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定年後の「ブラック再雇用」が横行(イメージ)
定年後の「ブラック再雇用」が横行 「ごほうび再雇用」は1割未満
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170906-00000003-moneypost-bus_all
週刊ポスト2017年9月15日号
現在政府が検討している75歳年金受給時代とは、「定年後も働く」ことを事実上“強制”することを意味する。受給開始年齢引き上げと雇用延長(再雇用)はセットの政策だが、たとえ長く勤めた会社での再雇用に恵まれても、そこには「天国と地獄」が生まれる。
再雇用の天国と地獄を分ける一つの要素が「定年前の役職」だという。鉄鋼メーカーで60歳の定年を迎え、再雇用された62歳の男性はこういう。
「うちの会社だと、部長クラスは関連会社や下請けの役員として“天下り”できることが多いが、それ以下の役職で終わっていると再雇用時の給料が半分以下になる。嫌なら他の仕事を自分で探すしかありません」
役職のほかに「専門技能の有無」が関係してくるケースもある。大手メーカーに再雇用で5年間務め、退職した68歳の男性が振り返る。
「設計や研究の部署で、“匠”と呼ばれるような職人技の持ち主や、特殊溶接などの熟練工などは、会社のほうから“頼まれて残る”かたちになる。大得意先と個人的に大きなパイプを持っている営業社員や、税務や法務に詳しく“生き字引”として頼られる人なども同じです。こういう人たちは、“本部長付アドバイザー”といった肩書きがつき、手当や一時金も別途あるので定年前に近い待遇のまま会社に残れます」
そうした「ごほうび再雇用」は、企業側にとっても「功績を残せば再雇用で厚遇されると現役社員のモチベーション上昇に繋がる」(大手運輸の人事担当者)という意味を持っているようだ。
だが、「そんな扱いを受けられるのは再雇用希望者の1割にも満たない」(前出の68歳男性)という厳しい現実がある。
むしろ、長年勤め上げた者に対して会社がやることとは思えない「ブラック再雇用」が横行している現実がある。現役時代は、サラリーマンの加入する厚生年金や健康保険の保険料負担は「労使折半」だ。しかし、再雇用の際に雇用契約をパートタイムに切り替え、週の労働時間が20時間未満になれば、厚生年金、健康保険への加入は必要なくなる。社会保険労務士の内海正人氏がいう。
「一部の中小企業では、会社側の保険料負担を回避する雇用契約を結ぼうとする動きが出てきている。そうなると、国民健康保険の保険料などを個人として払わなければならなくなる。
こうした動きは違法とはいえませんが、“立場の弱い者にどんどんしわ寄せがいっている”という印象が強い。もともと、年金の給付年齢を60歳から65歳まで引き上げ、企業に再雇用を押し付けたのは国です。そして、“労働条件は会社と本人で決めていい”ということになっているので余裕のない会社側が労働者側に、“給料を払ってやるんだから、保険料は自腹で”と不利な条件を示し、労働者はそれを断われない」
もちろん、あまりに不利な条件を提示されるのであれば、別の働き口を求めるという考え方もある。だが、それも容易ではない。
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