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ユニクロ、飽きられ始め深刻な状況…アマゾンとゾゾタウンに客流出か
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21404.html
2017.11.20 文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント Business Journal
ユニクロの店舗(撮影=編集部)
ユニクロの国内事業が深刻だ。アマゾンが衣料品のプライベートブランド(PB)を強化しつつあり、ゾゾタウンもPBを近いうちに投入することもあって、ユニクロの未来に黄色信号が灯っている。
国内ユニクロ事業の2017年8月期決算は、売上高が8107億円で前年比1.4%の微増にとどまった。本業の儲けを示す営業利益は959億円で6.4%の減少だ。これまで飛ぶ鳥を落とす勢いで日本中を席巻してきたユニクロが岐路に立たされている。
ユニクロはこれまで順風満帆だった。近年でいえば、11年3月に発生した東日本大震災の影響で11年8月期は減収となったものの、その後は売上高を順調に伸ばしていた。かつてのように倍々ゲームというわけにはいかないが、前年比で10%程度の伸びを見せることも珍しくなかった。それが15年8月期以降は、急速に成長が鈍化している。
店舗数が減少していることが減収のひとつの要因となっている。14年ごろに店舗数が840店程度で頭打ちとなり、不採算店舗を閉鎖するなどして、現在は約790店にまで減った。日本国内でユニクロは飽和状態に達しているようだ。
利益を稼ぐ力も衰えている。10年8月期には売上高営業利益率が20.8%もあり、利益率の高さを誇っていたが、その後は徐々に低下していき、17年8月期には11.8%にまで落ち込んだ。7年で9ポイントも低下し、半減に近い状況となっている。それでも10%を超えているので悪い数値ではないが、成長に衰えがみられるといえるだろう。
国内でユニクロは「成熟期」に入っている。成熟期とは、潜在的な買い手のほとんどに製品が行き渡り、新たな買い手が現れず、成長が鈍化していく局面のことだ。これまで、フリースやヒートテックといった機能性が高いベーシック商品を提供することで、成熟期の前段階である「成長期」を駆け上がっていったが、機能面で出尽くした感が漂うようになり、成長は鈍化していった。飽きられた感が否めない。
機能性商品は真似されやすいという特徴がある。たとえば、ユニクロはヒートテックを開発し世間をあっと言わせたが、その後、競合各社が似たような商品を相次いで投入したため、ヒートテックの優位性は次第に低下していった。これは一例にすぎない。実際に近年は、ユニクロの製品で驚かされることが少なくなったのではないだろうか。
成熟期の後には「衰退期」が控えている。これは売り上げと利益が急速に減少していく時期だ。競争の激化により衰退期に入った企業の多くは、消えていくことになる。ユニクロはまだ衰退期に入ったとはいえないが、間際に立たされているかもしれない。
■アマゾンやゾゾタウンに客を奪われている?
インターネット通販の台頭が業績の鈍化につながっているという側面もある。経済産業省によると、衣料品分野の国内ネット通販市場は16年に前年比10.5%増の1兆5297億円、ネット通販販売の割合は1.9ポイント増の10.9%に増えている。アマゾンやゾゾタウンが代表的だが、そういったネット通販事業者が成長し、ユニクロから客を奪っているのだ。
では、ユニクロがネット通販事業者を介して商品を販売していく可能性はあるだろうか。柳井正会長兼社長は、10月24日に米ニューヨークで開いた会見で「米アマゾン・ドット・コムのインターネット通販サイトには出店しない」方針を表明した。自社サイトがあるため、アマゾンなどのプラットフォーマーに出店する必要がなく、また味方にはなり得ないというところだろう。先の表明は宣戦布告と捉えることもできそうだ。
ユニクロとアマゾンは共存が難しい。アマゾンが衣料品のPBを立ち上げ、品ぞろえを強化しているからだ。女性向け衣料「Lark & Ro」、男性向けシャツ「Buttoned Down」、子供向け衣料「Scout + Ro」などを展開している。価格帯はユニクロよりやや高いが、ベーシックな商品が多いという点でユニクロと競合する。ユニクロとしては、かかるコストなどを考えると、アマゾンに出店してもそれほど大きなメリットを享受できないといえる。
アマゾンによる衣料品店の駆逐が近年、米国で顕著だ。衣料品チェーンのギャップは9月に、今後3年間で傘下の「GAP」と「バナナ・リパブリック」の店舗を約200店閉鎖すると発表した。女性用衣料のザ・リミテッドは1月に経営破綻し全250店を閉めた。若者向け衣料のアバクロンビー・アンド・フィッチは業績不振のため身売りを模索していたが7月に断念し、自主再建の道を探っている。いずれもアマゾンの影響が一因となっている。ユニクロとしては、対岸の火事として見過ごすことができない事態だろう。
衣料品通販サイト「ゾゾタウン」のPBも大きな脅威となりそうだ。運営会社のスタートトゥデイは10月30日、衣料品のPBを年内に発売すると発表した。前澤友作社長はPBについて「超ベーシックアイテム」「最高品質をバリュープライスで提供する」「数年内にゾゾタウンの事業規模を超えるスケール」と述べている。PBではファッション性商品を扱わない方針だという。出店するブランドと競合してしまうためだ。ベーシックアイテムであれば、ゾゾタウン上では競合はほとんどない。
もしかしたら、ゾゾタウンとしてはユニクロに出店してほしかったが、それが叶わったため自らPBを出すことにしたのかもしれない。自ら在庫リスクを抱えることになってしまうが、「ユニクロが出店しないのであれば自らPBをつくって補い、いずれはユニクロを駆逐してしまおう」と考えた可能性もある。これは筆者の想像だが、ありえない話ではないだろう。いずれにしても、ゾゾタウンによる低価格ベーシックPBの発売はユニクロに対する挑戦といえる。
ネット通販事業者の台頭が著しい昨今だが、もちろんユニクロもネット通販に力を入れていないわけではない。しかし、17年8月期のネット通販の売り上げ構成比はわずか6%にとどまる。中期的に30%にまで引き上げる計画を示しているが、現状は実現がおぼつかない状況だ。国内平均の10.9%にも及ばない。明らかに出遅れている。
ネット通販を担う巨大な物流センターを16年4月に東京・有明で稼働させたものの、うまく機能していないのも致命的だ。当初、当日配送を視野に入れて稼働を開始したが、現状は実現できていない。翌日配送ですら一部地域にとどまる。アマゾンやゾゾタウンなどは当然のようにそれらを実施しているのと比べると、ユニクロのネット通販の使い勝手の悪さが際立つ。
ユニクロは日本で衣料品の革命を起こした。これはまぎれもない事実だ。しかし、ネットの発達で商品販売のあり方が急激に変わっていった。この急激な変化に多くの人が、そしてユニクロもついていくことができなかったのではないか。ユニクロが本腰を入れてネット通販事業に注力したのは、アマゾンやゾゾタウンが台頭した後になってしまった。果たしてユニクロは巻き返すことができるのか、今後の動きに注目したい。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)
●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。
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