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厄介な会議、数字、規則が大好きな“3バカ”。企業の活力をそぎ、経済全体に悪影響を及ぼす元凶だ(※写真はイメージ)
日本経済に悪影響!? あなたの隣にもいる職場の“3バカ”とは?〈週刊朝日〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170707-00000009-sasahi-soci
週刊朝日 2017年7月14日号
忙しいときに話しかけてくる。上司にゴマすりばかり。「俺は聞いていない」と責任逃れ……仕事の負担を増やし、やる気をそぐいろんな“バカ”が職場にいる。中でも厄介なのが会議、数字、規則が大好きな“3バカ”。企業の活力をそぎ、経済全体に悪影響を及ぼす元凶だ。
都内のとある食品会社。突然、小太りで50代の企画部長がバタバタとオフィスに戻ってきた。自分の椅子にかばんを置くや否や、号令をかけた。
「会議やるぞ! 会議」
どうやら取引先との会話で何か思いついたようだ。午後2時の最も忙しい時間帯なのに、仕事の状況はお構いなし。またかと思いながら、約10人がぞろぞろと集まる。企画部長は、
「会員限定のメルマガを配信しようか。お客様を招いたイベントも開こう」
ホワイトボードに商品のアピール案を書くが、目新しくもなく、具体的にまとまっているわけでもない。
「我々の目の前で、自分の頭の中の思いつきを整理しているだけなんです」
部下の一人はあきれた様子で話す。
「一方的に話を展開するだけ。たまに『君はどう思う』と話を振るが、イエスマンにしか聞かないので、返事はいつも『いいと思います』。1時間で終わればいいほうで、長いときは数時間にも及ぶ。みんなで考えた方針という形だけを整えようとしている。仕事が滞り本当に迷惑です」
会議で存在感を示し自己満足に浸る。これが会議好きバカの特徴だ。
大手メーカーに勤める30代前半の男性は、生産管理の部署にいる。出世頭で30代後半のリーダー格の男性は、情報の共有をしようと、30人近いメンバーをよく集める。事前に求められるのが、こと細かな資料の作成。それをもとに担当者ごとに報告していくが、ほかのメンバーは黙って話を聞いているだけ。
「情報の共有は大切だけど、忙しいときは責任者だけでやればいい。メールでもできるので非効率。『リーダーは本当に会議好きだな』って皮肉られています」
心理学者で職場の人間関係に詳しい榎本博明さん(61)は、こうした人は「自分に自信がない人が多い」と分析する。会議を口実に自分の権威を守りつつ、責任を回避しようとしているという。活発な意見交換ができれば会議も有効だが、「会議のための会議」になっていては時間の無駄だ。
数字好きバカも目立つ。人材育成や組織改革を手がけるAPIコンサルタンツの小山純吾コンサルティング部門長は、あいまいさや恣意(しい)性を排除するのに数字は有効だという。一方で、数字だけをやたらと要求する人は問題だと指摘する。
大手IT企業の若手女性社員は、上司から「細かいことを聞かれてうんざり」とため息をつく。3カ月ごとに売り上げ実績や今後の見込みなどを報告するが、たびたびこう聞かれる。
「相手先の製品の納得度はどのくらい? 契約できる可能性は何%なの」
数字ではっきりと示すのは難しいのに、上司は納得してくれない。上役に報告するため、とにかくデータを集めているのだという。
女性社員はこう話す。
「数字を断定した報告を作るのが大変。根拠もいるのでいろいろこじつけますが、本音は自分でも『わからねーよ』って感じ。報告がわずらわしくて、営業に力を振り向けられない」
この上司は数字が持つ意味や背景を、あまり考慮していないように見える。たとえば売り上げ減は、競争力低下などさまざまな要因があり得るため、原因を分析して対策をとらないといけない。数字好きバカには、データを集めるだけで満足し、その先は他人任せのことがよくある。
高橋公介さん(仮名)は携帯販売会社の代理店のリーダー格。各店ごとの売り上げ目標額が、本社からメールで送られてくる。
「目標は前年度比30%増」
前年度は若者から高齢者まで幅広く販売することで、なんとか前年度比15%増を達成した。その水準からさらに30%増は、どう考えてもできそうにない。
「経営トップは数字でしか部下を評価しないことで有名。達成できなければ、激しく叱責(しっせき)する。中間管理職は必死になり、代理店が追い込まれる」(高橋さん)
売り上げを伸ばそうとあの手この手で契約しようとして、かえって顧客が離れたという。トップが非現実的な数値にこだわれば、末端にしわ寄せがくる。
