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左から、太田差惠子さん、中村寿美子さん、濱田孝一さん(撮影/写真部・小山幸佑)
いい高齢者ホームは「お任せください」と言わない 施設選びのプロが解説〈dot.〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171017-00000043-sasahi-life
AERA dot. 10/20(金) 7:00配信
高齢者ホームに関する本やウェブサイトは数あれど、実際のところ、何をもって「いいホーム」と言うのだろう。お金? それとも設備!? 発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、メディアや講演などで活躍している3人のホーム選びの「プロ」に相談。ホンネを聞き出したので、3回に渡ってお届けする。1回目は、ホーム選びの基本を紹介しよう。
* * *
――ズバリ、「いい高齢者ホーム」とはどういうところでしょうか。
中村寿美子:私は職員が定着しているところがいいホームだと思います。
濱田孝一:それは大きなポイントの一つですよね。入居者にとっていいホームはスタッフにとっても働きやすく、離職率が低いですから。
太田差惠子:私はひとくちに「いいホーム」なんてないんじゃないかな、と思っています。利用者やニーズによっていいホームの定義は変わるので。何を望むかですよね。
濱田:アメニティーやスタッフによってずいぶん変わりますよね。でも安いからだめということはない。高級割烹料理からファストフードまで全部並べてどれがいいですか、というのと同じで、ニーズが違えば単純比較はできない。
中村:そう、安いからだめということは全然ないです。それと、経営者の方針も大事ですね。私が紹介業をやっていたとき、「どうしたらうちのホームを紹介してくれるんだ」という企業がありました。株主の提示や一時金の償却年数などいくつも納得できない点があったからで、「そこをクリアしたらご紹介します」とこちらから条件を出したんです。でもその後に来ることはなかった。だから必ず経営者に会って方針を確認します。
濱田:僕は京都なんですが、東京はそういう経営者が多そうですね。
中村:京都はすぐに口コミで広がってしまうから悪いことはできないでしょう?
濱田:そうですね。東京の噂は関西にいても聞こえてきますよ。なんでこんなに高額なんだとか、この金はどこへいっているんだとか。高齢者もわからないから、高額ならいいサービスが受けられると勘違いしてしまうんですよね。
太田:この前、知人から相談されたサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)があって、調べたら過去に債務超過している企業で……そういうところはどうなんでしょう。
中村:サ高住は“老人アパート”ですからね。特定施設はしっかり選ばないといけないですけど、サ高住は嫌なら住み替えるつもりでいたほうがいいかもしれませんよ。
太田:いやぁ、でも皆さんはそうは思っていませんよ。2〜3年前までは「特養」と「有料」という言葉がバンバン出ていましたけど、今は「サ高住、サ高住」と言って完全に施設扱いですから、理解できていないんだなと思います。
濱田:昨年、北海道に行ってきたんですけど、無届け施設の宝庫でしたよ。全国の無届け施設の半分ぐらいが北海道。
中村・太田:そうそう!
太田:価格が安いから、東京の人も行ってしまうらしいですね。
濱田:その結果、とある市では介護報酬が市税を超えたらしいですよ。話がそれました……こういう話をすると、皆さんどんどん暗くなっていくんですよね。
中村・太田:そうそう(笑)。
中村:経営方針は一般の方にはわかりにくいかもしれませんが、人任せじゃなく見学に行き、自分の目で見て耳で聞いて、できれば体験入居もして感じてほしいです。
濱田:たくさん見学することでいろいろわかってきますよね。いいホームは本人や家族の質問・不安に対して、リスクやトラブル、経営方針などを丁寧に説明してくれます。よくわかっていない事業所は「安心・快適」などの美辞麗句しか並べない。老人ホームって、事業者がプロの視点から家族に「一緒に協力して入居者を支えましょう」というビジネスモデルなので、いいホームほど「お任せください」とは言わないです。
中村:入居者も職員も対等なんですよね、基本は。
濱田:ホームに入ると、どうしても入居者のほうが立場が弱くなりやすい。ですから入る前にしっかり学んで選ぶことが大事です。
――職員の定着はどうしたらわかりますか。
