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ひたすら自宅で自炊する34歳以下男性たち…モノも買わず外にも出ず:衝撃的動向が判明
http://biz-journal.jp/2017/11/post_21316.html
2017.11.12 文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表 Business Journal
■1人暮らし世帯が1842万世帯
現在の日本で、総世帯数に占める多くが単独世帯=1人暮らしであることは周知の事実だ。2015年の国勢調査では総世帯数の35%、1842万世帯が単独世帯だった。これは、夫婦と子供からなる世帯の1429万世帯より400万世帯以上多い。
しかも単独世帯は今後も増え、夫婦と子供からなる世帯は減り続けると予測されているので、マーケティングとしては単独世帯を狙うことがますます重要になる。
また、単独世帯の高齢化も顕著だ。2000年には男性の単独世帯のうち、20代以下は38%だったが、15年は23%に減少。30代は19%から16%に減少。40代は14%から17%に増加。50代は横ばいだが60代は8%から16%に、70代は5%から9%に増加している。つまり30代以下と40代以上がほぼ半々となったのだ。
このようにこれからの企業には、単独世帯への対応が求められるということでなる。
■支出が15年で40万円も減少、食費の割合が増加
そこで私は総務省「家計調査」に基づき、2002年から06年、2007年から11年、2012年から16年の各5年間の品目別の消費支出の平均値を比較して、増減を分析した。その結果を朝日新書から『中高年シングルが日本を動かす』として11月13日に出版する。
同書の中から、本稿では34歳以下の男性の消費支出を見る。消費支出の総額であるが、2002年から06年(第1期)、2007年から11年(第2期)、2012年から16年(第3期)の平均値で見ると、217万3505円、207万2402円、191万4964円となり26万円近い減少である。
1年ごとに見ると、2016年の支出の減少が大きいため、2002年は年間232万7441円なのに、2016年は177万5269円であり、55万円ほど減少している。
食料費は、第1期61万670円、第2期57万4871円、第3期58万1077円である。第2期から第3期で消費支出総額が減っているのだが、食料費は横ばいであるから、食費の割合が上昇していることになる。第2期は27.7%だが、第3期は30.3%である。
■もつ鍋で、シメにうどんが増えたらしい
食料費を細かい品目別に第1期から第3期までの伸び率で見ると、伸び率が高いのは、めん類であり、特に生うどん・そばが、第1期を1とした場合、第2期1.29倍、第3期1.61倍と伸びている。金額でも5935円から7311円に増えており、米の3084円より2倍以上多い。だがカップ麺などの即席麺の伸びは1.15倍であり、あまり伸びていない。パンは横ばい。スパゲッティは1.34倍だが第2期からは減っている。
つまり主食では生うどん・そばだけが順調に伸びているのである。ということは、ある程度自炊をしているということである。しかしご飯を炊くと、余ってしまいがちだ。だが、めんなら、その都度食べるので余りが出ないということが消費増加の理由だろう。
生めん増加に伴って、おそらくそこに入れる具材である野菜も増えている。キャベツは1.39倍、白菜1.96倍、にんじん1.29倍、ごぼう1.5倍、れんこんは4.65倍である!
肉類は豚肉と鶏肉が増えている。第1期では豚肉が2051円、鶏肉が1147円、牛肉が1483円だったが、第3期では豚肉が3194円、鶏肉が1876円に増えたのに、牛肉は1474円と横ばいである。
値段が安い豚肉にシフトしたのだ。伸び率では豚肉が1.56倍、鶏肉が1.64倍である。他の生鮮肉は1.9倍。これはモツである。豚肉、鶏肉、モツに野菜を入れてうどん鍋をつくっている姿が浮かぶではないか!
■主婦化する若い男性
魚介類では、いわし、さけ、塩さけ、さば、たらこ、という基本的なおかずが増加。魚介の漬物、つくだ煮、缶詰も増えているし、かつお節・削り節も1.68倍に増加だ。おかずが和食化しているものと推測される。ただしソーセージ、ベーコン、チーズは増加している。
食用油、食塩、しょう油、乾燥スープ、風味調味料、ふりかけ、つゆ・たれ、他の調味料も増えている。他の調味料とは、こしょうの他、マスタード、ラー油、オイスターソース、ねりごま、酢みそ、タバスコソース、麻婆豆腐のもと 、浅漬けのもとなどを含んでいる。
■彼女にプレゼントしなくなった
他方、減少率が大きいのは自動車等関係費であり、0.62倍、7万2758円も減少した。マイカーの購入が減ったことが最大要因であり、自動車購入費は3万7379円から6129円と0.16倍、つまり6分の1に減少。
交通費が2万1572円減少。特に有料道路が8523円減少。パック旅行費は2万5987円から1万5618円に減少。特に外国パック旅行費は0.53倍に半減している。
また、入場・観覧・ゲーム代は3万8605円減。なんでもスマホで間に合う時代は、人が移動しない時代でもある。
耐久財では、テレビが3712円から796円。0.21倍、5分の1に減少。これもパソコン、スマホの影響だろう。ただし通信費は固定電話を持つ人が減ったため1万6723円減。
一方で、他の教育的月謝は50倍に激増! これは、習字・簿記・パソコン教室の月謝などであり、資格取得のための勉強が増えていることがわかる。
面白いところでは、男子用洋服は0.94倍と微減なのに、婦人用洋服が800円減少、婦人用シャツ・セーター類が208円減少していることだ。彼女に買ってやらなくなった。あるいは彼女がいなくなったのであろう。
このように、若い男性の消費は派手さをなくし、地道に日常生活、特に家での食生活を重視するようになっている。アベノミクスで景気が上昇などというが、消費生活の実態はそうではない。
やはり消費税増税は延期して、富裕層の資産への課税をしたほうが私はいいと思う。
(文=三浦展/カルチャースタディーズ研究所代表)
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