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40〜50代が老後資金を貯めにくくなった5つの理由
http://diamond.jp/articles/-/140994
2017.9.6 老後のお金クライシス! 深田晶恵 ダイヤモンド・オンライン
親世代と違って
「お金が貯めにくい環境」になっている!
当コラム「40代から備えたい!老後のお金クライシス」がスタートして丸3年が経つ。連載タイトルを考えたのは編集部の担当さん。「老後のお金に不安を持つ40〜50代が増えてきているので、老後資金作りのあれこれを伝えて、読者を少しでも安心させてください」と依頼を受けた。
その後、「下流老人」「老後破産」といった言葉がメディアをにぎわせ、老後不安はいっそう高まる。経済的に自立できずに、生活保護など福祉のサポートがないと暮らしていけない人を指すのだが、実は、大企業勤務であっても今の40〜50代に「下流老人予備軍」はいる。
漠然とした不安を感じつつも、70代以上の親世代を見て「たぶん、何とかなるだろう」と考える(考えたい)人は多い。しかし、親世代とはお金を取り巻く環境が大きく異なる。危機感を持って、「何とかしよう」とアクションを起こさない限り、「何ともならない」のが現実だ。誰にでも下流老人になる可能性があることを知っておきたい。
とはいっても、日々お金を使いながら将来に向けて貯蓄し続けるのは容易ではない。FPになって21年になるが、長年家計相談を受けてきて、10年、15年前に比べると、同じ世代でも貯蓄ができていないことを実感することが増えてきた。
私は、企業や自治体の社員・職員向けのライフプランセミナーの講師を受託しており、セミナー後に家計相談を受ける人も多い。長くセミナーを担当している企業なら、社員の貯蓄動向も把握できる。
特に退職直前セミナー参加者の貯蓄額の変化は顕著で、この10年で大きく減っている。つまり、老後資金を貯められていないのである。セミナー中に「この会社にお勤めの場合、企業年金を考慮すると老後資金は○○○万円がひとつの目安です」と言うと、ため息とともに困った顔をする参加者が毎年増えている。
老後資金の目安は、貯めるのが無理なほど多額の金額を提示したわけではない。でも、貯められていない。親世代のときと何が違うのかを具体的に考えてみた。経済環境に世代特有の事情を加えると、今の40〜50代が貯蓄できない要因は、おもに5つあると思う。
(1)税金・社会保険料アップで手取り収入が減っている
手取り収入とは、各種手当込みの額面の収入から、所得税・住民税、厚生年金・健康保険など社会保険料を差し引いた金額のこと。
税金も社会保険料も負担増の傾向は続いているため、手取り収入は毎年のように減り続けている。2003年の改正で、ボーナスからまとまった額の厚生年金や健康保険の保険料が引かれるようになった。それまでに比べ手取りがぐんと減ったことは40〜50代の人なら記憶にあるだろう。
その改正(社会保険料の総報酬制)があったとき、「手取り」に強く関心を持ち、経年変化をウオッチすることを決めて、毎年1月に「今年の手取り収入の試算」を続けている。たとえば、年収700万円の人の手取りは、2002年には587万円だったのが、今年は537万円だ(40歳以上で専業主婦の妻と15歳以下の子どもが2人いる会社員の例。健康保険は協会けんぽ加入)。15年間で50万円も減っている!
手取りを減らす税制改正も相次ぎ、配偶者特別控除の一部廃止、年少扶養控除廃止などにより、所得税・住民税も負担増となっている。
つまり、額面年収が同じなら、税金や社会保険料の負担が増える分、手取り収入はどんどん少なくなる傾向にあるのだ。
(2)超低金利が長く続き、利息でお金を増やせない
70代以上の親世代が働き盛りだった頃、長期金利が5〜7%といった「金利の大波」が10年に1回くらいのサイクルであった。当時、お金を上手に増やした人は、口を揃えて「金利が高くなったら、家中のお金をかき集めて郵便局の定額貯金か一時払い養老保険に預けた」と言う。値動きのある投資信託や株式投資などせずに、安全確実に10〜15年かけて元本を2倍近く増やした経験を持つ高齢者は少なくない。
前回のコラムで、同居の夫の父の「引き出し」を整理した話を書いたが、その中に昭和45年の養老保険の保険料内訳書があった。年払い保険料が8万6700円のうち、配当金が2万4300円もあり、差し引き6万2400円の支払いで済んでいる。予定利率は今より高いので約定の保険料自体も安かったはず。それに加え配当金が保険料に充当されると、実質の利回りはさらに高くなる。
親世代が貯蓄型保険好きなのは、こうした「成功体験」を持つからだろう。貯蓄型保険は、契約時の予定利率によって有利、不利が決まる。マイナス金利政策なので新規加入の貯蓄型保険は不利であることを知っておきたい。
翻って現在は、長引く超低金利により、安全確実にお金を増やすことはできない。ほぼゼロ金利の預金に寝かしておくか、リスクをとって投資をするか、二者択一の状況だ。