規則やルールを守ることにうるさい今の社会で、増殖しているバカもいる。公正な業務のために規則は大事だが、仕事の効率を大きく低下させる危険性がある。
東京のコンサルティング会社で働く中堅の男性は、最近大阪に出張する際に驚いた。旅費規定では宿泊費の上限は1万円。超える場合は、ほかの手頃なホテルが予約できなかった理由に加え、選べる範囲で最安値であることを証明しないといけない。
それだけでも面倒だが、以前はインターネットの宿泊予約サイトの検索結果を出して、最安値を証明すればよかった。ところが管理部門に規則にうるさい責任者が着任。証明手続きにこだわり、複数のサイトの検索結果を印刷して、申請しなければならなくなった。
ホテルの宿泊費は需要に応じて、日々変わる。予約時に最安値でも、その後でほかがより安くなることもある。管理部門は申請内容をネットで細かくチェック。値段が異なるたびに、担当者から事実確認の連絡があるのだという。
「申請する前も後も手間がかかり、本来の仕事に差し障る。責任者に『こんな申請も確認も無駄じゃないか』と意見したことがありましたが、『これは規則だ』の一点張り。議論になりませんでした」
マニュアルや決まり事を盾に、柔軟に対応できないのもよくあるケース。
大学職員の岡崎義弘さん(仮名)はこんな体験をした。3月下旬に構内の広い部屋で、大学の運営側と職員の会合があった。理事長は職員を前にこう訴えた。
「18歳人口が減少し、大学は大変な時期。新しい風を吹き込みたい。どんなことでもいいので、遠慮なく意見を出して」
この言葉もあって、職員からは、「この部屋も飲食を可能にして、交流の場として活用したらどうか」といった提案が出た。
すると、司会役の役員が理事長を差し置いて突然発言した。
「規則なんだから、そんなこと許されるわけはないだろう」
いきなりの否定に職員たちは唖然(あぜん)として、理事長もあっけにとられていた。
「その役員は以前から規則に厳しく、融通が利かないことで知られていた。あのタイミングで規則を持ち出すのは、しゃくし定規にもほどがある」(岡崎さん)
その後は発言しにくくなり、そのまま散会となったという。
会議、数字、規則が大好きな3バカ以外にも、困った人がいる。
まず、職場の雰囲気を悪くするヘイトスピーカー。先に帰った部下に対して、いなくなってから「帰るのだけは早い」などと批判。会議で意見した人にも、「あいつは何もわかっていない」などと陰口を言う。悪気はなくても、聞いた人は嫌な気にさせられる。
こうした事例をまとめたのが「ほかにもいるこんな“バカ”」の表。いろんなケースがあるが、自分が該当していないかどうかも、チェックしてみるといい。
【ほかにもいるこんな“バカ”】
おしゃべり…急ぎの仕事のときに話しかけてくる。無視するわけにもいかず迷惑
イエスマン…上司には調子よくゴマをする。周囲はあきれても上司からは高評価
かわい子ちゃん…仕事を振っても「えー、わからないー」と甘い声。注意すると泣きだすタイプも
前例踏襲…自分の判断力に自信がないため前例頼りに。責任回避の手段
手柄横取り…人の手柄を平気で横取り。部下の成果をあたかも自分のことのように報告する上司も
使い分け…相手の立場によって露骨に態度を変える。上司がいないところでは悪口ばかりも
グローバル風…何かと横文字やカタカナ語を使う。薄っぺらいのに本人はかっこいいと思っている
根性論…頑張ってもうまくいかないことはあるのに、部下にはハッパをかけるだけの上司
自己アピール…有能さを必要以上にアピール。自分が仕事ができないということすらわかっていない
キャリアデザイン…先の読めない時代なのに、自分のキャリアに将来役立つかどうかで仕事を判断
輝きたい…目立つことばかり考え、いまの仕事に不満を持つ。転職を繰り返して本人も迷路にはまる
評価不安…地道な努力をせずに、評価されるのに有利なうわべだけのテクニックを磨く
イベント命…仕事中はだるそうなのに、飲み会やスポーツ大会だけはやる気がみなぎる
残業好き…残業代で小遣い稼ぎ。集中して働かず、だらだらと時間稼ぎをしてくつろぐ
ハラスメント…ハラスメントに困っている人を助けるふりをして、わがままを通そうとする。組織が翻弄されることも
自慢話…何かにつけ武勇伝を語る。最近は若手にもやたら自慢をする人が増殖中
コンプライアンス…法令遵守を口実に新たな試みをつぶす。失敗防止を重視するので、みんなやる気をなくす
オレは聞いていない…指示していたのに、問題が生じると責任逃れ。どんな情報でも知らないと気がすまない
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