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おばた・しゅういち●神戸商科大学経済学部 修士課程修了。1997年野村総合研究所入社。その後、野村証券金融経済研究所などを経て現職。
生産性の向上で、日経平均は3年後に2万5000円も
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170708-00179357-shikiho-biz
会社四季報オンライン 7/8(土) 9:01配信
さまざまな不確定要因が浮上している中で、日経平均の中期動向をどう見ているのか。7月から全国の支店などで行われている個人投資家向けサマーセミナーの内容を踏まえ、野村證券の尾畑秀一マーケット・エコノミストに聞いた。
――足元の相場状況をどう見ていますか?
日経平均は30年移動平均を超え、6月に2万円台を回復した。日本企業の稼ぐ力が上がってきており、PER(株価収益率)で見ても割高感が出ている状況ではない。
もう一つの大きな変化は、米国の10年債利回りの動向だ。去年6月に1.3%まで下落してから、足元では2%台の横ばい圏で推移している。
かつては世界景気の先行指標として注目を集めたこの数値は、1980年から一進一退はあるものの下落基調にあった。この長期金利の低下トレンドが終わったのか、一時的な世界の景気の持ち直しで横ばい圏に入ったにすぎないのか。不確実要素が多いため現時点で判断することは難しいが、相場の雰囲気が変わってきていることは確かだ。
――不確実要素とは?
一つは米国のトランプ大統領をめぐる疑惑の問題。ただ、過去に弾劾が成立して罷免された大統領は一人もいない。唯一、辞任したのはウォーターゲート事件の際のニクソン元大統領だけだ。当時、株価は下落したものの、変動相場制への以降や第一次オイルショックなど、様々なイベントが重なっていたため、大統領の辞任がどれだけマーケットにインパクトがあったかははっきりしない。
万が一、トランプ大統領が辞めた場合、減税や規制緩和への期待が後退するというネガティブな要因が考えられる。しかし、米国の場合は選挙のやり直しということはなく、残りの期間はペンス副大統領が代替する。空白期間はないため、相場の大きな転換材料になる可能性は少ないのではないか。
ほかの不確実要因は、欧州中央銀行(ECB)の量的緩和縮小や、ドイツ、イタリアの選挙など欧州情勢だ。量的緩和については、13年に米国のテーパー・タントラム(緩和縮小の示唆による市場の動揺)があったように、影響が注目される。
9月に予定されているドイツの総選挙は、いまのところ与党であるキリスト教民主同盟(CDU)の勝利が予想されているため、大きな変化はなさそうだ。しかし、選挙日程が決まっていないためマーケットも織り込んではいないものの、イタリアでは新興野党である「五つ星運動」が支持率を伸ばしており、選挙結果によってはEU離脱の是非を問う国民投票なども浮上する可能性がある。
そして、北朝鮮をめぐる地政学リスクもある。円は安全資産とされ、有事には円高となることが多いとはいえ、万が一北朝鮮での軍事衝突などがあれば、日本株安と円安が同時で進行する可能性もある。
これ以外にも、ブラジルではテメル大統領が汚職の疑惑で起訴されている。来年以降には任期が終わるFRBのイエレン議長や日銀の黒田東彦総裁の交代も予定されている。
大切なのは、これらのイベントが起きた場合にどのような影響が出るのか、見るべきポイントはどこかを事前に準備しておくことだ。(図表参照)金融政策や選挙など日程のわかっているものはイベントが近づくにつれて売られ、イベントの発生日に大きく売られてその後にリバウンドするということも十分考えられる。
一時的に大きく下げたタイミングは、絶好の買い場となることもある。リスクヘッジをしつつ、大きく下げたタイミングでは慌てて損切るのではなく、買い場を探すことも大切だろう。
――世界景気には持ち直し感も出てきています。
先進国では失業率が歴史的な低水準まで下がり、労働需給は逼迫している。しかし、なぜか賃金上昇が伴っていない。理由はいろいろあるものの、マクロから見ると一人当たりの生産性が上がらないことが賃金上昇を抑えている。
