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アメリカ金融政策「利上げ」の次の話題はもっぱらコレだ 今後の市場動向とリスクを考える(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/627.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 7 月 20 日 15:40:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


アメリカ金融政策「利上げ」の次の話題はもっぱらコレだ 今後の市場動向とリスクを考える
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52349
2017.07.20 安達 誠司 エコノミスト 現代ビジネス


■FRBの資産圧縮計画

7月12、13日のジャネット・イエレンFRB議長の議会証言は、多くの市場関係者に安心感を与えるものとなった。そのため、この議会証言後の米国株式市場は底堅く推移している。

ここまでFRBは順調に利上げを進めている。現在、政策金利であるFF(フェデラルファンドレート)の誘導水準は1.00〜1.25%である。FRBは年内にあと1回、来年は計3回の利上げを見込んでいるというのが現時点での市場コンセンサスである。

だが、ここのところ、米国の金融政策についての話題は、政策金利の引き上げから「資産圧縮(マネタリーベースの縮小)」に移りつつある。



当たり前の話だが、FRBの資産圧縮が始まると、米国のマネタリーベースは減少局面に入っていくことになる。

「FRBの資産残高(もしくはマネタリーベース残高)は経済やマーケットにとって何の意味もない」という論者もいるが、事実としては、FRBは量的緩和(QE)政策実施後に何度か資産圧縮を試み、そして、それが原因で、マーケットや経済は調整局面を迎えた。

すなわち、FRBが資産圧縮を行うと資産市場が大きな調整局面に入り、それを回避するために、結局は、マネタリーベースを再び拡大させざるを得ない状況を繰り返してきた。ここまでのFRBの資産圧縮計画は必ずしもうまく行っていないのである。

なお、最近では、FRBの金融政策と政府の財政政策の間の相互依存関係から、FRBの量的緩和政策の効果を考察する論文が米国の経済学者から発表されるようになっている。

ところで、2016年には、FRBは、正式なアナウンスはしていないが、マネタリーベース残高を年間で5.4%減少させている。だが、2017年に入ってからは、利上げ局面にもかかわらず、逆にマネタリーベースは再び拡大基調で推移している。

今年6月時点のマネタリーベース残高は、昨年12月時点から8.2%増加している。もっとも、2016年のFRBのマネタリーベースの縮小は、債券の「リバースレポ」を用いていたので、FRBの資産残高自体は減少していなかった。

そこで、過去のマネタリーベースと株価の関係を考えると、2017年に入ってからの予想外のマネタリーベースの拡大が、ここまでの堅調な米国株式市場を支えてきた可能性がある。従って、FRBがいつ資産圧縮を通じてマネタリーベースを縮小させていくかは、今後の市場動向を見極める上で重要だと考える。

FRBはすでに、資産圧縮をどのようなプロセスで進めていくかについて発表している。だが、いつからそれを始めるかはアナウンスしていない。7月12、13日のイエレン議長の議会証言においても、その開始時期は明らかにされなかった。

むしろ、イエレン議長は、議会証言で米国の将来のインフレ動向についての不確実性を指摘した。すなわち、イエレン議長は、「FRBはあくまでも経済状況を冷静に観察しながら政策を遂行していくのであって、『利上げ・資産圧縮ありき』で金融政策運営を行うことはしない」ことを伝えたわけだ。

イエレン議長は、この議会証言の場で、どちらかといえば、「タカ派寄り」に傾斜しつつあるのではないかと懸念されていたFRBの金融政策スタンスを「ハト派」寄りに修正する役割を演じたと思われる。その意味で、ここまで、FRBは「市場との対話」を巧みに実施しているといえよう。

■注目すべきは圧縮の「ペース」

そこで、過去のデータで検証してみると、FRBによる資産圧縮は、市場の「ボラティリティ(例えば、VIX指数のような変動性を示す指標)」を上昇させ、その後、本格的な資産価格(株価や不動産価格)の調整をもたらす。

ちなみに米国の場合、不動産価格や株価が消費や設備投資などの実体経済へ影響を与える「資産効果」がかなり強く働くため、実体経済への影響は資産価格の調整より約半年程度遅れることが多い。

