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簡単に貸してくれる銀行カードローンですが…(※写真はイメージ)
審査甘い銀行カードローン、金融庁検査で徹底解明へ〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170927-00000026-sasahi-soci
AERA 2017年10月2日号
銀行カードローン問題が「炎上」している。批判に押され、金融庁も立ち入り検査に乗り出したが、着地点はまだ見えていない。
年収が約1千万円(手取り約800万円)もある40歳代の男性会社員は、妻と2人の子どもがいながら、競馬にのめりこんで散財。消費者金融や銀行カードローンの借り入れで2600万円もの借金を抱え、行き詰まって弁護士のもとへ駆け込み、個人再生手続きを申し立てた。
9月に出版した拙著『強欲の銀行カードローン』(角川新書)で紹介した一例だ。
●簡単に貸してくれる
かつて多重債務問題を引き起こした消費者金融は、改正貸金業法によって総額で年収の3分の1以下しか貸すことができない。一方、銀行は貸金業法が適用されず、好きなだけ貸せる。冒頭の男性も消費者金融では合計300万円余までしか借りられないが、実際に2300万円超はメガバンク、ネット銀、地銀などのカードローンから借り集めたものだった。「とにかく借りるのが簡単だった」と男性は振り返った。
銀行のカードローンは無担保で目的も問わず、決められた限度額の範囲ならいつでも好きなだけ借りられる。消費者金融とほとんど同じ業態ながら、消費者金融にかかる厳しい規制は課せられない。銀行業界は、日本銀行の大規模金融緩和が始まった2013年ごろからカードローンに本腰を入れ、貸出残高は5.6兆円と、この4年間で1.6倍に増えた。急伸の陰で、破綻していく人も増えている。
この問題は昨年秋、日本弁護士連合会がカードローンによる過剰融資で破綻した事例を集め、意見書として政府や全国銀行協会に提出。銀行も消費者金融と同様に、原則年収の3分の1以下に抑えるよう求めた。今年に入ると自己破産の増加傾向が色濃くなり、朝日新聞を含む一部のメディアが問題視して火がついた。読者の関心は高く、国会でも取り上げられるなど、火の手は今も広がりつつある。
●6割の銀行でノルマ化
銀行業界も春以降、事業の見直し策を打ち出してきた。収入証明書を消費者金融と同様にきちんと確認する、広告表現で「収入証明不要」「貸金業法適用外」などの宣伝をやめる、テレビCMは消費者金融の規制に合わせて放送回数を減らし、子どもの目に触れやすい時間帯は自粛する、などだ。9月には、年内に利用者の意識調査を始め、全国銀行協会で専用相談窓口をつくるほか、本人や家族の申告でお金を借りられなくする仕組みも導入すると発表した。
だが、これまで収入証明書をよく確かめずに多額のお金を貸していたこと自体が驚きだ。行き過ぎた広告を控え、利用者の実態把握に努めるのは大いに結構だが、それだけでは消費者保護の目的でつくられた貸金業法を「骨抜き」にしている現状は変えられない。
というのも、本丸となる「年収の3分の1超の貸し付け」は今も必死に守ろうとしている。全銀協会長の平野信行・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長は9月14日の記者会見で「(借り入れが年収の3分の1を超えても)返済できるケースがあるのは事実。そこは大事にしたい」と語り、カードローンによる年収の3分の1超の貸し付けを続けていく姿勢を鮮明にした。
朝日新聞の独自調査では、銀行の約6割はカードローンでの融資拡大の数値目標を設けたり、支店や行員の業績評価の対象にしたりしている。ノルマ達成のため、融資先企業の従業員にカードをつくらせたり、借金を抱える人に新たなカードを勧めたりする例もある。これでは銀行業界は消費者の保護を無視し、ただ儲けるために多額の貸し付けを守ろうとしていると疑われても仕方がない。
このままでは批判や懸念が収まらないとみて、金融庁も9月、カードローンに的を絞った立ち入り検査に動きだした。守るべきは銀行の利益か、消費者の保護か。答えははっきりしているはずだ。
(朝日新聞経済部・藤田知也)
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