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「大リストラ時代」突入!生き残る銀行員・消える銀行員の差はココだ ついに三菱東京UFJも六千人削減…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53454
2017.11.22 週刊現代 :現代ビジネス
かつては誰もがうらやむ安定した職だった銀行員。それが大リストラの危機に直面中だ。いま再びベストセラーになっている吉野源三郎の著書にかけて問いかけよう。銀行員の存在価値とは何なのか?
■存在意義が揺らいでいる
メガバンクの一角、みずほ銀行を昨年退職した30代女性が言う。
「IT化やAIの発展が進む中で、『これからは人が要らない時代になる』と、上司から言われるようになりました。(金融とテクノロジーを融合させた)フィンテックが出てきて、これまでの銀行員の仕事はますます必要性が薄れていきます。
金融庁の森(信親)長官は、これからは金融業界も『事業の将来性を見抜く目利き力を活かせ』と号令をかけていますが、メガバンクでも融資の審査をしているのは、『目利き力』があるとは思えない人ばかり。
法人の財務データをパソコンに打ち込めば、自動的に貸し出せる限度額が出てきますから、それに従って融資をしているだけです。そういうレベルの銀行員は、AI時代に真っ先に淘汰されます。
私は『銀行の仕事に将来はない』と見切りをつけて、辞めました」
メガバンクの銀行員が人生の岐路に立たされている。かつて一流大学を卒業して大手行に就職した者は、「勝ち組エリート」と羨望の眼差しで見られた。
'90年代の不良債権問題を経て、都市銀行が3メガバンクに統合された後も、リストラをかいくぐった人たちは一生安泰と思ったことだろう。それが金融を取り巻く環境の激変で、メガバンクの行員であっても立場が危うくなってきた。
みずほ銀行の現役行員(40代)が嘆息する。
「かつてのように、給料日に多くの人が店舗に並ぶ時代ではなくなりました。公共料金はコンビニで払えるし、あらゆる決済がネットでできるようになった。ネットバンキングも普及しています。
こうした時代に、メガバンクがかつての規模を維持していくというのは得策ではありません。
AIやフィンテックの普及で店舗が減っていくのは、業界全体の流れ。店舗が一つなくなるということは、そこで窓口業務や事務作業に携わっていた人たちの仕事が丸々消えるということです」
仕事をしようにも、することがどんどんなくなっていく。テクノロジーの発展によって、銀行員は今後どう働くか、どう生きるか、自分たちの存在意義を問い直さざるを得ない状況になった。
実際、各メガバンクの経営陣はリストラの動きを加速させている。みずほは1万9000人、三菱UFJは9500人、三井住友は4000人分の業務削減と合わせて、店舗の統廃合も検討しているという。
これまで銀行はすべての国民にとって必要不可欠なものだった。日々のおカネの出し入れ、預けていれば多少の金利もつく、住宅などの大きな買い物の際にはおカネも貸してくれる。事業の経営者にとっては融資をしてくれるばかりか、経営の相談にも乗ってくれた。
銀行マンも「自分たちが経済を回している」と自負し、誇りをもって仕事にあたってきた。だが、時代は大きく変わった。
経営コンサルタントの小宮一慶氏が言う。
「ボディーブローのように効いているのが、日銀のマイナス金利政策です。これまで銀行は内部資金を国債で運用できていましたが、それができなくなった。それで現場の銀行マンたちは『貸し出しで儲けろ』と言われていますが、安定的に儲けられる優良な貸出先がそうあるわけではありません。
結局、銀行間での金利競争になり、0.1%を切る低利での法人融資が行われています。これでは利ザヤを確保するのは至難の業でしょう」
■仕事改革も始めたが…
金融庁も低金利を踏まえて、これからの金融機関はコンサルティング機能を磨いて手数料を稼ぐべきだと尻を叩く。
だが、「そんなものは机上の空論だ」と断じるのは、都銀や外資系金融機関などで勤務し、現在は金融コンサルティング会社「マリブジャパン」代表の高橋克英氏である。
「すでにそれぞれの分野で専門的な知識をもったコンサルタントが存在しています。銀行員が彼ら以上のコンサルティング能力を持っているとは思えません。
大企業向けがダメなら、中小企業向けはどうかという意見もありますが、ほとんどの中小企業は経営が厳しく、銀行によるコンサルティングに対して手数料を払う余裕はありません」
もちろん、銀行マンも手をこまねいているだけではない。徐々に業務を改善し始めてはいる。三井住友銀行の法人営業(30代)が実体験を語る。
「ずっと無駄な業務だと感じていたのが、担当役員への報告書です。取引先との間で新しい案件が成立した場合、その度に内容や経緯、努力したポイントなどをまとめて、速やかに担当役員に提出しなければなりませんでした。
でも融資はスタートラインに過ぎない。お客さんとこれから先の事業について話し合うための貴重な時間を、報告書を書くために使ってしまっていたのです。
ところが、今年4月から高島(誠)頭取になり、役員に提出していた報告書を書かなくてもよくなりました。身内に見せるための仕事をする時間があるのなら、客のところへ行け、という方針に変わったのです。
