効果をもたらしてくれるものなんですよ」
漠然とした不安への対策は「日々の家計の把握から」と心得て、今すぐ始めてみたい。<取材/日刊SPA!取材班>
日刊SPA!
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