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75歳受給開始になれば、元を取れるのはいつ?
年金75歳受給開始で夫婦の総受給額は2655万円減る
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170805-00000001-moneypost-bus_all&pos=2
マネーポストWEB 8/5(土) 11:30配信
いま、年金の受給開始年齢を「75歳」にしようとする計画が検討されている。75歳受給開始になれば、どれだけ受給額が減らされるのか、元を取れる年齢はいつになるのか。政府・自民党がいくら「働ける元気な高齢者を支援する」といっても、75歳まで年金がなければ高齢者はいっぺんに生活苦に直面する。
年金の受給開始年齢引き上げはいつから始まるのか。社会保険労務士の北村庄吾氏は「政府は東京五輪前年の2019年までに引き上げたいと考えている」と指摘する。
「公的年金支給を遅らせる場合、その間の生活補填の仕組みが必要になります。政府は今年1月から雇用保険の対象を65歳以上に拡大し、職を失えば失業給付を受給できるようにした。その保険料徴収が猶予期間を経て2020年から始まる。雇用保険料を取って年金支給も遅らせるといえば高齢者の怒りが一層強まる。だから五輪景気がピークになる2019年に、国民の五輪ムードのドサクサの中で年金支給開始年齢を引き上げるのではないか」
年金の受給開始年齢引き上げは段階的に行なわれると見られるが、東京五輪前となると、65歳の受給開始を控えた60代が最初のターゲットになる。
この年金改悪で国民の老後の資金はいくら奪われるのか。夫婦2人の標準モデル(年金月額約22万1277円)で計算すると、現在65歳の年金受給開始年齢が「70歳」まで引き上げられた場合、年金総額は約1327万円減らされ、「75歳受給」ならその2倍、2655万円がもらえなくなる。
日本の個人金融資産1800兆円(2016年末)のうち6割を高齢者が保有し、世帯主が60代の世帯が「老後のため」と蓄えた貯蓄は平均2312万円(家計調査)ある。年金75歳受給とは、高齢者が75歳まで働かないなら所有する金融資産を年金の代わりに75歳までの生活費に使い切って“老前破産”するしかないという政策なのである。
無論、そんなことを正直に言えば与党は選挙で惨敗するだろう。だからまず「選択制」で年金受給開始を75歳まで遅らせ、「長く働いて年金を我慢すれば、割り増し年金をもらえる」と甘い言葉を囁いているのだ。
現在の制度では「70歳受給」を選択すれば夫婦で平均約22万円(年間約266万円)の年金額が、割り増しで377万円まで増える。加算割合が同じなら「75歳受給」を選択すれば年金額は約489万円にアップすることになる。
「年金だけで年収はざっと500万円」というニンジンをぶら下げられたら、“体も健康だし、働けるだけ働いて年金を我慢しよう”と考える高齢者は少なくないはずだ。
しかし、騙されてはいけない。受給開始年齢を「65歳」「70歳」「75歳」の3つのパターンで選択した場合、現役時代に支払った年金保険料の総額を何年で取り戻せるかを北村氏監修のもとシミュレーションした。
それによると、65歳から受給開始すると、76歳で払い込んだ保険料を上回る。75歳で受給開始した人の総受給額が、「65歳受給開始」の人を上回るのは「86歳」だった。また、75歳で受給開始すると、総受給額が払い込んだ保険料を上回るのは「81歳」だった。
「男性80.98歳という平均寿命を考えると、75歳受給を選択すると、年金総額が支払った保険料を下回る“払い損”になる可能性が強い。しかも、年金の受給額が増えても、年収500万円になれば所得税・住民税や健康保険、介護保険料の負担が重くなるため、手取りは65歳を選択した場合の2倍にはなりません」(北村氏)
年金500万円は絵に描いたモチということなのだ。
※週刊ポスト2017年8月11日号
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