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「強い日本経済、戻ってきてるの?」という疑問に答える、ある数字 大企業は最高益を連発しているが
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53367
2017.11.06 週刊現代 :現代ビジネス
株価は景気に先行する。史上初となる日経平均16連騰は、日本の景気回復を暗示する力強い兆候だ。
■相場は懐疑とともに育つ
企業の倒産がじわりと増えている。東京商工リサーチが発表した数字によると、今年上半期の倒産件数が前年同期を上回った。実に9年ぶり、リーマンショック以来の増加だという。
株価が高くなっているだけで、実体経済は良くなるどころか、悪くなっているではないか――しかし、そう考えるのは早計だ。実は、この倒産件数の増加こそが、強い日本経済が帰ってきたことの証左なのだという。
「数値の内訳を見ると、倒産企業の7割を占めているのが、従業員5人未満の零細企業です。その原因を東京商工リサーチは『人手不足』だと分析しています。
零細企業が人手を満足に確保できないのは、後継者が不在だったり、大手や中堅企業が今後の需要拡大を見越して、零細企業よりも高待遇で人材を囲い込んだりしているからです。
多くの労働者にとってみれば待遇がよくなっているわけで、これは決して悪いことではありません。
零細企業に比べると、大手企業は業務が効率化されています。効率化された職場に多くの人材が集まれば、日本全体の生産性が高まることも期待できます」(百年コンサルティング代表・鈴木貴博氏)
10月に入って、日経平均株価は16営業日連続で上昇し続け、高度経済成長期の'60年以来、57年ぶりの記録を更新した。景気拡大も今年9月で58ヵ月連続となり、「いざなぎ景気」を超えた可能性が高い。
そうは言っても、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や日本銀行などが買い支えている「官製相場」で株価が上がっているだけなのではないか、と見る向きも多いだろう。
だが、株式市場にはこんな格言がある。
〈相場は悲観の中で生まれ、懐疑とともに育ち、楽観の中で天井を打ち、幸福感とともに消える〉
まさに現在は、多くの国民が懐疑的に見つめるなかで、スルスルと株価が上がっている段階なのだ。楽観論など萌芽さえ生まれていない。つまり、まだまだ株価は上昇する余地を残している。
日本総研副理事長の湯元健治氏が言う。
「日経平均株価の2万1000円から2万3000円の間は『真空地帯』で、この価格帯で株を売却する機関投資家は少ないと言われています。なので、日経平均株価は2万3000円まで一気に値上がりする可能性を秘めているのです」
現在、日本株を買っているのは、ヘッジファンドなどの外国人投資家が中心だと見られるが、実体の伴わないマネーゲームではない。日本経済の復活を裏付ける予兆はそこかしこに存在する。
湯元氏が続ける。
「今年に入ってから日本経済の回復傾向が鮮明になっています。経済指標を見ても、製造業の活動状況を表す『鉱工業生産指数』の4−6月期は前期比1.9%のプラスで、7−9月期も伸びそうです。
実質経済成長率も4−6月期は2.5%(年率換算)と加速しており、失業率も3%を下回っている。事実上の完全雇用と言える水準です。
なかでも注目が企業業績です。現在は中間決算の発表が始まっていますが、今期の企業業績について、多くの企業が2期連続で過去最高益を更新すると見られています」
では、いったいどのような企業の業績がいいのか。具体的な企業名を挙げるのは、経済ジャーナリストの片山修氏だ。
「たとえば産業用ロボット大手の安川電機は、過去最高の中間決算を発表しました。
同社のロボットは、これからの人口減少社会でさらなる需要が見込まれます。半導体製造装置のディスコも4−9月期決算で過去最高益を記録していますが、今後の半導体需要の拡大を考えるとまだ伸びる。
大和ハウス工業は今期の連結純利益が2100億円と、2期連続で最高益を達成しそうです。同社はハウスメーカーと思われがちですが、実は物流施設や商業施設の建設も行っています。物流業界の発展を考えると、さらに業績が上がっていくでしょう」
■真っ当な経済が復活
こうした優良企業が牽引する形で、株価はどんどん上がっていく。これまで企業はリストラやコストカットによって収益を確保し、先行きが不透明なため、内部留保金として貯め込んできた。
しかし今回は業績改善による収益増であり、その結果としての株価上昇だ。従業員が働いて稼いだカネを従業員に還元していないという批判が続くなか、電通の過労自殺などもあり、ようやく企業側も従業員の待遇改善に動き出した。
象徴的なのが、残業代未払いと過重労働で揺れたヤマト運輸だ。今春闘では、定期昇給分とベアを合わせて月額6338円の増額を実施した。
一方でヤマト運輸は宅急便の値上げを行ったが、それが従業員の賃上げにつながるなら、とむしろ容認する声が多いことも特徴的だ。
人手不足が深刻になるなか、従業員を厚遇すれば、ホワイト企業として人材が集まるばかりか、企業イメージもアップして、消費者の支持も得られる。
業績改善から賃上げへ――。この流れは多くの業界で起こっている。アルバイトの時給が上がっていることも、その一例だろう。求人情報サイトを運営するディップによれば、9月の全国の平均時給は1017円。全国平均の最低賃金848円を大きく上回った。
これまで株価上昇の恩恵に与れなかった末端の労働者が底上げされる形で、賃金上昇が始まっているのだ。
神戸大学大学院経営学研究科准教授・保田隆明氏が解説する。