今の40〜50代で投資をしている人はとても少ない。子どもの教育資金の手当てに追われ、リスクを取れるような状況ではないし、仕事が忙しく資産運用の勉強や経験を積む時間が取りにくい。勤務先に確定拠出年金制度が導入されても、何を選んでいいのかわからず、デフォルトの預金のままという人も多いと聞いている。
というわけで、40〜50代は利息や運用益で老後資金を効率的に増やす経験値を持っていない。
(3)子どもの教育費がハイパーインフレ状態
今の大学生の2人に1人は貸与型の奨学金を借りているという。奨学金を借りる子どもが増えているのは複数の原因があるが、中でも今の40〜50代が大学生だった頃より、学費が格段に高くなっていることは見逃せない。
たとえば、現在58歳の人が大学に入学した昭和52年(1977年)の私立大学の授業料は年約25万円、入学金は約14万円だ(文部科学省の公表データより。私立大学の平均額)。初年度は、合計で39万円。
最新のデータは平成26年(2014年)のもので、授業料の平均は約86万円、入学金は約26万円である。納付金は、40年間で3倍以上も増えているが、この間公務員の給料は2倍ちょっとしか上がっていない。
つまり、給料の伸び以上に教育費は上がっているということ。国立大学は約5倍にもなっているのである。
「最低限、自分の親がしてくれたことは子どもにしてあげたい」と思うのが親心かもしれないが、もはや「最低限」のことではなくなっていることを認識しておかなくはいけないだろう。
(4)住宅ローンを「たくさん」「長く」借りているから、老後に負担を先送り
「長引く超低金利」は、お金を増やすにはデメリットだが、借りるにはメリットと言えよう。しかし、住宅ローンにおいては必ずしもメリットだけではない。
金利が低いと毎月の返済額が少なくなるため、たくさん借りることができ、身の丈以上の借入額になるリスクがある。
さらに親世代のときよりも、長くローンを組むことができるのも実は良くないこと。今の銀行ローンは最長35年、完済年齢80歳となっているため、最長返済期間で借りる人は少なくない。しかし、60歳以降にも返済が続くローンを組むと、毎月は返済が少なくてラクであるが、その分確実に老後の生活に影響を及ぼすことになるのだ。
これまでFPとして20年以上、住宅ローンの相談を受けてきた経験上、60歳までに繰り上げ返済で何とか完済ができるのは600万円程度だと実感する。
60歳時点で1000万円以上の残高があると、老後はきびしいものになる可能性が高い。退職金で繰り上げ返済してしまうと、老後資金が減ってしまうからだ。
(5)今の40〜50代は消費好きで貯蓄ができない
この項目でひとくちに「40〜50代」と世代をくくってしまうと、語弊があるかもしれない。バブルの空気を知っているのは50歳以上で、40代はバブル時期には社会人になっていないため「バブルでいい思いなどしたことがない」という人が大多数だろう。
5つ目の要因は「50代」としよう。バブル時期を知っている人は、他の世代と比べて格段に「消費が大好き」である。「クルマは持っていて当たり前」、「月に2回のゴルフは欠かせない」「部下や後輩におごるのは男の甲斐性」といった羽振りの良い男性は珍しくない(女性でもいる)。
でも、こういう人でしっかり貯蓄できている人は見かけない。全方位的にお金を使う人は、貯蓄できるはずがないのである。
何となくお金を使うのではなく、
事前のリサーチと家族の話し合いが不可欠
まとめると、「今の40〜50代が貯蓄できない5つの要因」は次のようになる。
(1)税金・社会保険料アップで手取り収入が減っている
(2)超低金利が長く続き、利息でお金を増やせない
(3)子どもの教育費がハイパーインフレ状態
(4)住宅ローンを「たくさん」「長く」借りているから、老後に負担を先送り
(5)今の50代は消費好きで貯蓄ができない
このうち、1つ目と2つ目は経済環境の変化によるものなので、原則として自分でコントロールするのは難しい。しかし、3つ目〜5つ目については、多少のコントロールの余地は残されている。
たとえば、子どもが高校生になった段階で、進路を子どもと話し合い、学費を調べ、お金が足りるのかどうかを試算しておく。足りないようであれば、それをどのように資金繰りするといいのかを子どもを巻き込んでプランを立てておく。
当たり前のことだが、多くの家庭でできておらず、「とりあえず教育ローン、2年目以降は奨学金を貯めて払う」として、親、子ともに借金をすることになっているのが現状だ。事前のリサーチと家族の話し合いをするかどうかで、親の老後だけでなく、子どもの20代以降の生活も変わってくることを忘れないでおきたい。
「下流老人予備軍」から脱却する策は、これからもこのコラムで紹介していくつもりだ。まずは、40〜50代を取り巻く環境は親世代の時と大きく異なり、厳しいものであること認識することから始めよう。
((株)生活設計塾クルー取締役 ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)
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