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最も税額が低いプルーム・テック。「増税ともなれば一番影響が大きいのでは」との指摘も Photo:Bloomberg/gettyimages
加熱式たばこに増税案急浮上、当惑するメーカーの本音
http://diamond.jp/articles/-/143450
2017.9.26 週刊ダイヤモンド編集部
たばこメーカーにとって寝耳に水だった。「たばこ税の議論は毎年のことだけど、急に加熱式をやり玉に挙げてくるとは……」。
2018年度税制改正で、加熱式たばこの課税見直しに向けた検討が行われている。自民党の宮沢洋一税制調査会長が7日に表明したものだが、「会長の発言は唐突で、いまだ議論の方向性が分からない」とメーカー各社は当惑気味だ。
加熱式は、「パイプたばこ」に分類されており、重量を基に紙巻きたばこの本数に換算して税額が決められている。各商品によって税率が異なり、紙巻きよりも税額が低いことは、以前から問題視されていた。
20年までに加熱式のシェアが30%になるという予測もある。シェアが伸びているのに税額は低い。そんな加熱式に課す税を増やし、たばこ税全体の減収を避けようという狙いが税制見直しの背景にあるとみられる。
加熱式の増税はメーカーにとって足かせとなる。たばこ税は「消費者に負担してもらうのが本来の趣旨」(メーカー関係者)ではあるが、増税分をたばこ価格に転嫁すれば、加熱式の普及に水を差すことになりかねない。一方、増税分を値上げでなくコストとして吸収すれば、「加熱式は設備投資が多く、収益は圧迫される」(同)という。
メーカーの本音は、加熱式の課税区分を作った上で「紙巻きより税額を低くしてほしい」(別のメーカー関係者)というものだ。
例えば、電子たばこは、英国では保健省が紙巻きより健康影響が少ないとの見解を示しており、禁煙に向けたツールなどとして公に有用性が認められている。同様に、加熱式も健康影響が少ないものとして、紙巻きより税制上優遇することで、加熱式へのシフトを誘導してもらいたいというのだ。
それを主張するためのネックは、加熱式がいまだ「明確に“健康への影響が少ない”と臨床レベルで証明できていない」(同)ことだ。
■規制議論でも冷や水
増税以外にも、加熱式を取り巻く環境は厳しくなりつつある。
東京都議会では、飲食店などでの禁煙を課す受動喫煙防止条例案と、子供を受動喫煙から守るために家庭内などでの禁煙の努力義務を課す条例案の二つが制定に向けて議論されている。先行して提出された子供保護の条例案では、加熱式も規制の対象になっている。
「今後続く受動喫煙防止条例などでの議論にも影響を与えるだろう」と岡本光樹・都民ファーストの会副幹事長は言う。衆議院解散で国会への受動喫煙防止法案提出は先送りされる見通しだが、同法案で加熱式の扱いは「保留」となっている。都条例で世論が醸成されれば、国レベルでも加熱式を規制対象とする動きになり得る。
ブームに火が付いた加熱式に、増税と規制の議論の双方が冷や水を浴びせている。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)
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