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森金融庁長官3年目の責務は「毎月分配型投信の撲滅」だ(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/617.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 7 月 19 日 13:01:45: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


森金融庁長官3年目の責務は「毎月分配型投信の撲滅」だ
http://diamond.jp/articles/-/135574
2017.7.19 山崎 元:経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 ダイヤモンド・オンライン


最新号の『週刊ダイヤモンド』(7月22日号)は、「金融庁vs銀行 あなたのお金の味方はどっち!?」と題する特集を組んだ。任期3年目を迎える異色の金融庁長官・森信親氏と金融庁、そして銀行業界を広く取り上げた特集だ。

 これまでの金融庁の行政方針と一線を画する森長官の金融行政については、既に多くのメディアが論じているが、最新の情勢のレビューと共に、金融庁の人事や個別の銀行の財務状態などに関して詳細に報じている点で、本特集には金融関係者には必読の内容が含まれている。

 もっとも、一般読者にとって、「お金の味方」が金融庁なのか、銀行なのかは、特集を読まなくても自明だろう。

 特に近年の銀行は、低金利・マイナス金利政策で融資の利鞘を失ったため、お金持ちからは運用商品の手数料を稼ぎ、貧乏人からはローンの金利を稼ぐビジネスモデルにドライブをかけている。

 そういう意味で、全く信用できない相手なので、できれば関わらない方がいい(特に「相談」に近づいてはならない)。とはいえ、われわれは日常生活を銀行と全く無縁に送ることは難しい。その点で、銀行のビジネスの現状について、よく知っておくことが肝要だ。

 さて、特集は、銀行と金融庁の関係に関わる多くの問題を取り上げているが、本稿では、特集で必ずしも明示的に取り上げられていないものの、筆者が重要だと思う問題を三つ取り上げることにする。特集の補足として読んでいただけるとありがたい。

■その1 毎月分配型投信を撲滅できるか?

 国民が、森長官の仕事ぶりを評価する数値指標を一つだけ挙げるとするなら、毎月分配型の投資信託の残高・販売高がどれだけ減ったかだろう。森氏が重視する「フィデューシャリーデューティー」(以下「FD」)は、金融庁では「顧客本位の業務運営」と訳されているが、毎月分配型の投資信託は、いかなる顧客に対してもFDに適合しない。

 メガバンクなどを始めとする金融機関は、一方で「FD宣言」をしているが、他方、窓口で売っている投資商品の上位には「毎月分配型投信」が並ぶことが一般的だ。端的に言って、言っていることとやっていることとが矛盾している。

 金融機関側は、高齢者などに「定期的な分配金などの(現金収入の)ニーズがある」と言い募るのだが、高齢者が普通預金を持たず、分配金の大きな投資信託で資産の大半を運用することは、リスクの上からも、手数料の上からも、適切とは言い難い。

 端的に言って、生活費を賄う現金は、普通預金から取り崩す方が無駄な手数料を払わずに済むし、余計なリスクを負わずに済む(同時におそらく高齢者には内容を正確に理解できない)。したがって、「毎月分配型投信は止めて、生活費に必要な現金は普通預金を取り崩し、リスクを取って運用する部分はもっと手数料の安い、効率のいい対象に適当な額だけ投資しましょう。生活費は、普通預金から取り崩すのが合理的ですよ」とアドバイスするのが、「顧客本位」の正しいアドバイスだ。

 マイナスのリターンを求めて投信を買う人は、普通はいない。しかし、リターンがプラスだとすると、毎月分配型投信は、年に一度分配される投信よりも税金面で効率が悪い。しかも、多くの場合、信託報酬だけで1%台半ばに及ぶ高い手数料の運用商品は、投資家の利益の立場に立つなら、100%避けるべきだ。したがって、毎月分配型投信を販売することは、FDの原則と完全に矛盾している。

 森長官は、日本証券アナリスト協会の講演で「顧客本位を口で言うだけで、具体的な行動につなげられない金融機関が淘汰されていく市場メカニズムが有効に働くような環境を作っていくことが、われわれの責務」だと述べた。

 金融機関の経営者がしたり顔で「FD宣言」を行う一方、販売の現場では高齢者を誤解させやすくて、手数料の高いあこぎな毎月分配型投信を販売しているという状況は、森氏の金融行政の失敗を意味すると評価していいだろう。

