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信金再編に「カオス」の予感…越境再編に銀行との合併も
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171108-00000026-sasahi-bus_all
週刊朝日 2017年11月17日号より抜粋
信用金庫の中央機関である信金中央金庫の本店。全国から集めた資金を運用し、信金の経営基盤の強化にも取り組む=東京都中央区
静岡県内の信金の合併地図(週刊朝日 2017年11月17日号より)
静岡県内の信金預金量(週刊朝日 2017年11月17日号より)
地銀再編が滞りをみせる一方で動き始めた信金再編。信金は地域密着を基本に「同一県内」「近隣」という基本公式でこれまでも合併を繰り返してきた。『地方銀行消滅』の著者、津田倫男氏は今後、264ある信金が「3分の1程度に再編されていく」と予測する。
津田氏が特に注目するのが、二つの合併が発表された静岡県だ。
「静岡の12金庫は、東部・中部・西部にきれいに四つずつに分かれています。県内には4銀行(静岡、清水、スルガ、静岡中央)もあり、ただでさえ競争が激しいのに、東には神奈川、西にも愛知の大経済圏があり、両方から攻勢を受ける可能性があります。今回の合併は、しずおかと焼津が中部同士、浜松と磐田が西部同士でした。基本公式に照らすと、次に何が起こりそうかが見えてきます。事実、しずおか信金の理事長は合併発表の記者会見で、『中部のあと二つを加えた4金庫合併構想があった』という趣旨の発言をしたと聞いています」
しずおか信金によると、田形和幸理事長は、中部の4信金は仲が良く、事務やリースのお互いの子会社を連携できないか検討していたことなどを明かしたところ、「4信金合併構想」と報じた新聞があったという。
名指しされたも同然の静清、島田両信金は、ともに「具体的な事実はなかった」と否定。ただし、静清によると、預金者らの反応としては「『合併したほうがいいんじゃないか』という意見と、『単独のままでいてほしい』という意見と両方あった」という。
また、浜松・磐田の会見でも、「次」を意識した質問がなされた。出席者によると、「ほかの信金が加わりたいと言いだしたら……」という趣旨の質問に対して、浜松の御室健一郎理事長は、「話があれば、ノーということはない」と否定しなかったという。
要するに、誰もこれで再編が終わりとは思わなかったわけだ。津田氏が続ける。
「静岡のような激戦区では、ひたすら規模の拡大をめざした再編が繰り返されるでしょう。そうなると、東西大経済圏からの攻勢を考えると、県境は意味がなくなってきます。しかも、愛知県は15ある信金のうち預金量が1兆円を超す大信金が七つもあります。貸出金利が全国よりも低い『名古屋金利』で知られるように、愛知の競争の激しさを考えると、県境を越えた合併があっても何ら不思議ではありません。経済の一体化は県境に関係なく進んでいますから」
このように、津田氏は、これからは基本公式では読み切れない再編が起こる可能性があるという。
「そういう再編の姿で言うと、大きい信金の中には『銀行』になりたがっている信金があることにも触れざるを得ません。現在、預金量が1兆円を超えている信金が全国で35ほどあります。今まで『銀行と信金』という業態を超えた合併は例がありませんが、大きな信金が小さな銀行をのみ込む可能性は十分あるとみます。小さな銀行と合併し、存続金融機関を銀行にすれば済む話です。『名を捨てて実を取る』戦略と言ってもいい。法律的には、何ら禁止されていることではありません」
常識では考えられないことが起こるのが世の中というものだ。今から30年以上前で、事件がらみだったが、住友銀行(現・三井住友銀行)が平和相互銀行を救済合併したこともある。
「首都圏については、信金の数が全国一多いので多様な可能性があります。業界を長年リードしてきた城南信金なども例外ではありません。13年前に4金庫合併で城北信金が誕生したときのように大きく、驚天動地の合併が起こるかもしれません。予想もつかないほどの『カオス』状態にあるといっていいでしょう」
津田氏は東京のほかにも、これまでの基本公式にあてはまらない再編が起こると予想する。
「一つでもそういう再編が起こると、あとは『何でもあり』になるでしょう」
動きが止まっているかに見える地銀も、水面下では「あひるの水かき」をしているのだろう。信金とあわせて、地域金融機関の「最終形」は、どのようなものになるのだろうか。(本誌・首藤由之)
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