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トヨタ自動車 ディディエ・ルロワ取締役副社長によるプレスカンファレンス
トヨタも見捨てた!?東京モーターショー「地盤沈下」の深刻実態
http://diamond.jp/articles/-/147932
2017.11.2 石橋留市:ジャーナリスト ダイヤモンド・オンライン
東京モーターショーの“地盤沈下”が続いている。入場者数や出展社数は下落傾向にあり、海外有名メーカーの不参加も目立ち、完全に世界5大ショーの地位を中国に奪われてしまっている。それに加え、母国開催であるにもかかわらず、今回はプレスカンファレンスにトヨタや日産という日本を代表する自動車メーカーの社長が出ないという“前代未聞”の事態が起きている。(ジャーナリスト 石橋留市)
“異変”が起きた
25日のプレスデー
東京モーターショーの“地盤沈下”が止まらない。
近年は海外メーカーの出展見合わせが相次ぎ、10月28日から一般公開が始まった第45回でもアメリカ、イタリア、イギリス勢が不参加となった。今や世界5大モーターショーの地位は中国でのモーターショーに奪われている状況だ。
さらに今回の東京モーターショーでは日本メーカーによる国内軽視とも受け取られかねない事態が発生。関係者の間で衝撃が走る事態に陥った。
日本にはトヨタ、日産、ホンダなど世界に名だたる自動車メーカーが存在する。母国市場で行われるモーターショーにもかかわらず地盤沈下が続くのは、「変わりゆく日本市場」に対するメーカーの姿勢そのものを映し出しているのかもしれない。
異変が起きたのは25日。報道関係者向けに公開されたプレスデーのことだ。
メーカー各社は出展概要を説明するために、プレスカンファレンス(通称:プレカン)を行うのだが、今回の東京モーターショーではトヨタ自動車がトップバッターとして25日午前8時30分から実施する予定になっていた。
母国開催なのに
プレカンはトヨタ、日産ともに副社長
プレカンは通常、会社の代表者、つまり、社長が挨拶に立つのが一般的だ。
そのため、詰め掛けた報道関係者の誰もがトヨタの経営トップ、豊田章男社長が登壇するものと思っていた。ところが、受付で渡された案内に書かれていたスピーカーの名前はディディエ・ルロワ氏。フランス人取締役副社長だった。
今さら言うまでもないが、トヨタ自動車は日本を代表する自動車メ―カーだ。日本、そして世界経済に大きな影響を与える超巨大企業である。
そのトヨタの母国市場で行われる東京モーターショーで社長が出ないという事態。まさに「異例中の異例」であり、言い換えれば、「あり得ない事実」として受け取られた。
ルロワ副社長が挨拶の冒頭で「皆さんの中には私を見てこう思った方もいらっしゃるかもしれない。東京モーターショーでトヨタのスピーカー?そんなはずはない。インポッシブルだ。安心してください。文章を間違えたわけではない。ここがトヨタです。ようこそ」と冗談めかして発言したのは、皮肉なのか、自虐なのだろうか。
むろん、報道関係者らは冗談としては、受け止めなかった。
日産自動車はダニエレ・スキラッチ副社長がプレカンを担当した
“異変”は日産でも続いた。カルロス・ゴーン会長でもなく、西川廣人社長兼最高経営責任者でもなく、ダニエレ・スキラッチ副社長が登壇したからだ。
周知の通り、日産は不正検査問題の真っ最中である。
プレカンすら「自粛すべき」、「よく出てきたな」といった声すら聞こえていた。安全に対する逆風が吹く中で、自社製品をアピールすること自体、無神経と受け取られないからだ。
実際、プレカンには強い違和感を持った。まずスキラッチ副社長は神妙な面持ちで、国内工場6ヵ所で発生した無資格者による検査問題に対して謝罪。ただ、謝罪後のプレゼンは一変した。声の張りや大きさ、ジェスチャーなど同じスピーカーとは思えないほどの変わり様だったからだ。
私見と断っておくが「こんなことをしてる場合か」と思ったほどだ。
出展した海外メーカーも
違和感を持った
実は翌26日、豊田社長は会場に現れている。
私服姿ではあったが日本自動車工業会会長代行として、部品メーカーのプレカンを勢力的に視察した。途中、プレカンを欠席にした理由について某雑誌社の質問に答え、「深い意味はない。私は比較的にどんなイベントでも一般公開日に話をさせてもらっている。最近はSNSの普及でユーザー自身が新聞、雑誌、TVになっており、私が一般公開日に来場し発信することでそのパワーを感じたかった」と語っている。
