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マンション価格、そろそろ天井? 直近4年で770万円も値上がり
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21413.html
2017.11.19 文=吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長 Business Journal
10月22日に投開票された衆議院選挙は、自民党が圧勝に近い状況で終わりました。選挙が終わり、臨時国会が召集され、第4次安倍内閣が全閣僚再任というかたちで組閣されました。一見、選挙前と大きな変化が見られない状況ですが、この選挙を通じて「現状の維持」が明確となりました。こうした状況を受けて、不動産市況がどうなっていくのか予想してみましょう。
■黒田日銀総裁続投か? 低金利政策の維持は続くのか?
「現状維持の体制」は組閣だけでなく、政策も現状継続ということになります。また、2018年9月に行われる見通しの自民党総裁選で安倍晋三総裁が再選、すなわち安倍首相の長期政権が続きそうです。
そして、同じく18年4月に任期が切れる日銀の黒田東彦総裁の続投も一部メディアが報じています。任期中のデフレ脱却、インフレ目標2%は達成が難しい状況ですが、現在の景気観、株高、不動産市況好況の流れを受け、続投ムードが高まっています。
日銀総裁の任期は5年となっています。日銀法で再任も可能ですので2期10年も可能となっていますが、歴代総裁の任期をみると、2期務めた総裁はあまり多くありませんので、通常であれば1期5年が既定路線といえます。しかし、今回の選挙でアベノミクスが信任を受けた、金融緩和政策が信任を受けたとなると、「続投もあり」という空気になりそうです。そうなると、金融緩和がしばらく続きそうです。
このような流れのなかで、不動産市況を支えている「金融緩和」「日銀による国債の購入」=「低金利」の金融政策が続く可能性が高くなってきました。
■低金利政策と不動産市況
不動産市況において低金利は投資の呼び水となるので、かなり重要なポイントです。15年の秋から年末にかけて、ちょうど横浜郊外のマンションの杭問題などが出た頃に、不動産市況が停滞する兆しが出ていました。
しかし、日銀による国債大量購入や、その数カ月後に「マイナス金利政策」が発表されたことなどがあって、落ちかけた景況感が持ち直しました。このように、かなりの影響力を持っています。
私は、不動産の好況状態はオリンピックまでの間ずっと続く感じはなく、18年に入ってから一服するという見通しを立てていました(18年半ばから1年くらいの一服のあと、再び上昇するという予測)が、現在の好況感のままオリンピックを迎える可能性も出てきました。
■消費税増税と不動産市況
また、今回の選挙の争点は、あまり大きな話題になりませんでしたが消費税増税の使い道についてでした。選挙結果から信任されたということになるので、使い道の前に、まず19年10月に予定されている消費税増税が行われることが、よほどのことがない限り確実となりました。
報道によると、安倍首相は支持率低下につながる消費税増税は行いたくはないようですが、すでに2度も延期していますので、「今回は上げざるを得ない」状況にあるのでしょう。
19年の消費税増税は現状8%が10%になります。5%から8%に上がったのは、すでに3年以上前の14年4月ですが、13年春から秋にかけて不動産購入、建築請負契約の増加など、駆け込み需要が旺盛となりました。この時は1997年以来久しぶりの増税だったこと、また8%と10%の2段階の増税があらかじめ予定されていたこともあって、かなりの駆け込み需要が起こりました。
図1は住宅着工件数の推移ですが、13年は前年対比+11%、翌14年は反動減で−9%となっています。19年10月の増税においては、このときほどまでの駆け込み需要はないとしても、ある程度は予想されます。おそらく、+5%程度はあると思います。18年秋頃〜19年3月くらいまでの間にプラスの状況になり、その後19年秋〜20年初め頃までは反動減が予想されています。
しかし、これはあくまでも住宅着工の数であって、不動産市況においては19年後半もいい状況が続くと思われます。
黒田総裁が就任して以来、13年からの異次元緩和政策により不動産価格は上昇を続けています。「黒田総裁続投なら緩和路線が継続となり、資産バブルや財政規律の緩みといった副作用が生じる恐れがある」という声も聞こえます。専門家のなかには、「緩和を抜け出す出口戦略を探るべきだ」という声もあるようですが、今回の選挙、いまのムードではこうした声はかき消されていくことだと思います。
つまり、「しばらく不動産市況はいい感じが続く」と言えそうです。少なくとも消費増税まではその流れが続くでしょう。
■高止まりが続く都市部の不動産市況
では、傾向がはっきりと出やすい中古マンションの価格推移から不動産市況を見てみましょう。
図2は、リーマンショック後から17年9月(最新データ分)までの首都圏における中古分譲マンションの平方メートル単価(成約ベース)の推移です。
これを見ると、13年年初頃からの値上がりが一目でわかります。13年1月から17年9月までの間に、平方メートル単価で約11万円、一般的なファミリーユースの70平方メートルに換算すると約770万円も値上がりしています。このデータは首都圏全般のデータですから、都心一等地や人気のエリアではこの倍以上の値上がりだと思われます。
図3は、近畿圏のデータです。こちらは、データ取得の関係で11年からとなっていますが、こちらも13年年初頃から上がり始め、現在までの間に平方メートル単価で約6.4万円、 70平方メートル換算で約500万円の値上がりとなっています。首都圏と同じように大阪中心街等は倍以上の値上がりだと思われます。
■マンション価格は天井か?
以上見てきたように、この4年半の間にマンション価格は大きく上昇しました。「そろそろ天井か?」という声は、毎年のように聞かれてきましたが、吹き飛ばすように上昇を続けています。
前半で述べたように、「金融政策の現状維持」の様相を加味すると、まだまだマンション価格は上がる気配だと言っていいようです。
(文=吉崎誠二/不動産エコノミスト、社団法人住宅・不動産総合研究所理事長)
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