「定年延長をする企業も増え、女性の就業率も増えています。少し前であれば、こうした動きは若者の職場を奪うと言われてきました。ところが、今は人手不足のほうが問題になっています。事実、有効求人倍率も1.52倍と、働き手がいないことのほうが深刻です。
高齢者も働き、共働き夫婦が増える傾向にあるので、今後は世帯の収入が増えることが見込まれます。世帯収入が増えれば、消費に回すおカネも増える。経済全体が好転していくでしょう」
実際、これまで不振が指摘されていた百貨店では訪日観光客に加えて、一足先に株で儲けた富裕層の買い物が旺盛になっている。この流れが一般に波及していく。
第一生命経済研究所首席エコノミストの嶌峰義清氏もこう話す。
「今年の春闘は、昨期の業績をベースにしたもので渋い結果になりましたが、来年の春闘は今期の好業績を背景にした交渉ですから、企業は積極的に賃金を引き上げる余裕ができていると思います。景気の後押しで、いよいよ賃金の上乗せが期待できるでしょう」
これまで貯め込む一方だった企業と働く人々の意識が変われば、長く続いてきたデフレ経済にもようやく終止符が打てる。
賃金が上がり、消費が回復し、企業の業績がさらに伸びる。そして、そこで働く人たちの賃金もまた上がる。57年前の高度経済成長期のような、好景気の真っ当な経済サイクルが帰ってくるのだ。そうなれば、もちろん株価もより上昇していく。
では日経平均株価はいくらまで上昇するのか。
「日経平均株価は、企業収益に対して株価の水準がどの程度にあるかを表すPER(株価収益率)が現在15倍程度で、まだ高い水準にあるとは言えません。過熱感が出るのは20倍を超えたあたりから。来年3月までに2万5000円まで上がってもおかしくない」(前出・保田氏
「米国ではトランプ政権による1兆5000億ドル規模の法人税減税があれば、企業収益はますます増加し、株価が上がるという見方が出てきています。NYダウ平均株価は3万ドルを超えるという予測もあるほどです。
一方、日経平均株価が3万円を目指すのは、デフレ脱却が見える頃からでしょう。現段階ではなんとも言えませんが、日銀は'19年度中と言っています」(前出・湯元氏)
仮に日本が景気回復しても東京オリンピックまで――そんな冷めた意見が多いのも事実だ。たしかに日本の人口は減少していくし、成熟国家として劇的な経済成長は見込めないかもしれない。
だが、日本企業の生産性が拡大すれば、日本にはオリンピック後も堅実に経済成長を続けるポテンシャルがある。景気がよくなれば、今後も不動産価格が上がる。
■世界を相手に外貨を稼ぐ
住宅評論家の櫻井幸雄氏が解説する。
「'20年を過ぎれば反動で不動産価格が値下がりするという意見もありますが、それは誤解です。たとえば、ロンドンでは五輪以降も地価は上がり続けています。
五輪に合わせて市街地のインフラ整備を積極的に進めた結果、街のポテンシャルが高まったのです。東京もこのパターンになる可能性が高い。
現在計画されているインフラ整備の多くは、'20年を終着点にしているわけではありません。リニア中央新幹線の開業予定は'27年だし、先頃始まった首都高速の大規模改修も、'20年に完成するのは羽田線の上りだけ。
すべてが完了するのは'28年の予定です。今後10年以上にわたり、日本のインフラは充実していきます。
経済波及効果の大きなプロジェクトが'20年以降も断続的に続くことを考えれば、地価は下がるどころか、上がる可能性のほうが高い」
さらに57年前と決定的に違うのは、日本の商売はあの頃と違い、世界が相手だということ。いまの日本には、莫大な外貨を稼ぐポテンシャルがある。鍵となるのが流通と物流だ。
「世界的に見ても強いのが、セブン−イレブンなどの流通業とヤマト運輸などの物流企業です。とくにアジアでは競争力を持っていて、技術移転も積極的に進めています。
こうした業種も10年、20年前からアジア進出を模索していましたが、結果を出せずに苦労していました。日本人のきめ細やかさがないと、サービスの質が保てない部分があるからです。
ところが近年、IT技術の進歩で、日本式サービスをシステムで支援することが可能になりました。さほどトレーニングを受けていない現地スタッフでも、日本と変わらない質のサービスを提供できるようになった。本格的に海外展開が進むのはむしろこれからです」(前出・鈴木氏)
かつて日本企業は「ものづくり」で世界を席巻した。円高や中国・韓国メーカーの安売り路線に圧迫されたが、いま、新しい技術が花開きつつある。それが電気自動車(EV)だ。再び、「技術立国」日本の実力に世界が驚くだろう。
「それが、トヨタなどが'20年代前半の実用化を目指している『全固体電池』です。これは液体を使わず、すべてが固体で出来ているバッテリーのことで、従来の電池に比べて燃えにくく、容量も大きい。この分野での特許の半分以上を日本企業が押さえています。
トヨタはこれまで電気自動車では他社の後塵を拝していると見られてきましたが、この分野で一気に逆転する目が出てきた。
光学ガラスメーカーのオハラは全固体電池の素材を現在はリチウムイオン電池用に発売し、株価も爆騰中です」(経済評論家・森永卓郎氏)
ホンダもEV分野に本格的に参入する。経営コンサルタントの加谷珪一氏がこう話す。
「ホンダは中国で格安EVの製造を始め、これに社運を賭けようとしているようです。埼玉の狭山工場を閉鎖するのも、国内での生産を縮小することの宣言だと思います。
まずは日本国内で製造ラインを完成させ、そのノウハウを中国など人件費が安くて需要が旺盛な国に持っていき、製品を大量に作って売る。
『安くていいものを作ること』が日本のお家芸ですから、そこに本気で取り組めば、再び日本のメーカーが世界で活躍できる」
強い日本経済が帰ってきた。あなたがそう実感する日も近いかもしれない。
「週刊現代」2017年11月11日号より
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