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あなたの税金を、来年から「30万円取り戻す」方法 知っている人だけが トクをする
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52836
2017.09.18 週刊現代 :現代ビジネス
そんなに持っていかれるのか――。給与明細や毎年送られてくる固定資産税の課税明細書を見て、ため息をついている人は多いだろう。だが諦めてはいけない。納めすぎた税金を取り戻す方法を伝授する。
■6分の1になるケースも
「自分から見直しをして税務署に申告しない限り、払いすぎたお金が返ってこないのが税金のやっかいなところです。
ただ、タワマンを買ったりアパートを経営したり、多額の資金が必要なうえに暴落のリスクまである節税方法を取らなくても、帰ってくるお金はたくさんあります」(税理士の出口秀樹氏)
こちらの申告漏れどころか、役所の怠慢によって必要以上の税金を納めさせられることもある――その代表例が固定資産税だ。
戸建ての場合、夏場を過ぎると税務署が調査にやってくるのが固定資産税だが、国税庁が公表する固定資産税評価額をもとに定めた土地の評価額に加え、建物に使われている材質や屋内の設備などで、複雑に金額が変化していく。
そのため、市町村の評価ミスで余分に固定資産税を請求されているケースは後を絶たない。
村田圭太さん(仮名・55歳)は固定資産税を取られすぎた経験を次のように話す。
「5年前に父から家と土地を相続し、建て替えて住んでいたのですが、固定資産税が周りと比べて異常に高い。妻と何度も『手放そうか』と話し合いました。たいして豪華な上物を建てたわけでもないのに……」
村田さんは意を決し税務署に相談すると、意外な事実が明らかになる。固定資産評価上で「宅地」の扱いを受けていなかったのだ。
ファイナンシャルプランナーの横川由理氏は村田さんの事例について次のように語る。
「宅地のうち200平方メートルまでは『小規模宅地』として評価され、固定資産税は6分の1に減額されますが、宅地と認められなければこの特例措置を受けることができません。
相続した際に、その土地がどのような扱いになっているかを確認することが重要です」
これは子供やその家族と同居するために隣地を購入して住居を拡充したり、親の土地を相続して増築した場合に起こりやすい。
また、「旗竿地」のように土地と道路が接する「間口」の長さが狭くなっている場合、固定資産税は減額されるが、評価上はそうなっていないことがある。適用漏れがないかを市町村に確認すれば税額が下がる可能性があるのだ。
「逆に家族がいなくなり、古い建物を取り壊して更地にしようと考えている人は注意が必要です。
固定資産税は1月1日現在の所有者に課されますが、1月1日前に更地にしてしまうと、土地にかかる固定資産税が高くなってしまいます。というのも、建物がないと住宅用地の特例が取れなくなるからです」(税理士の落合孝裕氏)
■温泉療養も控除の対象
ちなみに固定資産税は3年に1度評価額が変わるが、'18年はその年だ。市町村から納税通知が来たときにその評価額に異議申し立てを行えば、評価額が安くなる可能性がある。
固定資産税の見直しは少しでも税金を安くする方法のひとつだが、より手っ取り早く活用できるのは、確定申告によって受けられる所得税や住民税の控除だ。
「税務は会社任せのサラリーマンや退職した年金受給者にとって、確定申告は馴染みがなく『なにがどう控除の対象になるかわからない』と手をこまねいている人も多いかと思います。
でも実は、サラリーマンでも活用できる幅が広いのが確定申告による控除なのです」(前出・横川氏)
確定申告で戻ってくる所得控除の代表格が「医療費控除」だ。所得が200万円以上の家庭なら、医療費が生計を同一にしている家族合わせて10万円を超えた場合、その分所得税や住民税から控除される。
意外と知られていないが、この控除は病院で支払う医療費の自己負担分だけでなく、「治療」に必要だと医師が認めたものには広く適用される。
たとえば、胃腸薬や湿布、絆創膏や包帯の費用も控除の対象として加算することができる。タクシー代も通院にやむを得ず使用したと認められれば問題ない。
ただし、虫よけスプレーなど「予防」のための医薬品は控除の対象とはならないので注意が必要だ。
「合計の医療費が10万円に達しなかった場合は、'17年から始まったセルフメディケーション税制を検討しましょう。
いまコンビニや薬局で、これまでは医療用で処方が必要だったものが市販薬として買えるようになった『スイッチOTC医薬品』が販売されています。これを年間1万2000円以上購入すると、上限8万8000円まで、超えた分の控除が受けられます」(前出・落合氏)
セルフメディケーション制度は医療費控除との選択制だ。病院や薬局でもらった領収書から自分がどのような医薬品をいくら購入したかを計算し、より控除額が大きくなるほうの制度を申請しよう。
