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消費指数が示す"共働き世帯"の増加、関連業種に着目
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170923-00189400-shikiho-biz
会社四季報オンライン 9/23(土) 7:11配信
9月末から10月初めにかけて、消費関連指標の発表が相次ぐ。家計調査、小売業販売、乗用車販売などの支出・販売統計のほか、雇用者数、求人倍率、賃金指数などの家計の雇用・所得環境を示す統計、さらには消費動向調査などの家計の消費マインドを示す統計などが重なる。多くは8月分の指標でやや古い数字になるが、乗用車販売や消費動向調査は9月分の指標だ。
4〜6月の実質GDP成長率は前期比0.6%となったが、そのうち0.5%は個人消費の寄与によるものだった。個人消費が景気を牽引した感が強かったが、このような消費主導の景気拡大は続くのか。今回発表される一連の統計はそれを見極めるための手がかりになる。
個人消費全般の動きを月次でとらえるため、多くの関連指標を合成して作られた指数として、(1)消費動向を支出・販売側の双方からみたGDP統計の月次版とも言える消費総合指数(内閣府発表)と、(2)消費を販売側から捉え、速報性やインバウンド消費なども考慮した消費活動指数(日銀発表)の2つがあり、最近の動きをみると、両者はほぼ連動している(図1参照)。
どちらの動きをみても、2014年4月からの消費税率引き上げ後、ほとんど横ばい状態で推移していたが、17年に入った頃から急に上向いた。ただ、どちらも上昇していたのは4月頃までで、5月以降は上昇一服となっている。
このため4〜6月平均と1〜3月平均を比べた、4〜6月の個人消費の前期比増加率はかなり高かった。実際、GDPベースでの個人消費も4〜6月は前期比0.8%増と高い伸びだった。しかし、5月以降の上昇一服状態がこのまま続けば、7〜9月の消費は4〜6月に比べるとほとんど増加しないことになる。
消費総合指数と消費活動指数の7月水準をそれぞれの4〜6月平均水準と比べると、0.3%減、0.1%増となる。つまり8月、9月が7月比で横ばいになると仮定すると、7〜9月のGDPベースの個人消費の伸びもゼロに近い数字か、ひょっとするとマイナスになる可能性がある。景気の牽引役と期待されていた消費が突然失速してしまったという印象になりかねない。
今回発表されるのは8月分の指標が多いが、天候不順が消費活動に悪影響を及ぼした可能性もある。実際、すでに発表されている消費動向調査の消費者態度指数は8月に若干低下した(図2参照)。
同指数は17年3月にかけて上昇したがその後はほぼ横ばいだ。また、新車販売の季節調整値をみると、大きく落ち込んだ7月に比べるとやや持ち直したが、これも16年初めから17年3月頃にかけて増加したあと減少に転じているようにもみえる。
今年4月頃までの消費好調の理由として、しばしば指摘されていることは、リーマンショック後の09〜11年に打ち出された家電エコポイント、エコカー減税など消費奨励策で販売された家電製品や自動車などの耐久消費財の買い替え時期が到来し、その販売が増加したという点だ。ただ、新車販売の動きからみると、そうした買い替え需要は一服したのではないかとも思えなくない。
■ 雇用者報酬全体は順調に増加
一方、1人当たりの賃金はほとんど上がっていないが、雇用増加によって雇用者報酬全体(1人当たり賃金×雇用者数)は順調に増加している。毎月勤労統計によれば7月の雇用者数は前年比2.8%増加した。賃上げがなくても収入全体が伸びているのだから、それがいずれ消費を押し上げるはずだという見方があるがどうか。
実際には14年以降、雇用者報酬は増加傾向を辿っていたが、消費はそれとは関係なく16年までずっと横ばいだった。17年に入ってようやく収入の増加が消費に結びつき始めたのではないかという見方もできなくないが、当てにならないだろう。
高齢化と度重なる消費促進策により日本全体としての家計貯蓄率はゼロに近い状態(14年度で0.2%)だ。「稼ぎ」に比べて「消費」は多すぎるため、多少、収入が増えても、それが本当に消費の増加につながるかどうかは疑問だ。
このほかにも、家計の収入増加が消費などの支出増加に結びつきにくくなっている事情がある。世帯数が変わらないのに雇用が増加しているということは、共働き世帯が増加していることになる。日銀が発表したレポート「共働き世帯の増加の背景とその消費支出への影響」によれば、共働き世帯の増加の背景には、女性の活躍促進策のほか、老後に対する不安が強まっていることがあるとされる。
共働き世帯の収入・支出を専業主婦世帯と比べると、収入(可処分所得)は2割強多いが、消費は1割程度しか多くない。つまり共働き世帯は「かなり多く稼ぐが、あまり使わない」わけで、結果的に貯蓄率が相対的に高くなる。こうした共働き世帯の特徴は「消費に使う時間が少ない」という時間的な制約のほか、もともと共稼ぎを始めた原因が「老後の不安」だったこととも関係する。
雇用が増加し、雇用者報酬全体が増加しているのに、消費が増えないという現象は、こうした共働き世帯の増加で説明できる。このため「収入が増加しているから、いずれ消費も増加するはず」との期待はあまり当てにならない。
今回発表される一連の消費関連指標は、すでに発表されている指標などから判断すると、さほど芳しいものではないかもしれない。個人消費が景気の牽引役になるという見方も期待外れになるおそれがある。
春頃から内需関連株主導の相場展開が続き、NT倍率(日経平均株価÷東証株価指数)は5月以降低下傾向を辿っていたが、ここへきて低下が一服となっている。これは個人消費などの内需の先行き不透明感を背景としたものだろう。
ただ、雇用が増加しているにもかかわらず消費が伸びないという現象が共働き世帯の増加を反映したものであることは間違いない。だとすれば、家事代行サービス、保育サービス、コインランドリー、大型洗濯機・冷蔵庫、外食・中食、ネット販売など時間節約型消費が増加していくことだけは確かだろうし、関連企業に注目してもいい。
新見未来(にいみ・みらい)/大手シンクタンクに在籍する気鋭のエコノミスト。マクロ経済のわかりやすい解説には定評がある。今後2週間の注目スケジュールと、重要な経済指標の活用法を隔週金曜日にお届けする。
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
新見 未来
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