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ゆとり世代の就活生が公務員を嫌う理由 “何となくインターン”なぜ起こる
http://president.jp/articles/-/23067
2017.9.22 新卒採用アナリスト・コンサルタント 谷出 正直 PRESIDENT 2017年10月2日号
売り手市場における“何となくインターン”
大学生の就職活動、企業の新卒採用は現在、就職する学生が優位な「売り手」の採用環境になっている。そのため、知名度が高くない中堅、中小企業を中心に多くの企業が苦戦を強いられている。早くから学生の企業選びの選択肢に入り、自社の選考に進んでもらうため、企業は年々、早くから採用活動をするようになってきた。
会社説明会に訪れた2018年春に卒業予定の大学生ら。(写真=時事通信フォト)
企業の採用広報の解禁は、3月1日からだが、それよりも前に学生に出会う手法として「インターンシップ」がある。
インターンはもともと、就業体験という意味で、複数日かけて企業の中で実際に仕事をし、仕事内容や進め方、企業文化などを体感して、企業や社員を知り、社会を学ぶという場だ。
しかし最近では、1日や数時間で人事が企業や業界を説明したり、社員が自分の仕事を伝えたりする“セミナー型”が増えている。今は全体の約7割がセミナー型だという。
最近では他社に釣られ「何となく」インターンを始める企業も増えてきた。ただ、実施する目的が不明確だと有益な結果は出ない。参加した学生が「A社の就業体験は、つまらなかった。得るものがなかった」という印象を持つと、負の口コミが就活生に広がり、より採用活動が難しくなることもある。
インターンの内容や日数、時期がどうであれ、企業は参加学生に「どんな体験・経験を通じて、何を得てほしいのか? なぜ、そのインターンシップを行うのか?」という目的とその目的を達成するための内容や社員との関わりがあってこそ、意味が出てくるのだ。
大学生の進路として、企業に就職する以外に、公務員への就職がある。一般的に「売り手」の採用環境になると公務員試験は志望者が減るといわれている。
公務員は割に合わない?「ゆとり」集めに役所が必死
2017年度採用試験において国家公務員一般職(大卒程度)の申込者数は3万5142人(前年度より856人減少)。就職活動が「氷河期」といわれた1995年度は、申込者数が8万211人だったことを考えると半減以下だ。大学の数が増え学生数が増加しているので、少子化の影響というよりは、単純に公務員を志望する学生数が減少しているといえる。
その背景には「今は企業に就職しやすい」ことがある。民間企業の内定がとりやすくなっている一方で、公務員は、責任のある仕事の割に給与が安く、長時間労働のイメージが定着している。
公務員の仕事内容が漠然としていて、“ゆとり世代”の就活生には「何となく大変そう」だと思われていることや、公務員試験の勉強をしてまで役人になりたいという動機が明確になっていないといった理由も考えられる。
そこで自治体などは「学生を待つ」だけではなく、仕事内容などを知ってもらうために、さまざまな取り組みを始めている。そのときのトレンドを踏まえたオリジナルのポスターを作成して採用情報をPRしたり、SNSで情報を発信したり。通常の就職斡旋サイトに採用情報を掲載したりする自治体も増えている。説明会や選考を企業と同様に開催し、全員と面接し、試験の点数だけではなく、人物重視の採用を実施している。
また、公務員の採用でもインターンが注目されている。公務員という職種、就職先は把握していても、具体的な仕事内容ややりがい、職場環境を知っている学生は少ない。そこを実際に知ってもらう狙いだ。
霞が関では「女子学生枠」を400人に拡大
警視庁では、学生に交番勤務や警備艇巡視やパトロール同行などを体験してもらっている。最高裁判所では、家庭裁判所調査官の仕事の魅力を知ってもらうため、少年事件の模擬審判を実施している。
さらに内閣人事局は、霞が関の22府省庁が毎年9月に開いている女子学生向けのインターンについて、受け入れ人数を昨年より3割多い約400人に拡大している。日程は5日間で、今年で3回目だという。
インターンシップを実施する側が、実施の目的を明確にし、取り組むことで、学生側にとっても有意義なインターンになる。改めて「どんな体験・経験を通じて、何を得てほしいのか? なぜ、そのインターンを行うのか?」を企業に問いかけてもらいたい。
(写真=時事通信フォト)
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