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解散総選挙で株・為替・不動産市場はどうなるか、山崎元が大胆予測!(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan123/msg/695.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 9 月 20 日 18:37:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

    解散総選挙の意思を固め、国連総会に出席するため米国へ向かう安倍晋三首相 Photo:つのだよしお/アフロ


解散総選挙で株・為替・不動産市場はどうなるか、山崎元が大胆予測!
http://diamond.jp/articles/-/142711
2017.9.20 山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員  ダイヤモンド・オンライン


“大義”はなくとも勝負は勝負

 台風18号の接近と軌を一にして、9月の連休中、「解散風」が猛烈に吹き始めた。新聞各紙は、臨時国会冒頭での解散、そして総選挙の日程は10月22日(日)と一斉に報じている。

 解散見通しの報じ方には、新聞各紙の政治的ポジションがよく出ているので、簡単に確認しておきたい。9月17日(日)の朝刊を見てみよう。安倍政権に「近い順」でいうと、産経、読売、日経、毎日、朝日、の並びだろう。

 産経は、北朝鮮をめぐる状況が「戦後最大の危機」だと指摘し、難局にいかに対応するか民意を問うことが重要だと、解散・総選挙に「大義」があることを強調する。

 読売は、もう少しソフトだが、「消費税10%の使い道の変更」が、政権側が民意を問う際の政策の軸になると書いている。「解散に大義あり!」と強く言っているわけではないが、「無意味な解散ではないのか」という批判をじんわりとぼかす効果がありそうだ。

 安倍政権にやや批判的な、毎日と朝日の両紙は、前者が「自己都合を優先」と見出しを打ち、後者は、安倍首相が、森友学園、加計学園などに対する国会での追及を避けるために解散に打って出ようとしているのではないかというニュアンスを強く出している。

 今回に関して、最もリアリスティックでおおよそバランスが取れているのではないかと思ったのは、第2面でだが、「野党見て解散判断 大義は後回し」と見出しを付けた日経だ。

 ちなみに、筆者が自宅で購読しているのは、読売、朝日、日経の3紙だが、現政権に深く食い込んでいるのは読売なので、政治記事では頭一つ以上抜けており、特に他紙との対比で同紙を読むと役に立つと感じている。

 ともあれ、解散のムードがこれだけ高まってから解散せずにいると、政権の求心力が落ちるので、よほどの事(巨大な天災や、北朝鮮のミサイルが日本の国土・領海に着弾など)がない限り「解散なし」とはなるまい。

総選挙は自公の圧勝か

 民主主義体制における政治は、「“ゲーム”が機能しているがゆえに『民意』が反映される」という了解の下に、選挙を通じて権力を獲得するゲームだ。報道の通りの解散があった場合に、解散のタイミングを理由として安倍首相を批判しても仕方がなかろう。それが手痛いのだとすると、野党の方にこそより大きな問題と責任がある。

 大義などなくても、「勝負は勝負」なのが政治の現実だ。あるいは、大義は勝負の一要素に過ぎないという理解がより正確だろう。

 実は、野党筋の政治の関係者から、10月22日投票での解散総選挙のシナリオは、「大いにありそうな話」として、1ヵ月以上前の8月中から聞こえていた。民進党の代表選挙のしばらく前のことである。「民進党公認では次の選挙を戦えない」という個々の判断から党を離れた議員が複数いた。現在も同じように判断する議員の離党が続いている。

 8月の情勢と現在との違いは、8月時点では森友学園、加計学園、稲田前防衛大臣などに関わる問題から、安倍首相の「個人的資質」が問題視され、内閣支持率が低下していた。それに対し、問題閣僚だった稲田前防衛大臣を交代させる内閣改造で安倍首相は少々持ち直し、その後の民進党の代表選出後の人事的なごたごたが「敵失」となって追い風が吹いている。

 8月時点では、安倍首相への不支持が広がるとともに、小池東京都知事に近い勢力の国政進出が勢いを持つのではないかといった、「場合によっては、自民党が大敗しかねない」というムードがあった。だが、1ヵ月経って、政治家の資質問題をめぐる世間の注目が民進党の山尾志桜里氏の不倫疑惑に移り、小池氏に近い勢力の国政進出も新党の立ち上げに手間を要しており、また、今のところ核になる人材が不足しているようにも見受けられる。日経の見立てのように、現時点では、野党に勝てるムードがない。