IT化や省力化投資で生産性は上がっていると思われがちだが、就業者一人当たりの研究開発・ソフトウエア関連の投資は足元で伸び悩んでいる状況がある。次の技術に向けた過渡期になっていて、投資が本格化していないという状況にあるのではないか。
■ 設備投資が出るかがポイント
グローバルに見ると、景気の大きな転換点を見極めるには、設備投資が出てくるかどうかが一つのポイントとなってくるだろう。米国ではトランプ大統領の掲げる財政出動がどれくらい増えてくるかで、景気のシナリオが分岐していくのではないか。
日本に関しては、財政出動に対する期待はそれほど大きくないため、設備投資が増えてくるかどうか、それが賃金上昇につながるかでシナリオが分かれてくる。政府が掲げる働き方改革の後押しもあり、省力化投資を中心に設備投資が増えてくるだろう。
しかし、省力化投資では賃金上昇には繋がりにくい。その場合、物価はデフレに戻る懸念は少ないとはいえ、2%のインフレターゲットを達成するほどには上がってこないだろう。日銀の金融緩和は続き、足元のような金融相場とも業績相場ともつかない適温経済の相場が続くのではないかというのが、われわれのメインシナリオだ。
――リスクシナリオとしては?
確率としては5%くらいだと思うが、悪いシナリオとしては、設備投資が増えない一方で、人手不足で賃金だけ上昇し労働コストだけ重くなるというケースがありえる。そうなると景気低迷下でのインフレということになり、スタフグレーションになって金融引き締めをしなくてはいけない。悪い円安と株安ということになりかねない。
もう少し起こり得るシナリオとしては、設備投資が増えず、賃上げもないケース。その場合は、経済活動がスローダウンしてデフレに逆戻りしてしまう。
日銀は追加の金融緩和を求められるが、すでにマイナス金利まで導入して緩和の余地が少ない。緩和の効果もなく、悪い円高と株安になってしまうというリスクだ。これも確率としては10%くらいだと考えている。
一方で、より良いシナリオも考えられる。生産性の向上につながる設備投資が行われ、一人当たりの売上収益が伸びて賃金も安定的に上昇、適度なインフレとなって金融政策も正常化に向かうというものだ。
――メインシナリオの場合の日経平均の見通しは?
1年後に2万0500円、2年後に2万3170円、3年後には2万5000円を超えてくる見通しだ。企業収益は堅調に推移し、EPS(1株利益)の平均成長率が9.6%、PERは15倍という前提で算出している。なお、この見通しでは19年10月の消費増税は先送りされることを想定している。米国の利上げペースが慎重なものになり、ドル円相場はおおむね横ばいという前提だ。
――その場合の銘柄選びのポイントは?
メインシナリオのケースでは、「価格転嫁力」と、「IT投資による効率化」、「内需・生産性向上」をポイントとして挙げている。まず、コストが上がってきた際に、企業の成長力の源泉として技術力、管理能力による価格転嫁力があるかどうかが重要になってくる。関連銘柄としては、花王(4452)やトヨタ自動車(7203)、ヤマトホールディングス(9064)が挙げられる。
また、労働人口の減少により効率化を目指したIT投資は続く。SMC(6273)、キーエンス(6861)、ファナック(6954)などには追い風だろう。そのほか、内需、生産性向上の関連銘柄としては、野村総合研究所(4307)、富士通(6702)、NTTデータ(9613)、セコム(9735)などがある。
個人投資家向けに行うサマーセミナーでは、「金融ジェロントロジー(老年学)」という考え方も紹介する。これは寿命が延びていく中で、「長生きのリスク」に備えて、健康寿命に加えて資産寿命をいかに延ばすかということ。金融資産が定年までにいくら必要なのか、生活費やライフイベントの支出として何が考えられるのか、その前提でどの程度の運用をしなくてはいけないかなどをシミュレーションする。ライフプランをきちんと設計して備えれば、資産寿命を延ばしていくことができるというのが、われわれの提案だ。
(聞き手:会社四季報オンライン編集部 島 大輔)
※当記事は、証券投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。
島 大輔
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