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日経平均株価は過去最長の16連騰を記録した Photo: Rodrigo Reyes Marin/AFLO
日経平均が過去最長16連騰でも個人投資家は慌てて買う必要なし
http://diamond.jp/articles/-/147449
2017.10.31 大江英樹:経済コラムニスト ダイヤモンド・オンライン
株価上昇局面で盛り上がる
「持たざるリスク」とは
最近、株価が堅調だ。日経平均株価は、10月24日まで16日連続で上昇、過去最長記録を更新した。現在、株式を持っている人にとっては、実に楽しみな日々が続いていることだろう。
しかし、一方では心中穏やかならざる人たちが、大勢いることも事実である。株が上がっているのは悪いことではないのに、なぜそんな気持ちになるのか。
株式投資というのは価格変動が常につきまとうものであるから、株を持つことはリスクを負うことになるというのは誰でも知っている常識だ。ところが最近のように株式市場が上がり始めてくると、今度は「持たざるリスク」という言葉がよくささやかれる。
これは、「株が上がっているのに持っていなければ、もうけ損なってしまう」ということを意味する言葉で、「株を持っていないこと自体がリスクになる」という含意を示している。
評論家たちは、よくこの言葉を口にするし、証券会社の営業マンも「株を買っておかないと、ここからは“持たざるリスク”が出てきますよ」などと言ってさかんに株式や投信を勧めてくる。さらには、新聞の論調にもマーケットが上昇してくるに連れて、そういうトーンの記事が増えてくることも多いようだ。
それだけ言われると、株を持っていない人は焦る気持ちが出てきて「とりあえず何か買っておこう」「何か良いものはないか」といって証券会社に相談し、慌てて株を買うという行動に出やすくなる。つまり、前述の心中穏やかならざる人たちは、かなり焦り始めている人だと言っていいのである。
個人投資家は
考える必要なし
だが個人投資家は、実はこの「持たざるリスク」というものを考える必要はない。「持たざるリスク」があるのは、他人のお金を預かって運用する仕事をしている人、例えば投資信託を運用するファンドマネジャーや、年金基金を運用する人たちなどだ。
なぜなら、彼らは常に比較されるからである。何と比較されるのか。それは市場平均であり、他社の運用成績とである。ベンチマークである市場の指数に比べて劣っていたり、同業他社に比べて運用成績が負けていると、解約されたり運用委託先を変更されたりするということが起こり得る。
したがって、彼らにとっては預かっている資金を減らさないということも大切だが、それ以上に絶対に他には負けない運用をすることが必要なのだ。ところが、株が上がっていくときに現金のままで様子を見ていたのでは、指数や他社の運用に負けてしまうことになる。つまり、株を買わないという行動自体がリスクとなり得る。だから上昇相場のとき、彼らには明らかに「持たざるリスク」が存在するのだ。
ところが、個人の場合は他人との「相対比較」ではなく、自分がもうかるか損するかという「絶対比較」しかない。他人がいくらもうかろうが、損しようが関係ないのだから、人の運用成績に影響を受ける必要は何もないのである。
もし、上昇相場に乗り遅れたと思ったら、様子を見て買わなければいいだけの話だ。むしろ、乗り遅れまいと焦って買うと、高値づかみしてしまうことになるかもしれない。つまり、個人投資家にとっては「持たざるリスク」を考える必要はなく、もう買えないと思ったら、「休むも相場」という格言にしたがって、じっとしていればいいのだ。
ところが相場が上昇し始めると、多くの人は乗り遅れまいと焦って買いに出ることが多い。マスコミや業者にあおられて、何も考えずに買ってしまうという面もあるのだが、どうもそれだけではなさそうだ。では、その理由は一体何なのだろう。
株式投資では意味がない
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」
普通の個人投資家が「持たざるリスク」を感じる心理は、“みんなが買うから自分も買わなければ!”という焦りの気持ちにあるのだと思われる。これは、心理学で「ハーディング現象」と言われるもので、群れの中にいると安心するという心理である。
「バンドワゴン効果」とも言い、昔流行った「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というギャグがこの気持ちをよく表している。たとえ危険なことでも、みんなと同じ行動をやっていれば安心だと考えてしまう心理だ。
しかし、皮肉なことに株式投資においては、みんなと同じ行動をとっていたのでは絶対もうからない。むしろ人と逆の行動をとらなければ、もうけることはできないのだ。相場の格言で「人の行く裏に道あり花の山」というのがあるが、この格言もみんなと同じことをしていると、もうけることはできないということを戒めている。
とはいえ、逆のことをやるのは非常に難しいことで、強い意志を持っていなければ実行するのは困難だ。特に株価が上昇し始め、回りの人がもうかっている状況になれば、自分も出遅れまいとして買いたい気分になるのは当然だ。だとすれば、今回のような上昇相場で、乗り遅れたと感じたときは一体どうすればいいのだろう。
答えは、「何もしないこと」である。慌てて相場に乗り遅れまいと買いに走るのではなく、何もせずに様子を見ておくのだ。
相場というものは、いつまでも永遠に上がり続けることはなく、永遠に下がり続けることもない。上がったものはどこかの時点で必ず下がるし、逆も同様だ。したがって、もし今回の相場に乗り遅れたと感じたら、焦るのではなく、次の相場を待てばいいのだ。
よく駅のホームで、「発車間際の駆け込み乗車は大変危険ですからおやめください。次の列車をお待ちください」というアナウンスが流れている。筆者はこのアナウンスを聞くたびに、個人投資家が相場に乗り遅れまいと焦って買う危険を冒している様子が、駆け込み乗車をしている乗客と同じに感じられる。
電車の場合はうまく乗り込むことができれば問題はないだろうが、株式相場の場合は焦って乗ってしまったとたんに暴落にあうということは決して珍しくない。筆者の長い間の証券マンとしての経験の中で、そうしたケースをたくさん見てきたからだ。
どこかで必ず下がるのだから
次の機会を待てばいい
たまたま上昇相場に乗り遅れたとしても、どこかで必ず下がるのであるから、次に大きく下がった時(=次の電車)を待てばいい。「持たざるリスクを避けましょう」と言って株や投信を勧めてくる営業マンがいたら、個人投資家の本質をわかっていないか、あるいはわかっていても自分の商売優先で勧めているかのどちらかだろうから、あまり相手にしない方が賢明だ。
世の中には、株式や投資信託などに投資したことがないという人はたくさんいる。では、そうした人たちはみんな「持たざるリスク」を負っているのだろうか。そんなことは決してない。投資をしなくても普通に生活している人はたくさんいる。いや、むしろそういう人の方が多いだろう。
繰り返しになるが、「持たざるリスク」というのは、あくまでも他人のお金を預かって運用している人たちの間での「相対比較」において言えることだ。個人投資家はそれぞれ自分に合った運用スタイルがあるのだから、人のことを気にしたり、無理して投資し続けたりしなければならない理由は何もない。
どんな状況でも、常に株式を売買し続けなければならないプロの運用者と違って、個人投資家は自分の資産を全額投資する“フルインベストメント”の状態に置いておく必要はない。むしろ、現金を常に一定の比率で持っておき、株価が大きく下がった時に買えるようにしておいた方がリスクも少ないし、結果として得られる利益は大きくなるはずだ。
個人投資家が持っている最大のアドバンテージは、「休むことができる」ということなのである。あくまでもこのアドバンテージを生かし、個人流の投資手法に徹することを考えた方がいいのではないだろうか。
(経済コラムニスト 大江英樹)
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