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年収1000万超で「貯金なし」は金銭感覚と家族への甘さが原因
http://diamond.jp/articles/-/141666
2017.9.11 横山光昭:家計再生コンサルタント ダイヤモンド・オンライン
頑張って稼いでいるのに
貯金が貯まらないと相談
「年収は1000万円以上あるのですが、貯金はありません」
こう聞くと驚く人が多いのですが、実は家計相談の場面ではよく聞く話です。なかには年収2000万円や3000万円といった高所得者まで。日本の平均年収は420万円ほどですから、一般的な人から見ると信じ難いことかもしれません。
年収が高いのになぜ、お金を貯められないのか。そこには高所得者ならではの理由があるのです。
建築会社を経営するTさん(45)の手取り月収は約70万円。妻(43)も働いており、月の収入は83万円ほどになります。子どもさんは中学1年生と、小学5年生の息子さんが2人の4人家族。1000万円超の収入と家族状況から見ても、十分な貯蓄はできそうだと思われるでしょう。しかし、Tさん一家の家計は、そうではないのです。
家計相談でヒアリングしてみると、大きな支出は次のようになっていました。
住宅ローンが22万円。教育費が15万円。食費が13万円、そして小遣いが家族全員で10万円。これだけで、毎月60万円分の使い道が決まっていました。しかし、残り23万円分もすべて使い切り、月収はほとんど残らないといった暮らしぶりでした。
こうした支出額を聞くだけで、いかにぜいたくな生活を送っているかが容易に想像できると思います。必要なものにお金を使うというよりは、「使いたいだけ使う」という、いわゆる「メタボ家計」。これでは、せっかく収入が高くてもお金は貯まりません。
メタボ家計の人は
食費と教育費が膨らみがち
「メタボ家計」には、いくつかの傾向があります。膨らみやすいのは、食費、教育費です。
まずは食費。「いいモノを食べれば病気をしない」といった信念を持っている人が多く、有機野菜やいい餌で育てた牛肉など、食材にこだわる傾向があります。そうした食材は、近所のスーパーには売っていませんから、否応なしに高級スーパーで購入したり、わざわざお取り寄せサービスを利用したりします。
こうした人は外食でもこだわりを見せます。食材はもちろん、調理の仕方にまでこだわった高級レストランを選ぶのです。こうした食生活をしていれば、必然的に食費は高くなってしまいます。
しかし、こうした食事を取っているからといって、他の家庭よりも健康かといえばそうではないはず。普通の食材を食べていても、健康な体は作れます。多少のこだわりは構いませんが、度が過ぎるのはいかがなものかと思います。
もっとかかるのは教育費で、こちらは際限がありません。塾や英会話スクール、水泳教室など種類もさまざまですし、お金をかけようと思えばいくらでもかけられるからです。確かに、将来、子どもの選択肢が広がるよう学ばせたり、習い事をさせたりしたいという「親心」は分かります。しかし、やらされる子どもは遊ぶ暇もなくて嫌がっているなんてことも良くある話です。
こうした人は日用品も、石鹸やシャンプー、洗剤やティッシュペーパーなど、素材にこだわり、ちょっと値段が高い良いものを好みがち。しかも少量ではなく、なぜかまとめ買いをしてたくさんのストックを抱えています。
このように、「こだわりを強く持っているために、特定の費目に対して過剰なまでにお金をかけ、金銭感覚が麻痺してしまっている」というのが、高所得者の特徴なのです。
家計診断をする際、まずは支出を洗い出し、必要なモノとそうでないモノの「線引き」を行った上で、「支出の優先順位」をつけるところから始めます。ところが、こうした高所得者の人たちは、これができません。「これも必要、あれも必要。切り捨てるなんて無理です」と言うのです。
しかも、「今のままでは、生活費が回りませんよ」と言うと、「もっと稼ぎますから」と答える人が多いのです。しかし、それはちょっと違います。稼ぐと言って仕事を増やし、体を壊したら元も子もありませんし、転職しても成功するとは限りません。そんな不透明な状況に踏み出すよりも、やはり足元の支出から見直すべきなのです。
妻や子どもに甘く
使い方がルーズ
もう一つ。貯蓄できない高所得者の特徴として、妻や子どもに対して「甘すぎる」というのがあります。
例えば、生活費をコントロールできない妻に「家計簿をつけろ」と言えなかったり、「毎月何を買っているのか」と無駄遣いを注意できなかったりするのです。また、子どもに対しても、年齢の割に高額な小遣いを与えていたり、すでに成人したような子どもにまで、必要以上の援助をしていたりといったケースも良く見られます。
確かに、妻や子どもからしてみれば、優しい夫であり、優しいお父さんでしょう。もちろん金銭的な余裕があるうちはそれでも構いません。しかし、家計が回っていないような現状でのこうしたルーズな行動は、無駄な支出を “固定費化”させてしまっているわけで、収入がなくなってしまうのは当たり前の話なのです。
ともあれ、高所得者は、一般的な収入の人から見ると「ありえない」お金の使い方をして支出を固定費化させてしまっているので、お金が貯まらない「メタボ家計」になってしまうというわけです。
頑張って働いて稼いでいるのに、お金が貯まらない──。そんな「残念なサラリーマン」にならないよう、支出の内容や仕方について見直し、自らを戒めることが必要です。
(家計再生コンサルタント 横山光昭)
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