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ヤマト運輸の配送車両(「Wikipedia」より/Tennen-Gas)
ヤマト、委託業者が怒りの告発…一方的に「明日から来なくていい」、かえって労働長時間化
http://biz-journal.jp/2017/09/post_20602.html
2017.09.16 文=深笛義也/ライター Business Journal
10月1日より、宅急便の値上げをするヤマト運輸。荷物量を抑制し、労働現場への負担を軽減し「働き方改革」につなげることが目的だ。だが今年度、約8000万個減らす計画だった荷物量を、3600万個の削減へと半分以下に下方修正した。値上げによって離れていく法人客が、想定していたよりも少なかったためだ。
労働環境の改善はうまく進むのか、危ぶまれるところだが、あまり目を向けられることがないのが、ヤマトから請け負って配達する委託業者の状況だ。ヤマトの持ち株会社ヤマトホールディングスの2017年4〜6月期は、連結営業損益が70億円前後の赤字になったと報じられた。過去に未払いだった残業代の支払いが増加したほか、自社で捌ききれない荷物の宅配を外部に委託する費用がかさんだためといわれているが、ある委託業者はこう証言する。
「ヤマトの社員さんが配りきれない分の穴埋めをやっているので、十分な個数が回されないことがあります。こちら側が1日100個以上は配れるところを、なるべくヤマト社員に配らせるために、その時の状況によって、こちらには50個までとか70個までとか、個数制限がされてしまうのです。早い人は朝6時半に荷物を積み込みに行って、配達の指定時間がありますから、夜の9時まで配達しなくちゃならない。そうすると、半端じゃない待機時間が生じるのです」
ヤマトと委託業者は、配達数量に応じて料金を支払う内容で契約を交わしている。支店によってその金額は異なるが、100個配ればガソリン代などの経費を引いても、ドライバーには満足のいく収益が生じる。だがこれが50個となれば、最低賃金を大きく下回る額にしかならない。
「国土交通省(陸運局)から貨物運送業の許可を受けた車両で仕事をしています。ここ数年、ヤマトさんの荷量が増えて、自社のドライバーさんが足りていない状況で、委託業者を抱えて、なんとか捌いているという状態だと思います。その委託業者への支払いが膨大な金額になって、ヤマトさんが苦しんでいると報じられていますが、根本的に違いますね。
ヤマトさんが自社のドライバーの状況を考えずに、アマゾンさんの仕事を引き受けて荷物が増え、社員さんの労働時間が長くなってしまったので、負担を軽くするために委託業者を抱えたのだと思います。社員さんの能力は個々違うわけで、1時間当たり10件配れる人もいれば、5件しか配れない人もいる。その穴埋めをこっちがやっているわけです」(同)
■個数制限
ヤマトの見通しの甘さが、委託業者へのしわ寄せを生んでいるということだろうか。
「繁忙期は『やってくれ、やってくれ』の一点張りで、ウチは昨年末の繁忙期は1日しか休めなかった。だけど、ピークを過ぎるとだんだん荷物が減ってきて、そうするとヤマトさんは『もう荷物少ないから、明日から来なくていいよ』などと平気で言ったりします。以前から、そういう話は委託業者の間に流れていて、ヤマトさんが募集をかけても、委託業者が集まりにくい状況になっているようです。
今年が特別だったのは、繁忙期の7月の15日に、いきなり個数制限が入ったんですよ。15日に『委託業者さんには、これしか出せません』という個数制限のお触れが出て、『これを1個でもオーバーしたら、契約を切ります』という状態でした。ヤマトさんの4〜6月の収益が赤字だったと言われても、こちらには関係ないですし、まったく納得いきません」(同)
個数制限の目的は、なるべく多くの荷物をヤマト社員が配るようにするということだ。だがそれでは、社員の負担を軽減するという「働き方改革」とは矛盾する。
「社員さんの能力にも差があるので、捌ける人は捌けるでしょう。それに対して、委託業者が入ってないと捌ききれないエリアがある。逆に委託業者が入って早く終わった場合、まだ終わっていないエリアにヤマトの社員さんが応援に行ったりしていて、労働時間は結局のところ全員が延びてしまっています。ヤマトは何がしたいのか、さっぱりわかりません。残業代のほうが高くつくので、赤字の解消にはならない気がします。午後6時から9時の時間帯は委託業者に配達させるというルールというか慣例があって、これは社員の残業を減らすためでしょうけど、実際はヤマトの社員も残業していますから」(同)
ヤマトから委託された配達をやっていると、思わぬ事態にも遭うという。
「うちは、ヤマトに若いドライバーを引き抜かれてしまったことがあるんですよ。広告費かけて人集めて、時間かけて育てて、引き抜かれちゃったら、どこに怒りをぶつけたらいいのかわかんないですね。これは聞いた話ですが、ヤマトさんの仕事に80人くらいドライバーを投入しているような委託業者でも、10〜20人辞めてしまい、そのなかからヤマトさんの社員になっている人もいますから。そういうことまでやられてしまうと、もう業者は集まらないでしょう。ウチはもう12月の繁忙期は、頼まれても人を入れるつもりはないです。
ヤマトさんのサービスのレベルを、新規参入してきた業者が1〜2カ月できるかといったら、できるわけがないんですね。ちまたでは、『アマゾンさんがすごいんじゃなくて、ヤマトさんがすごいんだ』みたいなことも言われていますが、そうなのかもしれない。でも、結果として、一番末端が一番苦しいという状態です」(同)
■個数制限は事実?
