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老後資金は1億円必要だが、普通のサラリーマンは何とかなる
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10947
2017年10月29日 塚崎公義 (久留米大学商学部教授) WEDGE Infinity
老後の資金がどれくらい必要か、考えたことがありますか? 自分の年金の額を知っていますか? 自分の老後資金は足りないと思いますか? それはなぜでしょう? もしかして、「老後資金が足りないから、投資で増やしましょう」などといった勧誘にビビっていませんか? まずは、客観的に自分の老後を見つめてみましょう。『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、解説します。
■老後資金は1億円必要
「老後資金は1億円必要だ」と言われます。それは、おそらく本当です。60歳時点の平均余命は男性が24年、女性が29年です。これから医学が進歩して平均余命が伸びるかもしれませんし、読者が「たまたま」平均より長生きするかも知れません。そこで本稿では、夫が60歳で定年を迎え、同年齢の妻が92歳で他界するとします。その間、1カ月25万円で生活するとすれば、1年間で300万円、32年間で9600万円です。400万円くらいは万が一の時のために持っておきたいですし、何事もなければ葬式代として遺産に遺したいですから、合計で1億円になるわけです。
「大変だ。自分は1億円も持っていない」と思った人もいるでしょうが、御安心下さい。今の高齢者で、現役時代に1億円持っていた人は稀ですが、それでもほとんどの高齢者は何とか暮らしています。むしろ、高齢社会白書によれば、多くの高齢者が暮らし向きのアンケートに「まったく心配ない」「それほど心配ない」と答えているのです。
■サラリーマンは退職金も年金も頼りになる
日本企業は年功序列賃金ですから、40代、50代になると結構高い給料がもらえます。また、サラリーマンには退職金がはいります。違和感を感じる人も多いでしょうが、厚生労働省の統計によれば大卒で2000万円超、高卒事務系の平均も2000万円程度だそうです。不謹慎ではありますが、親が他界した時に遺産が受け取れるかもしれません。これは本当に人それぞれでしょうが、日本の高齢者は平均すれば結構な資産を持っています。「100歳を超えて長生きした時にも老後資金が底を突かないように」と倹約していますが、実際には100歳を超えて生きる人は稀ですので、その分が遺産として残るのです。
そして何より、サラリーマンは年金が頼りになります。厚生労働省によれば、サラリーマンの夫が標準的な報酬(賞与含む月額換算で36万円)で40年間就業し、妻がその間すべて専業主婦であった世帯が受け取る年金は、夫婦合計で22万円程度とされています。老後の生活費としては若干心もとないですが、暮らしていけない金額ではありませんね。
■目処は、退職時点の金融資産2000万円
60歳で退職金を受け取り、住宅ローンなどを完済します。その時点で金融資産が2000万円あれば、とりあえず何とかなりそうです。65歳までは働いて生活費を賄うことで2000万円は温存しましょう。退職金を年金で受け取る場合も、考え方は同じです。生活費は働いて捻出し、年金として受け取る退職金はそのまま貯蓄しておきましょう。
65歳から年金を22万円受け取り、毎月3万円ずつ補填しながら生活することになります。92歳まで27年間で、1000万円ほど必要です。万が一の場合の500万円を残すとして、合計必要額は1500万円です。もっとも、27年間の間に「マクロ経済スライド(少子高齢化で年金が削られていく制度)」で年金が削られたり、インフレが来て預金が目減りしたりする事に備えて、500万円くらいの余裕は持っておきたいですから、2000万円が一つの目処と考えて良いでしょう。
後述のように、年金の受給開始を70歳まで待つと、毎回の受給額が42%増えますから、待つ場合についても考えてみましょう。65歳から70歳までの5年間で金融資産を取り崩して生活するとすれば、毎月25万円ずつ金融資産が減っていきますが、65歳時点で2000万円あれば、70歳時点で500万円残るでしょう。これを万一の場合の備えとし、70歳以降は年金だけで十分暮らして行けます。毎月の年金が22万円の1.42倍受け取れますから、当初はむしろ余裕があるでしょう。もっとも、「マクロ経済スライド」などを考えると、余裕分は貯金しておきたいですね。
■自営業者は定年が無いので、老後も元気な間は働こう
自営業者は、個々の事情が大きく異なるでしょうが、退職金が出ない上に、公的年金もサラリーマンに見劣りします。夫婦2人とも40年間国民年金保険料を払い続けた場合でも、2人合計で毎月13万円程度しか年金が受け取れません。ただ、サラリーマンと比べた大きな安心材料は、定年がないので、元気な間はいつまでも働くことができる、ということです。元気な間は働けるだけ働きましょう。
今ひとつ、自営業者は、公的年金が充実していない分だけ、iDeCo(確定拠出年金個人型)の拠出限度額がサラリーマンより大きく設定されているほか、国民年金基金、小規模企業共済制度、付加年金も使えます(併用する際の限度額等には要注意)。これらは、自営業者が老後資金を蓄えることを支援するために用意されている税制上の優遇措置ですから、大いに活用しましょう。要するに、若い時から老後に備えて貯金しましょう、その際は税制上の優遇措置を活用しましょう、ということですね。
■公的年金の受給開始を70歳まで待つと毎回の受取が42%増える
公的年金は、老後資金の中核であり、長生きとインフレのリスクに備える最強の手段ですが、これをさらに頼りがいのあるものにする方法があります。それは、年金の受給開始を70歳まで待つことです。
年金は、普通は65歳からの受給開始ですが、60歳と70歳の間で受給開始のタイミングを選ぶことができます。60歳から受給を開始すると、毎回の受取額が30%減ってしまいますが、70歳まで待ってから受給すると毎回の受給額が42%増えるのです。
サラリーマンは、22万円が42%増えれば、それだけで十分暮らしていけるでしょうから、何とか70歳まで我慢しましょう。少子高齢化による労働力不足の時代ですから、高齢者でも探せば仕事が見つかるでしょう。元気な間は働きましょう。それが無理でも、退職金や老後の蓄えで70歳まで食いつなぐ事が出来れば、上記試算のように、老後は一応安心です。
自営業者は、退職金もありませんし、年金もサラリーマンと比べて見劣りしますが、年金の受給開始は70歳まで待って、少しでも年金を充実させましょう。13万円の1.42倍の年金があれば、暮らせないことはないでしょう。もちろん、少しずつ取り崩せるだけの老後資金があれば安心ですし、70歳になっても元気ならば働き続けることが望ましいですが。
今回は以上です。
ちなみに、老後資金の中核である公的年金については、拙稿「年金制度について、15分で学ぼう」を御参照下さい。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10517
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