さらに注意すべきは、FRBによる資産圧縮が市場の「ボラティリティ」の上昇や資産価格の調整に波及するスピードは、資産圧縮のペースにかなり依存しているということだ。

資産圧縮のペースが早ければ(すなわち、マネタリーベースの減少幅が大きく、短期的にマネタリーベース残高を大きく縮小させる場合)、市場の「ボラティリティ」の上昇、および、株価等の資産価格の調整のタイミングはかなり早まる(つまり、株価調整へのタイムラグがあまりない)。

例えば、FRBは2011年半ばに量的緩和拡大のペースを一旦減速させ、マネタリーベース残高をほぼ横ばいに保ったことがあったが、このときには、その政策転換とほぼ同時にVIX指数が上昇、そして、株価も調整局面に入った。

一方、バーナンキ議長(当時)の発言から始まったFRBの量的緩和解除のプロセス(いわゆる「テーパリング」)では、マネタリーベースの減速は段階的、かつ緩やかであったため、これがVIX指数の上昇、および、株価の調整に波及するまでには長い期間を要した。結局、VIX指数の上昇と株価の調整は2015年の後半に始まった。

このとき、金融政策の転換(量的緩和からテーパリングへ)が株価の調整に波及するまでに2年程度のタイムラグがあった。すなわち、緩やかな金融引き締めの場合(しかも、FRBが「市場との対話」を慎重に進めながら金融引き締めを行う場合)には、金融引き締めが資産価格に影響を及ぼすまでにはかなり長い期間を要する可能性がある。

そこで、今回のFRBの資産圧縮ペースはどちらなのかという問題になるが、筆者は、かなり緩やかになると考える。

その理由として指摘されるのは、インフレ率がFRBの目標である2%を下回っており、しかも、そのインフレ率が減速気味である点である。現に、FRBが発表した資産圧縮のプロセスも非常に緩やかなものとなっている(四半期に1回、過去に購入した債券の償還分の再投資額を減少させていくというもの)。

とはいえ、残念ながら、マネタリーベースの減少が進んでいく状況下で、株価だけが上昇基調を強めていく可能性は低く(前述のようにタイムラグの問題があるが)、いずれかの時点で株価が調整局面を迎える可能性は高いと考える。

ただ、緩やかなペースでの資産圧縮であれば、そのタイミングが来るまでにはしばらく時間がかかると思われるので慌てる必要はないだろう。また、資産圧縮がFRBの現執行部の考えるペースで進むかどうかに関して、その先行きについてもリスクがあると思われる。

■サプライズよりも「市場との対話」

次にリスクについて考えてみる。リスクには「ポジティブリスク」と「ネガティブリスク」がある。

まず、ポジティブリスクだが、来年2月3日にイエレンFRB議長の任期が切れる。次の議長が誰になるかは不明だが、FRB議長の任命権は事実上、大統領にある。

現在のFRB執行部の米国経済についての考え方はトランプ政権とは隔たりがある。成長志向が強いトランプ大統領が、自らの政策にマッチする議長を任命すれば、現在の米国の経済成長率はそれほど高くないだけに資産圧縮政策が先送り、ないしは、途中で停止される可能性がある。その場合、資産価格の調整はそれほど大きくないかもしれない。これは米国株式市場にとってはプラスであろう。

次にネガティブリスクだが、これは欧州の長期金利上昇によるユーロ高ドル安トレンドが継続する場合である。

米国景気がピークアウトから減速へ向かうという見方が根強く残っているが、なかなか減速しない大きな理由は、ドル安による堅調な輸出、およびそれによる製造業の景況観の改善が指摘できる。

欧州の長期金利上昇によって、ユーロ高ドル安が進行すると、製造業の景況観のさらなる改善から、FRBの景気見通しがより強気になり、資産圧縮のペースが加速する可能性がある。

また、前者とは全く逆だが、FRBの「行き過ぎた金融緩和」の弊害を指摘する共和党の一部勢力の影響が強い場合、よりタカ派的な議長が選出される可能性もあり、注意が必要だ(また、性質はやや異なるが、ジョン・テイラー氏のように「量的緩和」に否定的な経済学者が議長になる場合も同様であろう)。

いずれにせよ、「出口政策(利上げや資産圧縮を通じた金融政策の正常化)」の局面において、金融政策は、市場にサプライズを与えるのではなく、「市場との対話」を通じて、FRBの政策意図を「織り込ませる」ことが重要であるという認識は、FRB内で共通されていると思われる。

資産圧縮開始後は、FRB幹部の発言等をより慎重に検討することが重要であろう。


 

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