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デフレから脱却したら待っているのは経済危機!
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2017年10月26日 小笠原誠治の経済ニュースゼミ
デフレの定義にもよりますが、仮にデフレとは、物価が恒常的に上がらない、或いは低下し続けるような状態だとして、日本経済がデフレから脱却すればバラ色の将来が待っていると言えるのでしょうか?
2012年暮れの選挙で安倍自民党総裁は、何がなんでもデフレからの脱却が先決だと有権者に訴えたことを覚えている人は多いと思います。
つまり、マイルドなインフレを起こすことこそ必要だ、と。
どうしてそのようなことを言ったかと言えば、日本の労働者の名目賃金が長年に渡り上がらない、或いはむしろ低下するような状態が続いていたからです。インフレになれば、名目賃金は上がりやすくなるであろう、と。
賃金が上がらないことに不満を抱いている有権者が多いから、そこで賃金を上げる政策を打ち出せば必ず支持率が上がり、政権の奪回も十分に可能だ、と思ったのでしょう。
で、政権交替後は、安倍総理の思惑どおり日銀は物価目標値を設定し、そして、日銀が市場からガンガン国債を買い上げてマネーを大量に放出する作戦に出たのはご承知のとおり。
しか〜し…
しか〜し…
しか〜し…
物価はなかなか上がりませんでした。
民主党政権時代と大して変わらないのです。
で、ここで質問をしたいのですが…今後、何らかの理由によってインフレ率が目標値の2%を超えるような状態が実現したら、日本経済はどうなるのか?
おめでたいことだ?
確かに、再び我が国の出生率が上がり人口の減少にストップがかかるなど、実体経済の環境の変化に伴って物価が上がり、なおかつ賃金まで上がるというのであればおめでたい気もするのですが…
しかし、マイルドとはいえ物価が上がるその原因が、例えばエネルギー価格の上昇を原因とするようなものであれば、物価が上がっても景気は良くないということもあり得る訳です。
それに、仮に景気の回復に伴ってインフレが発生したような場合であっても、物価上昇率が2%を超え、3%或いは4%にでもなれば、否が応でも引き締め政策に舵を切らざるを得なくなります。
つまり、日銀による国債の大量買い上げはストップする、と。
でも、そうなると、その日銀が抜けた後を誰かが埋める必要がある訳ですが…
物価が上がり金利が上がるような状況というのは、国債価格が低下する状況でもある訳ですから、なかなか国債の買い手が見つからない、と。
そして、国債の買い手がみつからないと、国債を買ってもらうためにさらに金利を上げざるを得ない、と。
政府の金利負担は徐々にではあるものの確実に重くなり始めるのです。
つまり、金利を支払うために借金をする必要がある、言いかえると、金利を支払うために発行しなくてはならない国債の額が増えるのです。
政府がどうにか資金繰りを付けることができればいいのですが、もし、それが困難になったら、年金や公務員の給与が決められたとおり支払われなくなる恐れさえあるのです。
もちろん、そのような事態に陥ったら、それこそ日銀が国債を再びどんどん買い上げたらいいという意見があることは承知しています。
日銀に国債を買い取ってもらって資金繰りを付ける、と。
しかし、インフレが進む中で日銀が国債を買い続けるということは、さらにインフレを加速させることにつながってしまうのです。
矛盾しているでしょう?
今のようにインフレになる気配がないなら日銀による国債の買い上げも認められるでしょうが、インフレが進む中で、日銀が国債をさらに買い上げるというような政策を採用することができるのか、と。
そうなると、心地よい円安ではなく、恐ろしい円安が起きる恐れもあります。
資本の流出!
海外投資家が日本の株式を手放す、と。
デフレから脱却することができた状態こそ、日本経済にとっては危機であると言うべきでしょう。
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