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年収300万円のコンビニ正社員になるのはそれほど魅力的でしょうか?(撮影:梅谷秀司、今井康一)
コンビニ「年収300万円社員」は魅力的なのか 正社員になりたくない人が半数もいるワケ
http://toyokeizai.net/articles/-/183110
2017年08月07日 高城 幸司 :株式会社セレブレイン社長 東洋経済
コンビニのアルバイトから、年収300万円の正社員に登用されるのは「画期的な前進」だと思いますか?
コンビニエンスストア大手であるファミリーマートが、店舗で働くアルバイトやパートを本社が社員として直接雇用する新制度を導入すると朝日新聞が報じました。
■優秀な人材の引き留めに…?
全国の加盟店で働くアルバイト・パート約20万人のうち、社内表彰で優秀だと評価された人と、スタッフの指導育成も担える社内資格を持つ人が対象。まずは関東を中心に20〜30人の採用を始め、2年ほどかけて全国で合計約300人を採用。こうした採用が優秀な店舗スタッフの引き抜きだとFC加盟店から批判されないように加盟店からの推薦が前提で、採用につながった加盟店には「育成功労金」を支払うといいます。
ちなみに社員になると、ボーナスを含めて年収は300万円ほどになる見込み。正社員への転身の道を整えることで人材の「引き留め」を図ることが目的のようです。
これまで、コンビニでアルバイトしていて正社員になれる可能性は低いものでした。頑張れば本部で正社員になれる可能性があることが、アルバイトとして辞めずに働くことや、働く意欲を上げることになると期待しての施策なのでしょう。
ただ筆者が感じたのは年収300万円の正社員になることがアルバイトの引き留めにはならないのでないか?ということ。その理由はアルバイトのままでも同額くらい稼げるから。ちなみに東京都におけるアルバイトの平均時給は1000円を超えています。
なので、仮に時給1000円のアルバイトを朝の9時から夜の21時まで働いたとして1日の収入が1万2000円になります。週休2日で働いて約26万円×12=312万。単純に給与の手取りという面ではみると、差がないことがわかります。
■2020年には時給2000円に迫る可能性も
さらにアルバイト・パートの人手不足が加速していくなかで時給が劇的に上昇するのは間違いありません。取材した元コンビニ業界の経営者は「2020年には時給2000円に迫る可能性があります」とコメントしてくれました。さすがに2000円には届かないと思いますが、コンビニ店舗でのオペレーション経験が豊富な人材は派遣会社経由で時給昼間1200円以上、夜間1500円以上で働くことが当たり前になってきています。アルバイト・パートにおける時給も追随して上昇するのは間違いありません。このように短期的にみると、正社員より非正規社員の報酬が上昇する可能性は高く、年収300万円という給与での正社員に魅力を感じる人がそれほどたくさんいるとは思えません。
ただ、目先の収入以外の理由でアルバイト・パートに就業している人の半数以上は正社員になりたいと思っています。
取材したアルバイト歴の長いSさんは「周囲の見る目が変わる。福利厚生の恩恵が受けやすい。さらに退職金がもらえるかも……」と正社員になりたい理由を語ってくれました。
ほかにも取材していくと転職で有利、組合に加入できる可能性が高いなど、収入面だけでないメリットがたくさんあると感じているようです。ただ、メリットよりもデメリットを感じて正社員への転身を望まない人もたくさんいます。
たとえば、正社員になることで地方への転勤がある。アルバイトが欠勤したときのフォローする側にまわる可能性があり、その負担が大変。あるいは正社員だから……と会社の行事や会議などで拘束される時間が大幅に増えることになる、などです。
取材していると、想定していた以上にデメリットを聞くことができました。なかでも正社員への転身で頻繁に聞いたデメリットは「自由な時間を失う」かもしれません。
取材したDさんは飲食業界でアルバイトしていたのですが、店長から「正社員にならないか」と声をかけられて、本社でテストと面接を受験。すると、まもなく正社員合格の連絡を店長から受けました。この会社で正社員に登用されることは希少なケースであったようです。アルバイト仲間は「おめでとう」とお祝いしてくれました。ところが、1年経たないうちに辞表を出して、別の飲食店でアルバイトとして働くことになりました。
その理由を聞いてみると「自由な時間がなくなり、精神的に耐えられなかった」とのこと。もともと自由人で、気ままな旅をして世界を放浪。帰国してアルバイトで稼いで、おカネが貯まると旅に出ることを繰り返してきました。ところが正社員になると長期間の休暇など不可能。同僚が3日の有給休暇を申請したところ「店舗の状況がわかっていて申請するのですか?」と暗に「3日の有給は無理だから取り下げなさい」とプレッシャーをかけられてあきらめた現実を目の当たりにしました。
さらにアルバイトとして気ままに働いていたときには気がつかなかった、社内の人間関係にも巻き込まれる状態になり、この環境では働けないと感じて、辞表を出すことになってしまったようです。おそらく、正社員になることは二度とないと語ってくれました。
こうして、正社員を体験して、転身を後悔した人は少なくありません。確かにに先ほどのデータで正社員になりたい人は半数以上いると書きましたが、逆に正社員になりたくない人も半数近くいるのです。こうした正社員になって後悔した人の声も影響しているのかもしれません。加えて、今後時給が上昇していけば、正社員にはなりたくないと考える人がさらに増える可能性もあります。
■もっと魅力的な条件が必要なのでは?
さて、冒頭のファミリーマートの事例では、正社員になる道が開かれることは、アルバイト人材の引き留めの手段とされていましたが、皆さんは効果的だと思いますか? 筆者は引き留めを行うためには正社員として働く、もっと魅力的な条件が必要だと思います。
たとえば、年収ベースで600万円以上得られる正社員への転身。これだったら魅力的に感じる人も多いでしょう。でも、正社員にならずに同様の処遇で働けるアルバイトはありえないでしょうか? そうしたワークスタイルが可能になれば、コンビニ業界で効果的な人材の引き留めになるはずです。
役割や責任は正社員並み、でも働き方は正社員よりフレキシブル。売り上げアップのための販促活動や新規のアルバイトの採用や育成まで責任をもってもいいかもしれません。もはやアルバイト(非正規社員)イコール正社員の補助的な業務という定義も時代遅れなのかもしれません。
ただ、こうした発想に企業はネガティブな意見をもつことでしょう。コンビニの店舗管理コストが上がり、商品の販売価格が上がる、それは避けたいから時給は据え置きたいと長く考えてきました。でも、このデフレ発想は打破するタイミングではないでしょうか? アルバイトも正社員並みの収入が得られる可能性を容認しないと(コンビニ業界を支える)人材の確保は今後立ち行かなくなるはずです。
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