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出口戦略を取ろうにも非常に難しい局面(日銀・黒田東彦総裁。写真:時事通信フォト)
黒田バズーカ 「ゆるやかな物価目標」達成できずツケだけが残る
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170915-00000002-moneypost-bus_all
週刊ポスト2017年9月22日号
アベノミクスで断行された前例なき政策の代表格が、「1本目の矢」である異次元金融緩和だ。
黒田東彦・日銀総裁のもと、中央銀行が国債購入などを通じて市中に大量のマネーを供給し、デフレを脱却しての「物価上昇率2%」を目指してきた。黒田日銀が大規模緩和策を発表するたびに、市場で株高が進むことが“黒田バズーカ”と持て囃された。
しかし、2016年2月のマイナス金利導入時は、市場は下落に転じた。市場関係者が黒田バズーカという言葉を使わなくなって久しい。
〈緩和のプラス効果が副作用を上回ったのは2014年まで。その後は追加効果がほぼなくなり、副作用だけが積み上がっている〉
8月26日付の朝日新聞朝刊に掲載されたインタビューで手厳しく“事実”を指摘したのは、7月まで日銀審議委員を務めていた木内登英氏(現・野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミスト)だ。
6人いる日銀審議委員は総裁、2人の副総裁とともに合議制で金融政策を決定する。つまり、ついこの間まで日銀中枢にいた人物までもが異次元緩和の副作用に警鐘を鳴らし始めたのだ。金融アナリスト・久保田博幸氏も同意見だ。
「目標としていた『ゆるやかな物価上昇』が達成できていないわけですから、前代未聞の規模の金融緩和で、ツケだけが残った状態です。
出口戦略を取ろうにも、非常に難しい局面になった。日銀が大量保有する国債を手放していくとなると、国債価格の下落、金利の急上昇などが起きるリスクがあるのです」
世界各国における過去の例を見ても、国債価格が暴落して国が資金を調達できなくなると、ゆるやかではない急激なインフレが発生して国民生活に甚大なダメージを与えている。アベノミクスで放たれた“矢”は、経済成長という的に当たることなく、今や国民ののど元に刺さろうとしているのだ。
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