 筆者の私見では、成功の鍵は、毎月分配型投信が誰にとっても不適切な商品なのだということを広く伝える「投資教育」が有効にできるか否かだ。多くの顧客は、現状で軽くだまされているのだし、金融機関には利益獲得のインセンティブが強力に働いているのだから、彼らの判断力を改善することなく「淘汰」を期待することは、全く現実的でない。

 なお、『週刊ダイヤモンド』の特集では、「つみたてNISA」適格の投信以外に、「中級者向け投信」として、「より高いリターン狙いの厳選投信」という、全く有害無益な記事を載せている(45ページ)。読者に対して、不十分な根拠の下に、手数料の高い商品を勧めることになりかねない。

 編集部にも、投信評価会社にも、相対的に優れたアクティブファンドを事前に選ぶ能力などないし、過去の「シャープレシオ」ごときがファンド選びに役に立つなどという誤解を読者に振りまかない方がいい。雑誌を見る限り、金融機関から広告を取っていて彼らにおもねらなければならないような事情があるわけではなさそうなのに、大変残念に思った。

■その2 個人データの営業利用はどこまで許されるか

 今回の特集の中で明示的に取り上げられてはいないが、筆者が近年特に心配しているのは、例えば銀行が、顧客の預金口座のデータを営業に利用することが、どの程度まで許容できるのかだ。

 誰が、どこから、いくらお金を受け取り、誰に対していくら払っているかということを継続的に記録したデータは、各種のマーケティングにとって有用な究極のビッグデータだ。

 例えば銀行は、証券会社と資金のやり取りがある顧客をターゲットに運用商品を売ることができるだろうし、解析技術が進むと、家のリフォームでも、羽毛布団でも、生命保険でも、投資信託でも、「セールスされると弱い」顧客を特定し、セールスのターゲットにすることができるだろう。

 なお、この心配はいわゆるフィンテック業界に対しても存在する。家計簿にせよ、口座管理にせよ、ファイナンシャルプランニングにせよ、個人のデータを「マネタイズ」する方法は多々考えられるからだ。

 金融の世界は、動く金額が大きいし、テンポも速い。データ解析を背景とするマーケティングの猛威から、どの程度個人を守るかについて、金融業界の監督官庁である金融庁はそろそろ真剣に考えるべき段階にきているのではないだろうか。

■その3 クリーンなお金のアドバイザーの養成

 『週刊ダイヤモンド』の特集では、「その他に処方箋の一つになりそうなのが、近年注目を集めるIFA(Independent Financial Adviser)という独立系の資産形成アドバイザーの活用だ。金融機関からお金を受け取らないので、『私たち』の目線で助言をくれる。ただ、当然ながらその対価は支払わなければならない」と述べて、いささか唐突に「IFA」に期待している。

 確かに、金融機関からお金を受け取らないアドバイザーは「Independent(独立)」だと期待していいかもしれないが、現実にはIFAあるいはFP(ファイナンシャルプランナ−)を名乗る個人や業者にあって、生命保険(代理店を兼営すると、商品によっては初年度に保険料の9割くらいを受け取る場合もある)、証券(証券仲介業では販売手数料の過半を手にするケースが多い)、不動産(不動産業者から、1件当たりの金額は決して小さくない紹介手数料のキックバックを受ける)などの販売を仲介して手数料を受け取っているケースが少なくない。

 一般的な経済常識として、こうした立場にあるアドバイザーは、顧客の利益と自分の利益が対立する状況にあるので、決して「顧客本位」だと安心できる相手ではない。

 筆者の思うに、FPなどのファイナンシャルアドバイスを業とする人も金融業者であり、FD宣言をするのか、しないのか、旗幟を鮮明にする必要がある(FD宣言の具体的な事例としては、例えばFPの岩城みずほ氏の「FD宣言」を参照されたい)。

 森長官が嘆くように、金融業の大宗が「顧客本位」でないことの大きな原因として売り手(金融業者)と買い手(顧客)の情報格差があり、これを埋めるための具体的対策として、金融機関から手数料収入を得ず、利益相反の面でクリーンなアドバイザーの活動をバックアップしていくことが重要だろう。

 金融庁にあって、まずは、利益相反の心配のないアドバイザーを顧客が識別できるようにするための施策を期待したい。

(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員 山崎 元)


 

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