★阿修羅♪ > 経世済民122 > 410.html
 ★阿修羅♪  
▲コメTop ▼コメBtm 次へ 前へ
三菱自動車は“ムラ”から脱却できるか〈AERA〉
http://www.asyura2.com/17/hasan122/msg/410.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 6 月 30 日 13:05:29: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

23日に開催された株主総会で、ゴーン会長は「業績のV字回復が始まった」とした。最終損益が1985億円の赤字だった2017年3月期に対して、今期は680億円の黒字を見込んでいる(編集部・長倉克枝)


三菱自動車は“ムラ”から脱却できるか〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170628-00000039-sasahi-bus_all
AERA 2017年7月3日


 地に落ちたイメージを回復させて、業績も上向かせる……。これまで、多くの企業が直面し、その実現に腐心してきた。これは、個人の場合でも同じこと。落ち込んだ底が深ければ深いほど、復活には時間がかかる。AERA 2017年7月3日号では、「どん底からの脱出」と銘打ち、見事V字回復した企業を大特集。そのとき企業は、個人は、何を考え、どう振る舞うべきなのか。当事者たちの話を聞いた。

「V字回復と、その先にある持続的回復に向けて、確かな手ごたえを感じている」。23日、東京都港区で開催された株主総会で、三菱自動車の益子修社長兼最高経営責任者(CEO)はこう強調した。

*  *  *
 先月中旬、「アウトランダー」などを生産する三菱自動車の主力生産・開発拠点である岡崎製作所(愛知県岡崎市)を、カルロス・ゴーン会長が初めて視察に訪れた。

 パーテーションの代わりに、白木のすだれのような間仕切りが天井から下がる、明るい一室。正面のディスプレーを取り囲むようにして、赤や黒の椅子がランダムに並び、作業着を着た社員ら十数人が集まっている。

「私たちの部のパフォーマンスを上げる取り組みをご紹介します」

 ディスプレーの前に立った中堅の男性社員が、少し緊張した面持ちで説明を始めた。その数メートル先、最前列の中央に座るのは、ゴーン会長だ。隣の女性が逐次、通訳をして伝える。

「そうですね、素晴らしい取り組みです」

●変革とは成長すること

 社員が発表を終えるとゴーン会長はそう言い、一息つくと厳しい表情で、

「だが、会社の変革には具体的なビジョンが必要です。それが、世界目標販売台数125万台という数字。変革とは成長することなのです」

 と、檄を飛ばした。

 この場では、若手からベテランまで、数組の改革チームの代表が、組織改革の進捗についてゴーン会長に報告をした。使い慣れない英語で発表する社員から、日本語で発表する社員も。内容も、マネジメント方針の改革からトイレの改築までさまざまだった。この部屋も、「改革」のひとつとして改装して作られたという。

 その後ホールに数百人の社員を集めて開かれた「タウンミーティング」でも、ゴーン会長が一貫して強調したのが、「成長」だった。

「再び成長軌道に乗せる。三菱自はまだまだ、もっともっと成長できるんです」

 と繰り返し訴えた。

「成長」。ここ10年以上、三菱自で見られなかった単語かもしれない。同社では2000年以降、リコール隠しなどの問題が相次いで発生した。00年代、同社の世界販売台数は漸減し、09年3月期以降は100万台前後にとどまっていた。

 そこに昨年4月、自動車の燃費試験での不正問題が発覚した。それも、発端は、11年に軽自動車の合弁会社をつくった日産からの指摘だった。問題発覚を受け、昨年の世界販売台数は1割以上落ち込んだ。売上高は大きく減少した。

 昨年10月、日産は三菱自に34%出資し三菱自は実質ルノー・日産の傘下に入り、3社によるアライアンス(提携)に加わった。それに伴い、ゴーン氏は12月に三菱自の会長に就任、今年4月に日産の社長を退任すると、再建に向けて3社の会長職に専念することとなった。

●野心的な数字

 燃費不正問題に対してはこれまで、役員によるチェック体制や開発プロセスの見直し、危機管理体制の構築といった31の再発防止策を講じ、実施してきた。特に開発部門では明確な目標設定やコミュニケーションを取りやすくするための組織改編などを進めてきた。「再発防止と社内の意識改革を経営の最優先課題と意識している」と益子社長は説明する。賠償金として、1661億円の特別損失を計上し、「すでにほぼ支払い終えた」(同社広報部)という。

 そんな中、先月発表した新中期経営計画には、20年3月期の世界販売台数を125万台にするとの目標が盛り込まれた。不正問題発覚前の台数を25%上回る野心的な数字だ。ここにきて、いよいよ、攻勢に転じるというわけだ。成長路線へと大きく舵を切ったのにはわけがある。

