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富裕層が不動産を買うと 節税になるしくみとは?
http://diamond.jp/articles/-/141583
2017.10.14 冨田和成 ダイヤモンド・オンライン
元プライベートバンカーで、現在はフィンテック企業の経営者として金融情報に精通する著者が、その知識と経験を初めて公開する『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』がついに発売! この連載では、同書の一部を改変して紹介していきます。
今回は、よく噂になる、富裕層による不動産、とくにマンション購入による節税のカラクリを解説します。
「不動産投資」による節税シミュレーションもおこなう
プライベートバンク
プライベートバンクの顧客がすでに高齢の場合には、資産を増やすことの優先順位は高くありません。それよりも喫緊の課題が相続税対策です。そして相続税対策に不動産保有が効果てきめんなことは、よく知られています。ご存じの方も多いでしょうが簡単に説明しましょう。
日本の土地の価格は複雑で、1つの土地に「実勢価格」と「公示地価」、「相続税路線価」「固定資産税路線価」という4つの価格があります。実勢価格とは実際の市場で売買されている価格で、公示地価は国土交通省が毎年調査して発表する、土地取引や土地税制評価の基準となる価格。相続税路線価と固定資産税路線価は、それぞれの税金を決める基準となるものです。
そして、相続税対策としての不動産保有でポイントになるのが、実勢価格と相続税路線価の違いです。
路線価は多くの場合、実勢価格の70〜80%程度です。つまり1億円で購入した不動産でも、相続税・贈与税を計算する際には7000万円〜8000万円の資産と見なされ、税額は実際の資産価値よりも低くなるということ。タワーマンションを購入して節税をおこなう「タワマン節税」が数年前に話題になりましたが、これは実勢価格と相続税評価額の乖離による節税効果を狙ったものでした。
また、相続人がその住居に実際に住み、一定の条件を満たすことで相続税評価が8割も減額される「小規模宅地等の特例」や、マンションやアパート経営に活用することで減税される「貸家建付地の優遇措置」など、不動産にはさまざまな形で相続税評価額を減らせる仕組みがあります(2015年より贈与税・相続税の最高税率のアップがおこなわれ、また相続における基礎控除枠の減少で相続税の対象になる人も増えたため、このあたりの知識は富裕層以外の人にとっても重要です)。
すでに使い切れない資産を持つ富裕層は、資産を「増やす」ことよりも「減らさない」ことに対するニーズが強いため、この税金対策の提案は富裕層にとって非常に刺さりやすいわけです。
よって、富裕層がてっとり早く資産を圧縮して相続税を減らしたいのであれば、不動産を買い漁ることが有効な手段です。その際には当然、売買手数料や仲介手数料が発生しますが、不動産を買うことで相続税が仮に数千万円、数億円抑えられたら十分ペイできるのです。そういったシミュレーションもプライベートバンクがおこないます。
一般の人はそのような不動産の買い方はできませんから、これも一種の富裕層限定の資産運用法といえるでしょう。
ちなみに、相続対策を目的とした不動産投資が多いといっても、日系のプライベートバンクだけでなく、外資系のUBSやクレディ・スイスでも不動産担保ローンを扱っており、不動産投資の支援をしています。株や債券などの金融商品を担保にして、借りたお金で不動産投資をするような柔軟な運用戦略も各社ごとに用意があります。また、プライベートバンカー自身が独自に不動産投資会社とネットワークを構築しているケースもあり、個別でキックバックを受けとっているという噂もかつてよく耳にしました。
『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』
の4つの目的
私が『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』を執筆した目的は4つあります。
1つ目は、「1億円の壁」の向こう側にいる富裕層の実態をつまびらかにすること(第1章)。一言で富裕層といってもいくつかのパターンに分けられることを知っていただきたいと思います。
2つ目は、そんな富裕層が利用しているプライベートバンクについて正しい理解をしていただくこと。世間がプライベートバンクに抱きがちな「怪しい」「謎めいている」というイメージを払拭すると同時に、顧客に対して実際にどのような「特権」を用意しているのか知っていただきます(第2章)。また、富裕層とプライベートバンクがどうやって接点を持つのかについても触れておきます(第3章)。
特に日本は富裕層ビジネスが後発のため、成長の余地がまだまだあります。プライベートバンクの利用に興味のある方や、富裕層ビジネスへの参入を検討されている方にも参考になると思います。
3つ目は、プライベートバンクが顧客に対して金融リテラシー教育の一環としてアドバイスをすることが多い事柄を、「資産運用の10原則」という形で説明します(第4章)。資産運用をおこなうにあたっての根本的な部分になるので、多くの方にとって参考になるかと思います。
また、プライベートバンクが提供している富裕層限定の金融商品にはどのようなものがあるのかについても解説します(第5章)。
4つ目は、「1億円の壁」には超えられないものが一部あることを認めたうえで、資産運用については知識や心構え次第で、プライベートバンクが富裕層に提供するものと実質的に同じ価値をもつ方法があると理解していただくこと(第6章)。第5章で紹介する富裕層限定商品の代替になるような投資手法をたくさん紹介しますので、みなさまの資産形成の一助になれば幸いです。
冨田和成 著 定価:本体1500円+税 発行年月: 2017年9月 ダイヤモンド社
プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?
その投資法と思想の本質
日本の全世帯のうち約2%存在する、純金融資産が1億円を超える富裕層。
彼らのみを顧客とするプライベートバンクとはどのような組織なのか?
そして、プライベートバンクから富裕層にレクチャーされる「世界最高の投資法」とは?
プライベートバンカーとして国内外で活躍したのちにフィンテック企業の経営者となった著者が、「1億円の壁」を壊すための全ての知識を公開する、投資入門書の新たな決定版。
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