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「ブラック労働」の経験は仕事人としての成長をもたらすか
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171111-00000003-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 11/11(土) 16:00配信
中川氏が「ブラック労働時代だった」と振り返る当時の仕事部屋
「ブラック企業」「ブラック労働」「ブラックバイト」……など、過酷な労働なのに報酬が安い状況を指す言葉がメディアで頻繁に使われるようになっている。そんな中、「ブラックフリーランス」もあると述べるのはフリーライター・編集者の中川淳一郎氏だ。とはいえ同氏は、「短期間であれば、それを受け入れてもよいのではないか」と考えているという。なぜそう考えるに至ったのか、中川氏が解説する。
* * *
不思議なもので、フリーランスが「労働時間が長過ぎる……」と言ったら「お前が自分で選んだ道だろ」や「自分でそれだけ仕事取ってきてるんだから自己責任だ」と言われてしまう。まぁ、そうなんですけどね。それを言ったら会社だってバイト先だって自分で選んでいるわけですから同じことだと思いますが……。
まぁ、フリーランスはやはり上司がいるわけではないので、「押し付けられた感」は少ないでしょうし、自己責任の範疇でその労働時間や報酬の安さについて論じられることが多い。「ブラック労働だ!」と主張したら「お前らは甘っちょろい」と怒られてしまいますね。実際問題としてフリーランスが「もっと待遇を良くしてください!」なんて主張したら、よっぽど“余人をもって代えがたい”人物でない限り、発注相手からは「もっと仕事しやすい人に頼むので、もうあなたはやらなくていいです」と言われておしまいです。
私は現在、フリーランスになって17年目なのですが、現在の労働時間は大体1日7〜10時間です。書籍の執筆や7000字程度の原稿、講演の資料作成などがある時は大幅に増えますが、労働時間は適切だといえましょう。ただし、土日も仕事はあります。
今は仕事をこなすスピードがかなり速くなってきてはいるのですが、案外フリーランスになった最初の数年間の「ブラックフリーランス」状態が今の糧になっているのかなぁ、とも思えるんですよね。だとすれば、「ひとり企業」みたいな存在でもあるフリーランスはある程度仕事の進め方などを覚える教育的な面においても、短期間のブラック労働状態があってもいいと今となっては思います。
宇宙人を101体集めたり、ビックカメラの前に10時間いたり……
私が2001〜2003年の頃やっていた仕事は、朝日新聞が出していたタブロイド紙『セブン』、雑誌『日経エンタテインメント!』、雑誌『広告』のライター業務でした。ライターになったばかりだったので、何をやっていいのか分からないんですよ。当時27歳だったのですが、編集者からの命令を受けたらすぐに「わかりました!」と答えてはその通りにする。当然曲解することもあるので、無駄足も多く、時給換算したら300円ぐらいだったかもしれません。
この頃の睡眠時間は大体3時間で、朝の4時だろうが何時だろうが編集者から電話が来ていました。いずれも時間がなく、アポ取り、企画書送信、移動、取材、執筆を基本全部一人でやる。いくつか「時間だけかかってとんでもなく報酬が安かった仕事」を紹介します。
・突然9.11のテロが発生したため、アメリカに電話をして、市井の人々やイスラム教の専門家のコメントを突然の電話で多数獲得する。
・大麻の専門家を求め、大麻推進派、マトリ(麻薬取締官)、成田空港の麻薬探知犬、海外事情を探るべく外務省なども取材。
・「101匹宇宙人大集合」という特集で、過去のテレビ、映画、漫画、アニメに登場した宇宙人の画像101体を権利者から借りた。あまりにも素っ頓狂な特集のため、不審者がられること多数。『広告』という雑誌だったので「『広告』の中川と申しますが……」と言ったら「ウチは間に合ってるよ! 押し売り、シッシッ!」と言われること何度も。
・CM業界にまつわる謎、という企画でなぜか「謎が12個なくてはいけない!」と編集者から言われ、さらには「すべてに2〜3か所の取材をするように」と言われ、一日中電話とファックスで依頼をし続けていた。
・芸能人のCMギャラトップ200を探るべく、その筋に詳しい人物と裏ルートで接触し、推定ギャラを作成。それを全部別の詳しい人物と照会させ、ギャラを決める作業をした。
・国会議員になったばかりの小渕優子氏の取材を突然しなくてはいけなくなり、どこにいるのか分からず「群馬が地元だから群馬にいるんじゃない?」と言われ、慌ててスーツを借りて群馬まで行く。事務所に行ったら「えっ? 来てるんですか?」と言われ「来てると聞いたんですが……」と答えたら「高崎駅前のビックカメラで演説することがありますが……」と言われた。それを真に受け10時間ビックカメラの前で「一流の張り込み記者」になった気持ちで「オレはスクープを取る!」と粋がっていたが、実際小渕氏は東京にいた。
……とまあ、こんなやり方をしているものだから、時間はかかるわ、ミスもあるわで編集者としても「おーまーえーはー!」と尻拭いをしなければならない状況だったと思います。しかもどれだけ取材をしようが「1ページ1万5000円」といったギャラの規定があるわけで、誌面を充実させればさせるほど時給が安くなっていくわけです。
しかしながら、この時って98点ぐらい取ろうとして無駄な努力をしていたんですよね。その後、78点から84点ぐらいをとにかくコンスタントに取ることが重要であることに気付くとともに、電話やメールで済ますことができる部分はそれで済ますといった効率化もできるようになってきます。
ブラックフリーランスから抜け出せたきっかけ
自分の中で風向きが変わってきたのは、『テレビブロス』の編集業務が本格化し始めた頃でしょうか。「北斗の拳特集」を作った時のことです。「ケンシロウが『お前はすでに死んでいる』に類する言葉を言った回数」やら「ケンシロウが指をポキポキ鳴らした回数」などをコミックスの全巻読んで調べたりしたのですが、これも膨大な時間はかかったものの、自分が全部をコントロールしていると不思議とストレスがない。しかも、6ページの特集の予算は全部自分が押さえているため、他のスタッフへの配分も思いのまま。
その時は明朗会計で「1ページあたりの編集費をオレが1万円取り、あとは面積によって分配しよう」と決め、ライターと2人で6ページを作ったのです。この時ようやく「ブラックフリーランス」は抜けた気持ちになりました。結局「ブラック化」しないコツはどれだけ自分が主導権を握ることができるか、にかかっているのです。小間使いのように命令をされる仕事っぷりを続けていたらブラックフリーランスからは抜けられません。
どこかのタイミング(MAX3年)で効率の良い仕事のやり方を覚え、そこで「根性のあるフリーランス」としての評判を得たところで「川の上流」の仕事を獲得し、他のフリーランスに仕事を振る。ただし、そこでそのフリーランスにブラック労働はさせず、あくまでも対等のプロ同士として接する。
そうすれば、将来は「あの時のブラック体験も良い基礎になったかも」と思えるかもしれません。ちなみに私調べでは、ケンシロウが「お前はすでに死んでいる」に類する言葉を言ったのはたったの4回でした。「怒りのあまり革ジャンを自ら破った枚数」は14回、「確実に殺した敵の人数(ザコキャラ含む)」は212人、「確実に死んだか不明な88人を加えた人数」は300人、「一コマで相手にした最大人数」は48人、「拳をポキポキと鳴らした回数」は29回でした。
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