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就活で企業の担当者の説明を聞く学生(c)朝日新聞社
フジマキ「『働き方改革』を推進するなら終身雇用制度を廃止すべき」〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170919-00000067-sasahi-bus_all
週刊朝日 2017年9月29日号
政府が次の臨時国会の目玉として挙げた「働き方改革」。“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、終身雇用制が、国の基幹政策さえも誤らせているのではと危惧する。
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モルガン銀行時代、会社から勤務希望地の調査が来たので、秘書に「◯をつけてそのまま返信して」と頼んだ。私が邦銀から米銀に転職した理由を「ずっと東京で働きたいから」と、秘書は知っていた。だから、返信シートをチェックする必要はないと思っていた。
ところが、秘書の机にあった提出前の返信シートを見ると、希望地欄で東京の下の行にあった中近東に◯が。米銀は希望していない地に転勤を無理強いしないが、希望すれば即異動の可能性が高い。おー、やべー!
偶然見つけてよかったが、あの時サウジアラビアに行っていたかも。単身赴任のうえ大好きな酒も飲めない。最悪だった。秘書は偶然間違えたのか、意図的だったのか。もしかして、嫌なボスを中近東に追いやり、最高の「働き方改革」を試みようとしたのか。
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当コラムで以前、日本の労働分配率の低さは終身雇用制のせいではないか?と書いた。
安倍首相が賃上げをいくら求めても、経営者が人材喪失のリスクを感じないと、賃上げのインセンティブが働かない。終身雇用で不況期でも従業員を解雇しにくければ、固定費化しやすい人件費をなるべく上げたくない。好況期であっても、不況期に備えようとするのは無理もないだろう。
人材獲得の競争が激しい新卒採用市場は、初任給がそれなりに上がった。労働市場が競争的ならば、賃金は上昇する。日本人は終身雇用という安定と引き換えに、高収入をギブアップしている気がしてならない。
政府は次の臨時国会の目玉として、「働き方改革」を挙げている。ただ、所得税の累進カーブの修正、終身雇用制と年功序列制の廃止を盛りこまないと、抜本的改革など無理なのだ。
米企業では、労働者全員が明日にでも解雇される恐れがあり、全員が非正規とも言える。望まない転勤を強いる企業はない。同一労働は同一賃金だ。
成果をあげれば、十分な報酬を出す。そうしないと従業員はみな辞め、操業停止に追い込まれるからだ。そうなれば株価も落ちる。
転職市場が発達していれば、退職は怖くない。労働需要は日本全体で一定のはずだから、一人辞めれば一人の需要が生まれる。経済を活性化させて失業率をゼロ近くにしておくことが、政府の大切な仕事になる。
ところで、私が日銀OBと話をすると、黒田東彦総裁の異次元の量的緩和に、みんな非難ごうごうだ。しかし、現役職員はこうした批判の声をあげられない。心の中で「まずい」と思っても、声を出せないのだろう。中央銀行マンの矜持はいずこにと思ってしまうが、これも終身雇用制の弊害なのかもしれない。
クビを切られたり、閑職に追いやられたり、定年後の仕事の斡旋がなければ、生活のめどを失う。転職市場が米国ほど発達していない日本では、非常に怖い話だろう。終身雇用制が、国の基幹政策さえも誤らせているのかもしれない。
官僚が政治家にペコペコし、企業が監督官庁に弱く、政治家が有権者に弱いのも、仕事を失うのが怖いからだろう。次の仕事が簡単に見つかるなら、辞める自由が出る。言いたいこと、正しいと信じることを自由に言えると思うのだが。
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