心理学的に見ると「3分間」というのはとても重要な意味を持つ時間である。「大事なことはみんな3分以内に起こる」という格言めいた言葉もあるほどだ。

なぜ3分なのか？それは人間が自分の全能力をあげて1つのことに集中できる時間が、およそ3分間だからだ。それ以上長くなると、その道のベテランといえども意識は拡散し、10分も過ぎると、何か他のことに気をとられる率が高くなる。

将棋のプロなどのような「長考」に慣れた人でも、3分ほども経つと思考の「ムダ弾」が増え、堂々めぐりに陥る場合がよくあるそうだ。すでに述べた ようにそんなに集中力を必要としないケースでも、3分も経つと、人間は飽きてくる。

これは、自分にとっても相手にとっても当て嵌まる。つまり、自分が話に集中して場を盛り上げ、説得力を発揮できるのは普通は3分だし、また相手がそれをまともに受けとめ、よくこちらの話の意味内容を掴むために「参加」してくれるのも、3分なのである。

言い換えれば、自分の気持ちに一定のエネルギーのようなものがみなぎり、それを放射し続けることによって、相手をこちらの意思に引き込める3分の間に、相手を丸のみにしろということだ。これは話し下手の人でも同じこと。とにかく「3分間がんばる」つもりで集中すれば、その意思はおのずと相手側に伝わるものだ。熱気は伝染するのだから。

集中の時間を長びかせることはできる。チェスの一流プレイヤーが、ヨーガの修 行を積んだりするのもそのためだ。しかし、私たちの間では、相手はごく普通の人間である。こちらがいくら長時間がんばっても、相手がしらけてしまってはなんにもならない。

不思議なことに、相手がシラけるとこちらの「術」も破れてしまうことが多い。「3分間」というタイムリミットを忘れてはならない。それ以上は意識も茹ですぎになってしまうのである。
http://blog.livedoor.jp/mush_k/archives/39529984.html