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ぐっちーさん/1960年東京生まれ。モルガン・スタンレーなどを経て、投資会社でM&Aなどを手がける。本連載を加筆・再構成した『ぐっちーさんの政府も日銀も知らない経済復活の条件』が発売中
ぐっちー「『上場企業2割の大株主は日銀』無視できない問題」〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170706-00000059-sasahi-bus_all
AERA 2017年7月10日号
経済専門家のぐっちーさんが「AERA」で連載する「ここだけの話」をお届けします。モルガン・スタンレーなどを経て、現在は投資会社でM&Aなどを手がけるぐっちーさんが、日々の経済ニュースを鋭く分析します。
* * *
未曽有の金融緩和を続ける日本銀行。日本政府が発行する国債を買い続け、その残高はすでに発行総額の40%にも達しようとしています。さらに中央銀行ともあろうものが、民間企業の株式を買いまくっており、日本経済新聞社の独自推計では、上場企業3675社のうち、日銀がいわゆる「大株主」(多い方から10位以内の株主)になっている企業はなんと833社!! にも達するのをご存じでしたか?
通貨の番人たる中央銀行が、株式なんぞを買いまくること自体極めて疑問なんですが、これを資本主義と呼んでいいんでしょうか。手元に詳しい統計はありませんが、中国の国有企業でさえ、政府の持ち株比率は大分減ってきています。社会主義は一体どっちなんでしょう?
要するに日本株式会社になっているということで、まあ、あれだけの粉飾決算をやった東芝でさえ潰れないのが日本。こうなるとクレジット・デフォルト・スワップ(CDS、企業の倒産に備える保険の一種)などは、日本ではいくらでも発行可能ということになります。結局潰れない……とみんなで信じて投資している世界だと言ってもいいわけですね。ちなみに日経のデータによると、日銀が大株主の企業トップ10は以下の通りです。
1.アドバンテスト(16.6%)
2.ファーストリテイリング(15%)
3.太陽誘電(14.1%)
4.TDK(13.5%)
5.ユニー・ファミリーマートHD(13.4%)
6.東邦亜鉛(12.9%)
7.トレンドマイクロ(12.4%)
8.コムシスHD(12.1%)
9.コナミHD(11.8%)
10.日産化学工業(11.5%)
ごくごく普通のポートフォリオ理論からいえば、これはひどい保有状況。投資ストラテジーも意味不明で、銘柄分散もくそもない。どういう戦略でこれまでやってきたのか、一度ちゃんと国会で取り上げたほうがいいように思われます。これを見て、「ユニクロ、潰れたらどーするんだよ」と思うのは普通だと思います。ユニクロがいい悪いではなく、ここに至るまでいかなるプロセスで投資を決定したのか? 民間企業では当たり前に問われることが、中央銀行においてブラックボックスのままで実行されてきたのは極めて重大な問題と言っていいでしょう。最終的に一体誰が責任をとるつもりなんでしょうか。無視できない問題です。
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