 それにしても、本来、当人と配偶者の間の問題で、他人はどうでもいいはずの不倫疑惑であっても、山尾志桜里氏の行動および情報管理の失敗が、国政の行方に対して与えた影響の大きさには愕然とする。世の中は、何とも“ツマラナイ”きっかけで動くものだ。

 現状で、筆者の手元にある総選挙の予想は、9月13日現在の「夕刊フジ」のものだが、自民党273(現287)、公明党34(現35)、民進党72(現90)、小池新党35(現0)、共産党24(現21)、維新の会18(現15)、社民党2(現2)、自由党2(現2)、無所属5(現20)といったものだが(注:総定数が10減っている)、小池氏に近い勢力の新党がそこそこの議席を取ることが予想されているものの、自公の与党連合で圧倒的な多数を確保できる情勢であることに大きな違和感はない。

 ただし、「選挙は水物」だ。予想される投開票日の10月22日までまだ1ヵ月以上あり、例えば、安倍首相個人の問題にまた注目が集まって、「安倍辞めろ!」という、あまり上品ではないが、分かりやすいキャッチフレーズが方々にこだまするような展開となれば、予想よりも大幅に与党が負ける展開が絶対に「ない」とは言えない。

株式、為替、不動産はどう動くか

 10月に総選挙が行われて、例えば先の夕刊フジの予測のような結果となって、与党側が大きくは議席を減らさないとすると、株式市場、為替市場での文脈としては、「アベノミクスの経済政策が当面継続される」という安心感が、あらためてポジティブに評価されることとなろう。

 多少は議席を減らすとしても、来たる解散・総選挙で、安倍首相が率いる与党側が十分な多数を維持して勝つなら、少なくとも来年3月の日銀の正副総裁人事は安倍政権が行うことになるので、金融緩和政策は維持されると期待できるし、10%への消費税率引き上げについても、状況によっては先送りが期待できる。

 現実に官僚がそのように動くのか疑問はあるが、読売が報じるように、税収の増加分を単純に財政赤字の補填に充てるのではなく、教育の無償化や介護の充実などの「再分配的支出」の増加に充てて、財政赤字の縮小を先送りしてくれるなら、消費増税の悪影響が小さく済むのではないかという期待を持つことができる。

 株式、外貨建て資産、不動産などに投資する人にとっての経済的利害としては、安倍政権が強化・継続されることがプラスのはずだ。

 もっとも、この「ポジティブな評価」が妥当なのだとしても、それがマーケットに反映されるタイミングは、選挙結果が出てからも継続するとは限らない。

 相場格言に言う「期待で買って、現実で売る」という展開の場合、好ましい結果を先取りして、投開票日よりも前に株価が上昇し、為替レートは円安に振れる展開となって、現実に与党勝ちの選挙結果が出た時にはむしろポジションの手仕舞い(株式は売り、為替は円買い)が優勢になる可能性もある。

 仮に、これから行われるであろう総選挙で、与党が大勝するとした場合、その直後が、いわゆるアベノミクスにとって「最も明るく見える瞬間」になる可能性がある。株価の上昇が大きいのは、実は、選挙前までだったという展開になる可能性は小さくあるまい。

 もっとも、長期で株式運用する人にとっては、総選挙をめぐる株価の短期的な上下を意識して、何らかの行動を起こすべき材料ではない。

 一方、米国や欧州がゆっくり金融引き締めに向かい、アベノミクスも遠からず「出口」を意識する展開になるとすると、特に、「売り」を決意してから流動化までに時間のかかる不動産のポジションは、そろそろ手仕舞っておく方がいいように、個人的には思っている。

 2007年に起きた不動産のミニバブル崩壊時には、数ヵ月で売却が困難になり、現金化には大幅な値下げが必要な事例が多々あった。

 また、株式同様、日本の不動産も外国人の売買の影響が拡大している。海外が金融引き締めで、アベノミクスの終了が意識され始めて、しかも日本の労働力人口の大幅な減少が着々と顕在化する状況になると、不動産投資がお手上げの状況になる可能性は小さくあるまい。

 しかし、繰り返すが「選挙は水物」だ。まだ、与党の勝ちと決まったわけではない。想定される投開票日まで、1ヵ月ある。この先に何があるのかは、まだ分からない。そうした状況だからこそ、買い材料(与党勝ちの予想)に乗っていいのだ、という逆説が成立するのもまた相場の世界である。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)


 

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