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株価の急騰で、「長期的な割高信号」が点灯
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171102-00195838-shikiho-bus_all
会社四季報オンライン 11/2(木) 16:51配信
日本株の絶好調が続いている。もっとも株高は世界的な現象であり、9月8日以降の日本株の目覚ましい上昇も、それまでやや出遅れていた分を取り戻す動きと捉えれば全く不自然なものではない。
とにかく世界的に見て、ここまで良好な投資環境はなかなか見られるものではないだろう。米国、中国、欧州、そして日本といった主要地域はどこも経済が底堅く推移し、内外の企業業績も極めて好調だ。しかも過熱感のない「適温」成長が続いている。中国で金融環境がややタイトになっていることが観測されているものの、当面大きな影響はないとみられる。
米国では次期FRB議長の候補指名が遅れているが、現時点で穏健派のジェローム・パウエル理事が最有力候補に浮上しており、その通りであれば混乱は生じないであろう。いろいろと見渡しても、少なくとも短期的には、大きなリスクというものが見当たらない。
短期的に見れば、株は上がるべくして上がっているといえるだろう。だが、投資家は天の邪鬼(あまのじゃく)であるべきで、曇りのない環境だからこそ気を引き締める必要がある。そういう観点から、ひとつ気になる指標がある。以前も取り上げたGDPに対する株式時価総額の比率、いわゆるバフェット指数である。
日本のこの比率は直近で1.2倍と、過去との比較で非常に高い水準にまで上がってきている。これはバブル期(瞬間風速では1.4倍)以来の水準だ。以前に見た米国の最新データも見てみると、こちらは1.66倍にまで上昇している(下図)。6月末の記事(過去最高の「バフェット指数」は割高サインか? )では、「比率で見ると割高に見えるが実際にはそれほど割高ではない」と結論づけたが、その後の株価上昇により明らかに“割高”といえる水準に突入しつつあるようである。
このバフェット指数の上昇にはれっきとした根拠がある。近ごろ話題に上ることが多い「労働分配率の低下」がその背景だ。経済成長の取り分が、労働者ではなく企業や投資家により多く配分される結果、株価の上昇率がGDPの成長率を上回るのである。
その意味で、バフェット指数の上昇が必ずしも単純な株価の割高さを示すとは言い切れない。たとえば、やはり以前取り上げた長期的な利益動向に対する株価の比率を示す“シラーPER”は、依然として米国ではそれほど懸念すべき割高さを示してはいない。つまり、企業の収益力がGDPを上回るスピードで拡大しており、株価上昇はそれに応じた動きをしているだけとも考えられるのだ。
だが長期的に見て、労働分配率が低下を続け、株式時価総額がGDP成長率を上回り続けることが果たして可能なのか。少なくとも、バフェット指数が過去のトレンドから大きく上振れるする動きが長く続くことを正当化できる理由は見当たらない。
もちろん、こうした“長期的観点から見た割高さ”が、短期的な相場の方向性を大きく左右する要因になるとは考えにくい。だから、これをもって「株価は反転下落する」と考えるのは時期尚早だろうが、相場が新しい段階に入ったサインと考えることは十分に可能だと思う。
これまでは、割高でもなければ加熱もしておらず、ファンダメンタルズの改善に伴って株価が上昇する局面だった。だが、今は割高さや過熱感をやや気にすべき局面に入ったといえるだろう。
とりわけ注意をすべきは、投資家のリスクに対する意識が薄れつつある傾向が見られる点である。リターンを手っ取り早く追及するためのレバレッジ型商品の取引量が拡大しており、2000年代に見られた複雑な仕組み商品にもまたぞろ復活の兆しがうかがえる。周囲を見渡してもたいしたリスクが見つからないのだから、積極的にリスクを取りに行くのは投資家にとって当然の成り行きかもしれないが、それこそが「いつか来た道」なのである。
ここから株価はスピード調整して健全な状態を維持できるのか、さらなる上昇で過熱感を強めるのか、注意が必要な局面に差し掛かっていると考えるべきだろう。
田渕 直也(たぶち・なおや)/1985年、一橋大学経済学部卒業。日本長期信用銀行(現新生銀行)で主にデリバティブのトレーディング、ポートフォリオマネジメントに従事。UFJパートナーズ投信(現三菱UFJ投信)債券運用部チーフファンドマネージャーとして、社債やストラクチャード・プロダクトへの投資運用体制を構築。『カラー図解でわかる金融工学「超」入門』、『投資と金融にまつわる12の致命的な誤解について』など著書多数。現在、ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
田渕 直也
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