医薬品だけでなく、メタボリックシンドロームと診断された人がジムに通ったり、リウマチの人が温泉施設で入浴する際も医療費控除に加算できる場合がある。意外と幅広い控除が受けられるのが医療費控除の強みだ。
「ジムは『指定運動療法施設』、温泉は『温泉利用型健康増進施設』の認定を受けた場所であれば、利用料や交通費を控除の対象にすることができます。こういうと特殊な施設を思い浮かべてしまいがちですが、認定を受けた施設は全国にあります。
もちろん、医師の指示で治療を行っていることを証明することが必要なので、病院でもらえる診断書や領収書はきちんと取っておきましょう」(前出・横川氏)
■別居の老親を扶養家族に
医療費控除以上に見逃しがちなのが「扶養控除」の活用方法だ。扶養家族は一度就職したり別居したりすると再び扶養に入れることはできないと思っている人がいるかもしれないが、実際はそうではない。
東京都に住む柳川裕也さん(仮名・45歳)は扶養控除で税金を取り戻した経験を語る。
「就職を機に上京して、結婚してもそのまま東京で暮らしています。青森の実家では両親が年金暮らしをしていて、毎月実家に仕送りをするようにしています。
ある時友人に『別居している両親でも扶養控除に入れることができる』と聞き、実際に申請してみると控除が受けられたのです」
別居している家族でも、仕送りなどの形で経済的支援をしていれば、扶養家族に入れることができる。両親が65歳以上の年金暮らしの場合、年金収入が1人158万円以下であれば問題なく扶養家族にできるのだ。
これを使えば、扶養している親族一人あたり38万円を所得税から、33万円を住民税から控除することが可能だ。
年収が400万〜500万円程度で所得税率が10%の人の場合、控除額は3万8000円。住民税率が10%で3万3000円とすると、扶養家族が1人増えると年間7万1000円も税金を安く抑えられることがわかる。
「別居している年金暮らしの両親だけでなく、一度就職して扶養を外れ、その後会社を辞めてしまった子供を再び扶養家族にすることも可能です。
会社員であれば、扶養家族の控除は年末調整の書類に記入するだけで受けられるので確認してみましょう」(税理士の岩松正記氏)
特に高齢の両親がいる人は「障害者控除」という制度があることも忘れてはいけない。
「障害者控除では、例えば扶養している親の身体が不自由になったり、認知症が出てきたりなど、加齢に伴う症状がある場合でも控除の対象になります。
軽度であれば一人あたり27万円、同居しているのであれば一人につき75万円の所得税控除が受けられるので、忘れずに申請したほうがいいです」(前出・横川氏)
会社員でも自営業でも簡単にできる節税方法のひとつとして近年注目を浴びているのが、個人型確定拠出年金(iDeCо)だ。
「会社員の場合、会社の制度にもよりますが月額最大2万3000円、年額27万6000円を拠出し、これを課税所得から引くことができます。
例えば課税所得が500万円の会社員が年額27万円加入した場合、所得税率20%、住民税率10%で計30%、年間計8万1000円の控除を受けることができます」(税理士の田中卓也氏)
ほかにも「生命保険料控除」は代表的な控除のひとつだが、「地震保険」でも同様に控除を受けられる。
「地震保険料控除のメリットは、払い込み保険料が5万円までなら全額、それを超えても5万円分を所得控除できる点です。所得税率が10%なら、住民税の控除と合わせてだいたい7500円程度の節税になります」(前出・横川氏)
■自動車税にも裏ワザが!
これまで見てきたように、受けられる控除の幅は意外と広い。会社員の場合、iDeCoと加入している保険の控除を活用し、医療費控除と扶養控除を申請するなどうまく組み合わせれば、およそ30万円税金を安くすることも可能なのだ。
最後に確認したいのは、なかなか見直すスキのない「自動車税」だ。1円でも安くする方法はないだろうか。
前出・出口氏は「車を買い替えようと思っている人は節約のチャンスがある」と語る。
「車は『月初めに買う』ことをおすすめします。車を買うと、自動車税は月割りの計算で支払うことになりますが、支払いが発生するのは購入月の翌月からです。
たとえば3月31日に車を買えば4月分を納めなければいけませんが、4月1日に買えば5月分からでいい。1日購入日を遅らせるだけで、1ヵ月分得です」
ちなみに軽自動車の場合は自動車税の支払いが異なり、4月1日に車を所有している人に年額で請求される。
つまり、4月2日以降に車を買えば、ほぼ丸1年分自動車税を納めずに済む。'15年の4月1日以降に新規登録された軽自動車の税金額は年額1万800円で、バカにできない金額だ。
「税金に関しては、『これは払わなくて済む』と課税を逃れる方法があるわけではありません。控除として活用できるはずなのに年末調整でみすみす見落としているお金がないか注意しましょう」(前出・田中氏)
行政の誤りで税金を取られすぎていてはたまったものではない。自分の資産や家族構成をよく確認すれば、想像以上の得をすることができるのだ。
「週刊現代」2017年9月16日号より
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