情報発信が多様化していることは紛れもない事実だ。
ただ、トヨタ、日産のトップが揃って登場しない東京モーターショーは、これだけでもプレゼンス低下を感じてしまう。
分刻みのスケジュールをこなし、世界中を飛び回るトップだけにスケジュール調整の難しさは理解できる。そうだとしても、両社とも日本を代表する自動車メーカーであり、東京モーターショーは“母国開催”であるという事実、そして2020年に控える東京オリンピック・パラリンピックを見据えても、トップ自らが何らかのメッセージを発信すべきだったのではと考えてしまう。
今回の東京モーターショーには海外メーカー(輸入元)も違和感を持っていたようだ。
事実、「日本メーカーが盛大にやってくれないと、我々の方が目立ってしまう」と、某ドイツメーカーの広報担当者は苦しい胸の内を明かした。日本メーカーがブースの規模、演出も含めて「これでもかと盛り上げることが東京モーターショーには必要。とくに今回の状況を見るとそう思う」と落胆の色を隠さない。
海外メーカーの車はモーターショーの“華”であることに間違いはないが、ここは日本であり、東京だ。日本メーカーの母国市場で開催するモーターショーである。何より日本メーカーが盛大にやってこそ、海外ブランドという華もより際立つというものだ。
運営サポートの代理店もうなだれる
数字でも明らかな地盤沈下
出展各社の運営サポートを行う広告代理店さえも、東京モーターショーの地盤沈下を訴える。
「前回はスポーツカーを展示したこともあり取材依頼がすごかった。今回も取材予定が詰まってはいるが前回ほどは…」とうなだれる状況だ。また、“肌感覚”と断った上で「海外プレスの数も会を重ねるごとに減っていると感じる。とくに欧米からの報道陣が少ない、というか、いないよね」と恨めしそうに自社ブースを見回す。
一方、東京オリンピック・パラリンピックの開催を3年後に控え、改装中のビッグサイトにもの申す関係者もいた。とくに指摘したのが東展示棟に新設された7・8ホールへのアクセスの悪さだ。「東7・8ホールは一番奥。駅から歩くと20分はかかる。トヨタブースのある西ホールからホンダ、スズキがブースを構える7・8ホールまでがやたら遠く感じる」と嘆く状況だ。
東京モーターショーの地盤沈下は数字上でも見て取れる。第1回が開かれたのは1954年のこと。出展台数は267台。10日間の開催期間中、54万7000人の来場者が訪れた。来場者のピークはバルブ崩壊後の1991年に行われた第29回。201万8500人を記録し、唯一の200万人超えとなっている。
来場者数は第29回を境に下降線をたどることになる。第30回(1993年)は181万600人、第31回(1995年)は152万3300人、第32回(1997年)は151万5400人となり、乗用車と二輪車、商用車の1年おきに開催された第33回から39回を除くと、リーマンショック後の第41回(2009年)には61万4400人まで減少した。第41回の出展社数、出展台数は前回から半減。出展台数は261台で第1回よりも少ない状況だった。
第42回(2011年)以降は若干の持ち直し傾向は見られるものの、それでも100万人を超えることはなく、来場者数は80〜90万人で推移している。
現在、日本には約8100万台のクルマが走っている。第1回東京モーターショーが開催された1954年の保有台数は133万8000台(総務省調べ)であり、実に約60倍にも拡大している状況だ。
直前には日本メーカーの不正検査問題も発覚
東京モーターショーの名がすたる
自動車産業は日本経済を支える基幹産業として大きな成長を果たしたものの、一方で「若者のクルマ離れ」という言葉に代表されるように自動車への関心は薄れ続けている。
クルマが憧れの存在ではなくなり、クルマを持つことがステータスでも何でもなくなった状況が、」東京モーターショーでも反映されているように思う。
であるならば、なおさら日本メーカーこそ真正面から東京モーターショーと向き合うべきではないだろうか。メディアから「社長が出ない」などと言われるようでは、母国市場で行われる東京モーターショーの名がすたるというものだ。
今回の東京モーターショーでは開催前、そして開幕直後にも日本メーカーによる不正検査問題が発覚した。
地盤沈下が続く中での相次ぐ不祥事に、水を差すどころの騒ぎでなくなっている。今回の東京モーターショーはユーザーの目にはどう映るのだろうか。来場者数の推移とともに注目したい。
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