●健全な財務状況

「本来、企業の変革マネジメントのプロセスでもっとも重要なのは、いかに社員の危機感を醸成できるか、ということです」

 と、『カルロス・ゴーンの経営論』(日本経済新聞出版社)などの編著がある早稲田大学ビジネススクールの池上重輔教授は言う。

「ところが、燃費不正問題を受けてもなお、三菱自は改革に向けた危機感を感じにくい状況にあるのです」

 と、続ける。

 ひとつは、健全な財務状況だ。自己資本比率は約46%と高い。販売台数が横ばいとはいえ、燃費不正問題発覚前の数年は売り上げも安定し、営業利益率も6%程度と堅調だった。

 投資ファンドで企業再生を手がける公認会計士の男性は言う。

「三菱自は自己資本比率も高く、結構健全な状態。一時的な赤字であれば、社員には危機感はないでしょう」

 さらに池上教授は言う。

「燃費不正問題といったこれまでの不祥事は、そうはいっても三菱という『ムラ』を守るために仕方がなかったという認識が、社内外にあるのではないでしょうか」

●巨大IT企業との戦い

 こうした危機感を感じにくい状況は、日産が連続赤字に陥り、1999年にゴーン氏が再建を始めた時よりも、不利に働く可能性があるという。そこで、三菱自はこれまでとってきた、販売台数の規模を抑え健全な経営を進めるという「安全運転」路線から、規模を拡大していく「成長」路線へと戦略を大きく変えるという策に出た。

「今後、世界の自動車企業は、アップルやグーグルといった巨大IT企業と戦うことになるでしょう。自律化やコネクテッド(自動車間の通信)といった今後の自動車産業のカギとなる技術は、IT企業に強みがある。彼らは買おうと思えばいつでも自動車会社を買えるんです」(池上教授)

 自動車企業の生き残り策の一つは、買収されないように、いかに規模を拡大できるかにかかっているという。

「三菱自は、いずれにしてもどこかと組まざるを得ない状況でした。そこで、ルノー・日産アライアンスの一員となることで、『勝ちに行ける』という状況が生まれたのです」(同)

 これまで三菱グループの一員として「ムラ」の論理を重視してきたといわれる三菱自。成長し勝ちに行くためには外へと目を向ける必要がある。そのひとつが、ルノー・日産とのアライアンスだ。ゴーン会長はこう強調する。

「目標のひとつは、アライアンスに組織横断的なつながりを持たせることだ。まだまだほど遠いが、双方向コミュニケーションをやらないといけない」

 23日に開かれた株主総会では、ゴーン会長はこう強調した。

「現在の当社の状況は1年前の株主総会時と比べてはるかによくなった。今では1年前の三菱自ではありません」

 V字回復の成否は、「ムラ」から脱却する社員それぞれの意識改革にかかっていそうだ。(編集部・長倉克枝)

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る

コメント
 
1. 2017年7月02日 17:45:59 : nCB5BtahRA : nmmh8zhEt1E[166]
巨大企業グループとしての三菱グループだが、これまでは三菱金曜会加盟企業として一致結束して行動してきた。「組織の三菱」「鉄の結束」と言われる所以(ゆえん)だ。しかし21世紀に入り、強固な結束から緩やかな結合体に変貌する過程にあると言えよう。

三菱自動車工業はダイムラーと提携したものの、そのダイムラーと三菱グループが対立し、三菱自動車工業はグループが買い戻すことになった。その際に三菱自動車工業のトラック・バス部門は、三菱ふそうトラックバスとしてダイムラーの傘下に入った。三菱のマークは、看板として使用されているが、事実上ダイムラーの別ブランドになっている。

●最近、三菱重工の航空機部門である三菱航空機が、MRJの開発の遅れから債務超過になったと報じられた。この三菱航空機も、早急な経営変革が求められる。

同じく、三菱重工の原子力部門も深刻な問題を抱えており、福島第一原発破局事故で原子力発電の未来は100%ないことが誰の目にも明らかになった。撤退しないと本体が壊滅する。原発部門処分から避けて通れないと、当方は断言する。

●三菱自動車に話を戻すと、同社は現在でもルノーのライバルであるPSAプジョー・シトロエングループと協業を続けている。これは継続すべし。ゴーンの宿敵と手を組んでいることは、三菱自動車の独自性を保つ上で重要だと言える。三菱自動車は、元々名古屋中心のメーカーだ。かつては自動車の方向性も、同じ名古屋のトヨタ流に近かった。系列の部品メーカーも一部、共通であった。

PSAプジョー・シトロエンも、全て統一している訳ではない。単にバッジ違いの自動車に成り果てたら、そのブランドは衰退、消滅する。かつてのイギリスのBLMCも、アメリカのGMも多くのブランドを失ってしまった。その失敗を繰り返さないためにも、ルノーのライバルたるPSAプジョー・シトロエンとのパイプを持っておくことは重要である。ゴーンは気に入らないだろうが。


  拍手はせず、拍手一覧を見る

フォローアップ:


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法

▲上へ      ★阿修羅♪ > 経世済民122掲示板 次へ  前へ

★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/ since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
 
▲上へ       
★阿修羅♪  
経世済民122掲示板  
次へ