http://www.asyura2.com/17/hasan124/msg/166.html
Tweet |
日本経済の「好調」は、思い込みだけで支えられた危険な状況 「実感なき景気回復」のツケ
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53197
2017.10.16 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
10月22日の衆議院総選挙が近づく中、報道各社による世論調査の結果が明らかになっている。それによると自民・公明で300程度の議席の確保が見込まれている。
世論調査は水物であり、開票結果を見るまで選挙結果は何とも言えない。それでも、希望の党の勢力動向に気をもんできた市場参加者にとって、世論調査の結果は一定の安心感を得る材料となっただろう。
多くの市場関係者は、選挙後の経済政策がどう運営されるかに考えを巡らせている。恐らく金融市場は、次期政権下での経済政策に関する憶測で動きやすくなるだろう。
財政再建、社会保障の持続性の向上、構造改革など論点は多い。だが、その中で重要なポイントは、日銀の金融政策がどうなるかだ。
■「金融政策一本足打法」の限界
2012年12月の総選挙で政権与党に返り咲いた自民党政権は、金融政策、財政政策、成長戦略(構造改革)からなる「アベノミクス」を進めることで、デフレ経済からの脱却を目指した。しかし結果として、アベノミクスは金融緩和策に依存してしまった。
米国経済が緩やかな回復を続ける中、「金融政策一本足打法」のアベノミクスはドル高・円安の一時的なトレンドを支えた。その結果、企業業績のかさ上げと株高による資産効果によって、国内の景況感が改善したことは確かだ。
しかし、この改善は期待先行にすぎなかった。2014年4月の消費税率引き上げの後、需要は低迷し実感なき景気回復が続いている。
その中、日銀はほぼ一貫して金融緩和で2%の物価目標を達成すると主張している。しかし、国債の買い入れ額は年間80兆円のめどを下回り、足元では60兆円程度のペースにまで減少している。国債買い入れを続けることが困難になっていることは明確だ。
金融緩和にもかかわらず物価が上昇していないため、異次元緩和の弊害を懸念する専門家も多い。
すでに国際通貨基金(IMF)は、低金利環境による国内大手行の収益力低下に懸念を表明した。利ザヤの確保が難しい中、銀行の資金調達と運用の期間ミスマッチなどが金融システム不安などにつながる恐れが高まっているということだ。すぐにそうした状況が発生するとは考えづらいが、過度な金融緩和が経済のリスク要因になることは軽視できない。
■怖いのは「低金利が続く」という思い込み
注意が必要なことは、政府、マーケット、社会全体で「低金利の環境が続く」という「思い込み」が蔓延していると考えられることだ。
たとえば、国債のトレーダーやファンドマネージャーらに相場見通しを尋ねると、ほぼ全員が「0.10%を上回る長期金利の上昇は日銀が許さない」と答える。様々な期待や憶測が価格を形成する金融市場にあって、このような異口同音の状況は珍しい。
これを見ても、日本の経済の至るところに「低金利が続く」という思い込みが影響していると考えるべきだろう。その最たるものが財政政策だ。2020年度のプライマリーバランスの黒字化の先送りなど、財政再建が進まない中にあっても、予算の膨張が続いている。言い換えれば、低金利環境への期待が財政リスクの軽視につながっていると考えられる。
理論的に考えれば、こうした状況は改善されるべきだ。経済成長率にあった金利の水準が形成されるべきである。しかし、実際に日銀が金融政策の正常化を目指すことは難しいだろう。金融機関の経営だけでなく、銀行のカードローン、アパートローンの増加により、マクロ経済全体で金利上昇への抵抗力が低下しているからだ。
次期政権には、金融緩和を強化してデフレ脱却を目指すことの限界を冷静に理解し、構造改革を進めることが求められる。それができないと、景気減速リスクが高まった際に経済を支えることが難しくなるだろう。
米国をはじめ世界的な株高を「謎」と考える専門家が増えているだけに、今後の経済政策をどう運営していくかは軽視できない問題だ。
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民124掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民124掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。