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11月8日、電気自動車(EV)で出遅れるトヨタ自動車を中心とした企業連合が、ようやく「反撃」の動きに出始めた。EV基盤技術の標準化だ。写真は人工知能技術搭載車を紹介するトヨタ自動車のリロイ副社長。10月に東京モーターショーで撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
トヨタ連合がEVで反撃、基盤技術を標準化 未来の勢力図見えず
http://diamond.jp/articles/-/148811
2017.11.8 ロイター
[東京 8日 ロイター] - 電気自動車(EV)で出遅れるトヨタ自動車を中心とした企業連合が、ようやく「反撃」の動きに出始めた。EV基盤技術の標準化だ。部品のモジュール化が一段と進むEVは、日本のものづくり技術の優位性が失われるリスクも高まる「両刃の剣」でもある。相次ぐベンチャーなどの参入も自動車業界の勢力図を変える可能性を秘める。世界的なEVへのうねりの先にどのような未来像があるのか。各社の手探りが続きそうだ。
グループで開発・コスト削減
「未来の車を決してコモディティ(汎用品)にしたくない」――。トヨタの豊田章男社長が抱いた思いはマツダとの提携、そして10月にデンソーも加わりEVの基盤技術開発会社設立へとまず結実した。
複数企業が、軽自動車からトラックまで幅広く展開できる同じプラットフォーム(車台)、駆動モーター、電池などを開発・共有すればコストを下げられる。その上で、個性を出しにくいEVで「いかにブランドの味を出すかが挑戦だ」と豊田社長は話す。
永田理・トヨタ副社長は7日の決算会見で、この新会社で「みなで力を合わせ、コストダウンを図りながら、よりよい電動化戦略を進めたい。いろいろな会社の参画を期待したい」と呼びかけた。傘下の日野自動車やダイハツ工業はもとより、今のところ出資先のスバル、提携協議中のスズキが参画に前向きだ。
「チーム・ジャパン」としてやれることを考えないと欧米・中国勢などと対抗するのは難しいと、スズキの鈴木俊宏社長も2日の決算会見で指摘。好業績をけん引したインドでEV化が「一気に進めば、足元をすくわれるのではと非常に心配」と危惧する。
独フォルクスワーゲンは、すでに欧米で投入しているEV「e―ゴルフ」の受注を10月から始めた。同社の日本でのEV販売は初めて。2020年に専用車台「MEB」ベースのEVを発売予定で、25年にはグループで新車の4分の1に相当する300万台のEV販売を目指し、同年までにEV50車種を投入する計画だ。
EVで先行してきた日産自動車、仏ルノー、三菱自動車の連合も20年までにEV専用車台を開発し、モーターと電池も共有。22年までに3社で計12車種のEVを投入する方針。
技術の優位性維持「楽観できない」
日産の新型EV「リーフ」開発責任者の磯部博樹氏は、ガソリン車よりも静かなEVでは「人は細かい振動、モーターや風の音などがもっと気になり出す」と話す。ガソリン車以上に求められるEVの静粛性や振動抑制などに、日本車大手が長年磨いてきたすり合わせの技術こそ「今後も生きる」と強調する。 米テスラ、掃除機で知られる英ダイソンが20年までに開発を目指すなど、EVではベンチャーや異業種からの参入も相次ぐ。
トヨタ系部品会社の幹部は「車は人の命を運ぶ。ベンチャーなどがいきなり安全な車を作るのは難しい」と冷ややかだ。しかし、何年か経って経験を積めば、新規参入組に技術も追いつかれる恐れがあり、自社のものづくりの力が優位であり続けるかは「楽観できない」という。 EVは一般的な自家用車から富裕層向け、移動弱者用など各社用途が異なり、必ずしも同じ土俵で直接戦うわけではない。
だが、車の保有から利用への動きが強まるなど消費者の価値観は多様化している。日本車が売りにする高品質だけでは勝てなくなるかもしれず、シェアリングサービスが拡充すれば、保有需要を侵食する可能性がある。
ベンチャーは水平分業
政策の後押しでEVの普及が進むインドや中国の市場をにらみ、ベンチャーは動き始めている。 慶応義塾大学の清水浩名誉教授は、インドで100万円以下で買えるEVの普及を目指し、同国で多く利用されるタクシーを開発中だ。清水氏は早くからEV開発に従事し、04年にEV「エリーカ」を開発したことで知られる。
同氏は、インドのタクシーは軽自動車ベースのマルチ・スズキ「800」が多く、年間20万台の市場規模があるが、まだ足りないとみている。
開発中の車は床を低く、車内や荷室を広くし、航続距離は350キロ超と1日の平均走行距離(約150キロ)に十分な性能にする。
NPO法人インドセンターのヴィバウ・カント・ウパデアーエ代表は「マルチ・スズキもそうだったが、普及させるには政治の力」が必要として、清水氏の活動を全面支援する。3年後には現地で生産を始め、タクシーから自家用車への展開も見込む。「来年にはEV会社がインドで5社ほど生まれるだろう」といい、車台や部品を他社に提供することも検討している。
ベンチャーのGLM(京都市)も「水平分業型ビジネスモデルによる新しいものづくり」(小間裕康社長)を進める。
トヨタ出身の技術者らを採用し、EVのスポーツ車を15年から量産。19年には4000万円の高級EVを日本や欧州、中国、中東などで売り、販売1000台を目指す。7月には香港の投資会社傘下入りを発表し、資金力もつけた。
部品最大手の独ボッシュなど多くの企業が、すでにGLMと組む。同社は中国企業などにEVの車台やモーター、電池をセット販売することも事業の柱にする。GLMと清水氏の会社は米アップルなどと同様で自社工場を持たない。
トヨタなどの日本車大手がEVでも勝つためには何をすべきか――。
世界の車大手に計測機器などを提供する堀場製作所の堀場厚会長は、ガソリン車などで長年培った技術、「付加価値の高いノウハウ」を磨き続けることだと指摘。デジタル家電で日本勢の衰退を招いた敗因の1つは、技術者の「敵陣流出」だったことにも触れ、すぐには収益にならない研究開発でも技術者を逃がさず「長く育てる」ことだと強調する。
欧米の車メーカーや新規参入企業などはこれまでの「車を作って売る」だけでなく、車台や部品、サービスの提供など新たな収益源も得ようとしている。
コンサルティング会社ローランド・ベルガーの貝瀬斉パートナーは、日本車大手は戦場の広がりを念頭に置いて「どこでどういう価値を提供し、利益を上げるのか」をしっかり考えることが重要、と話している。
(白木真紀 取材協力:田実直美 編集:田巻一彦)
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