中村:「重要事項説明書」に従業員の人数や資格、勤続年数などの一覧があるのでそこを見ればわかります。届け出が義務付けられていますから、都道府県、市区町村にあります。パソコンでダウンロードできるところもありますよ。
太田:パソコンが苦手なら、見学時に直接「ください」って言えばいいんです。知識がなくても理解しやすいようにできていますよ。
濱田:記入内容から、事業者の資質やノウハウがわかります。ところが契約する人にしか見せません、という施設もある。
太田:契約までいったら読むんでしょうけど、そこまでいったら後戻りはなかなかできないですよね。それに、重要事項説明書は契約前には読めないと思い込んでいる方も多いんですよね。早めに読んでおいたほうがいいですよ。
濱田:しっかりと準備をせずに慌てて見学に行く人はそういう失敗をしやすいです。親が退院するけど特養はいっぱいで、どうしようか、あそこに新しい老人ホームができたから見に行ってみよう。で、行ってみると施設は新しいし「安心です、快適です、すぐに入れます」と言われて、ああよかったといって契約しちゃう。これはだいたい失敗するパターンです。
太田:特養は入所まで数年待ちと報道されているから、有料老人ホームや民間の施設もなかなか入れないと思っている人が多いです。
濱田:特養も空いてますもんね。
中村:特養は自分のいる自治体でなくても申し込めるのに、ケアマネさんがそういうことを説明しない。そこが問題だと思います。
濱田:2002年以降にできた特養はほとんど、ある程度お金を持っていないと入れない個室型です。
太田:国民年金だけの人は月5万〜6万円で入れるからいいんですけど、厚生年金とか所得がもっとある人は12万〜13万円になって、安い有料老人ホームと値段が変わらない。
濱田:医療費を入れたら18万円ぐらいかかるから、入れる人は限られますよね。計算すると240万円ぐらいの年収があるか数千万円を所有していないと、特養にはもう入れなくなっているんです。
中村:国の制度ミスですよね。
濱田:完全に制度ミスです。田舎のほうの特養では、理事長が議員で奥さんが施設長とか、そんなの山ほどありますからね。ただ、ぶっちゃけ15万円の特養と25万円の介護付き有料老人ホームとどっちが上等かっていったら、特養ですよ。3倍くらい上等ですよ。スタッフもたくさんいるし。特養に入れたらラッキー。そして金持ちから特養に入れる。するとお金がない人は、いわゆる囲い込みの医療とか介護を集中的に利用させて利益を出すようなところに行かざるを得なくなって、ここでも社会保障費垂れ流し……というわけです。昔ながらの4人部屋タイプの特養は今もいっぱいで数年待ちですよ。
太田:地域によってそうとも限りません。特養は弱者救済の使命もあるので、所得によって費用が軽減されます。入所の順も必要性の高い人からなので、所得が多くない独居の人が優先される場合が多いですよ。
濱田:微妙な話ではあります。これから超高齢化で認知症の高齢者もガンガン増えるわけで、特養は今後、認知症高齢者中心の施設になるでしょう。
(構成/石川美香子)
<プロフィル>
太田差惠子(おおた・さえこ)/介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科前期課程修了。「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」等の視点で執筆、講演を行う。主な著書に『高齢者施設 お金・選び方・入居の流れがわかる本』 (翔泳社)、『親の介護で自滅しない選択 』(日本経済新聞出版社)など
中村寿美子(なかむら・すみこ)/介護コンサルタント。SOMPOケアメッセージ、SOMPOケアネクスト顧問。都内の有料老人ホーム勤務後、1997年、都内に有料老人ホーム展示場を開設。2017年7月から現職。相談業務のほか行政、民間企業向けセミナーも手がける。主な著書に『死ぬまで安心な有料老人ホームの選び方 子も親も「老活!」時代』 (講談社+α新書)など
濱田孝一(はまだ・こういち)/経営コンサルタント、社会福祉士、介護支援専門員、ファイナンシャルプランナー。立命館大学経済学部卒業、銀行入行。以後、介護職員、社会福祉法人マネジャーを経て、2002年に住宅コンサルティング会社を設立。現在は、高齢者住宅のコンサルティング、講演、書籍執筆を行う。主な著書に『「老人ホーム大倒産時代」の備え方』(扶桑社)など
※週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018 プロに教わるやすらぎの選びかた」から
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