委託業者のこの声を、ヤマトがどう受け止めるのか。同社広報部に問い合わせたところ、次の回答が寄せられた。
「サービス品質を維持するために、委託さんに協力を求めているのは間違いなく事実です。ご承知だと思うのですが、我々はずっとヤマトの社員で配達することが、信頼も含めてお客様へのサービスであると考えて、今までやってきました。昔は、7月のお中元、12月のお歳暮の時期に、どうしても荷物がオーバーフローするので、その時期だけ委託さんにお願いしていたのです。ところがここ数年、荷物の急速な増え方のため、人手不足で、普段の月でも委託さんに配達をお願いするという地域が都市部を中心に増えてきたというのも、事実としてあります」
委託業者に対して、個数制限を行っているというのは事実なのだろうか。
「個別の契約に関しては、我々がお話しすることはできないんですけど、大原則として、配達すべき業務量は、だいたい計画ができるので、それに関しては当然社員が配達すべきだと思っています。社員で賄いきれないオーバーフローした分を、委託さんのほうにお願いしているので、何個やってくださいという契約はしてないです。1個いくらというかたちでお願いしています。毎日同じ個数が来ればいいんですけど、曜日とかでも変動があるので、受け止め方で、『もっとできるのに少なくなっちゃった』と思われていたとしたら、うちのほうで説明が不足してるのかなというところがあるんで、きちっと説明しないといけないですね。委託さんに、我々はお願いしている立場ですので」(同)
長時間拘束されるのに収益が上がらないという声については、どうだろうか。
「当然、業者の方も生身のお体ですし、1日働ける時間にも限りがあるでしょうし、当然お休みも取っていただかないと、安全上も問題があります。宅配の事業者がほかにもありますけど、サービスの中身も違うんで、ヤマトの配達の仕方が他の会社さんより細かい点もあるかと思います。我々、全国に4000くらいの拠点があって、地域の特性によって、いろいろお願いする条件というのは違っています。基本的には我々のお願いしたい仕事を依頼して、それを受け入れていただいたなかで契約を結んでもらっているという認識でいます。もしかしたら何か、ご不満があるんであれば、きちっとお話し合いさせていただければと思います」(同)
■ドライバー引き抜きはあるのか?
午後6時から9時の時間帯は委託に配達させるというルールや慣例は、あるのだろうか。
「社内にそういうルールはないです。ただ夜間指定は昔と比べて増えていて、夜間の業務量が多くなっているのは事実です。そこで社員だと対応しきれないことが当然出てきているのも事実で、夜間も働いてもらえる委託さんは、我々としたらありがたいです。夜間、うちのトラックが全部止まっちゃうということはないですし、社員も夜、働いています。逆に委託さんは全員、夜間も勤めないといけないのかといえば、そんなことは決してありません。ご協力を求めて、やっていただける委託さんには夜間もお願いしているというこです」(同)
社員の残業を減らすという意図はないのだろうか。
「サービスのあり方で、我々は社員の労働環境を改善したいというところはあります。委託さんが夜間もやっていただいて、業務量がこなせるのであれば、社員は帰れます。当然、社員の労働時間を短縮し、残業を減らすということは当然考えています」(同)
委託業者から、ドライバーを引き抜くということはあるのだろうか。
「人手不足なので、社員の募集をしているということは事実あります。仮に委託で働いている方が、ヤマトに入りたいと言われた場合には、採用に関して書類選考しないだとか、面接をしないということはありません。当然応募があれば、通常通りの選考過程を踏まえて採用すべきか否か、判断させてもらっています。委託さんに限らず、我々が募集した際に、今働いている職種によって何か制限を設けるということは特にありません。うちのほうから、ドライバーさんに声をかけるということはありませんけど、委託さんでヤマトの仕事をやってみて、おもしろいなって興味を持って応募される方は、たぶんいらっしゃるんだろうなとは思います」(同)
ヤマトの広報担当者は誠実に答えてくれたと感じるが、社員の「働き方改革」が端緒についたばかりで、委託業者の状況に目が行き届くところまではいっていない印象だ。宅配の恩恵を受けている消費者としては、「働き方改革」が隅々まで行き届くよう、願うばかりだ。
(文=深笛義也/ライター)
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