今後は無駄な業務がますます改善されていくでしょう。そうすると、空いた時間を何に使うか、銀行員それぞれが自分で考えなければいけませんね」
■それはもう「仕事」ではない
とはいえ、効率化は始まったばかり。銀行員が口を揃えるのが、会議とそのための資料作りが煩雑すぎるという不満だ。
「セレモニーにすぎない会議が多すぎます。会議の前にはすでに出席者全員に内容を説明して、了解を得ておくのが当たり前なんです。
会議の出席者全員に資料を見せながら個別に1時間ほどかけて説明する。相手のアポを取ってからなので、時間がかかって仕方ありませんでした。
根回し済みなので、実際の会議では質問や意見などは出ません。銀行は官僚的な組織のためか、会議で議論をするとシコリが残るかもしれないと考えているのでしょう」(三菱東京UFJ銀行元幹部・50代)
「行員にiPadが配られ、それで資料を見るため、ペーパーレス化は進みました。しかし容量に際限がないため、逆に膨大で手の込んだ資料が作られるようになったんです。
会議で見向きもされないデータを盛り込んだり、意味もなく動画をつけたりする。無駄な資料を作るのは、自分が頑張っていることをアピールしたい人がほとんど。無意味だと思います」(みずほ銀行支店勤務・30代)
さらに少しでも関係する部署の人員すべてにメールを同時に送ることも評判が悪い。
結局、誰が責任をもってその仕事に当たるのかがあやふやになり、メールが膨大になって指揮系統が混乱する弊害が指摘されている。
メールを送るほうにしてみれば、万が一のときに報告していたという言い逃れのための材料にすぎず、受け取る側は複数の案件のメールが大量に持ち込まれ、本当に判断すべき内容が埋もれてしまう。
前出の高橋氏は、「しかも彼らは数十人のメールの送り先の順番を社内の序列順にすることに血道を上げているのだから笑えません。こういった業務を仕事と勘違いしていて、銀行員は仕事をしているふりをさせたら日本一です」と手厳しい。
もちろん、メガバンクも新しい技術を研究し、それを活用しようと努力はしている。だが、元富士銀行(現みずほ銀行)行員で『銀行員大失職』の著者、岡内幸策氏は、「スピード感が欠けている」と批判する。
「銀行の悪いクセとして、まず形から入ることが挙げられます。これからはフィンテックやブロックチェーン技術(新しいデータ共有の仕組み)が金融を変えることは誰でもわかっている。
では、それらの技術を使って自分たちはどう儲けていくのかを議論するべきなのに、その前段階として、フィンテックとは何かという理屈から入り、その可能性を論じる。
しかもその議論をするために大量の資料を作らないと気が済まない。書店で専門書を数冊買って読めばわかることなのに、多くの人手を使っていちいち資料を作らせるんです。
こうして無駄な作業ばかりしていて、実のある議論をする時間がなくなり、忙しいと文句ばかり言っている。これでは収益が上がらないのも当然です」
メガバンク各社がフィンテックなどの導入に前向きなのは事実だ。社外ベンチャーと協業するなど、新しい動きも目につくようになってきた。
■絶望したままでいいのか
ただ、フィンテックの導入が進めば進むほど、これまでの銀行業務を否定しなければならない。それは、バンカーとしての自分の人生を否定することでもある。
「窓口業務や融資がITに取って代わられるだけではありません。アナリストやトレーダー、ディーラーと言ったこれまで銀行業の花形とされてきた行員さえも削減の対象になっています。
投資や運用では、すでにAIのほうが人間より優れています。人間は心理的な影響で投資判断が鈍ることがありますが、機械にはそれがない。
また、AIは参照するデータも膨大です。アナリストなどの給与は一般行員に比べても高いですから、これから人員整理の対象になるでしょう」(三菱東京UFJ銀行OB・60代)
これまでは行内で出世コースから外れた行員でも、関連会社や融資先企業などに天下りや出向ができた。ところが今後はそれも望めそうにない。
「最近はメガバンクからの出向を拒否する取引先も増えています。ゼネコンをはじめ、建設業界が大きな受け入れ先でしたが、彼らは五輪景気もあり、今は仕事がいくらでもあります。銀行員を受け入れてまで、融資や仕事を取りにいく必要がない」(前出・岡内氏)
銀行内には仕事がないし、かつてのように出向先もあてがわれない。今回の3メガで3万2500人分の業務削減は「大リストラ時代」の幕開けにすぎないのだ。
冒頭のみずほ銀行を退職した元行員が言う。
「今回、みずほ銀行は10年かけてリストラを行う方向性を示しました。50代の人たちには、『自分がいる間は大丈夫だ』と安堵した人が多いと思います。
結局、そういうところなんです、銀行は。自分の身の安全だけを考えてばかり。そんな状況に絶望して、優秀な若い人から離職していきます」
今後は不特定多数から資金を募るクラウドファンディングなど、新しい金融業が発展していく。メガバンクに残って改革を推し進めるか、外に飛び出して新しい業態にチャレンジするか。銀行員よ、君たちはどう生きるか――それがいま問われている。
「週刊現代」2017年11月18日号より
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