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三菱重など3社と米P&W、エンジン共同開発で合意
2030年めど、小型機向け
【ルブルジェ(パリ郊外)=市原朋大】米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)と、三菱重工業など日本の重工3社が次世代航空機用エンジンの共同開発で合意したことが22日明らかになった。総額1000億円超の開発費を投じ、2030年代に商用化する小型機に搭載する。航空機開発では中国の存在感が増している。日米各社は連合を組み、心臓部であるエンジン開発で主導権を死守する。
パリ国際航空ショーではボーイング、エアバスが受注競争を繰り広げた
P&Wと日本航空機エンジン協会が共同開発のための覚書(MOU)を締結した。日本メーカーでは同協会メンバーの三菱重工のほかIHIと川崎重工業が参画する。日米連合を組み、燃費を1割程度改善できる小型機向けの新エンジンを開発する。次世代航空機は高い燃費性能や温暖化ガスの排出削減が強く求められるのが確実だ。
日本の3社は低圧タービンや燃焼機、減速ギア、ファンなどのエンジン部品を得意とする。特にエンジン部品の軽量化につながる炭素繊維プラスチック(CFRP)やセラミック複合材(CMC)の加工技術に優れるとされる。新エンジンはこうした技術を組み合わせて開発する方針だ。3Dプリンターを採用するなどして生産コストも低減できるよう設計段階から工夫する。
今後3社の役割分担を決め、貢献度に応じて売上高とコストを分け合うリスク・レベニュー・シェアリング・パートナー方式で開発する。エンジンは開発費が巨額となる一方で、いったん受注すれば保守や補修用部品の供給で長期間の投資回収ができるメリットがある。
当地のルブルジェ空港で開かれているパリ国際航空ショーは22日、商談の最終日を迎えた。展示会場では「燃費では誰にも負けない」と大書きしたエアバス機が人目を引くなど、燃費競争と軽量化の行方が最大の焦点となっている。
エアバスのファブリス・ブレジエ最高執行責任者(COO)は同日記者会見し、「多くの受注をいただき有意義なショーだった」と表情を緩めた。格安航空会社(LCC)大手エアアジアからの追加受注が最終日に飛び込んできたという。
米ボーイングとエアバスの17年〜36年の市場調査によると、向こう20年間で必要とされる新造航空機は4万機前後と空前の規模に達する。累計1万3000件の受注を獲得しているエアバスのヒット機「A320」シリーズは注文が相次いでいるのに対し、超大型機の「A380」はゼロ。航空機市場は小型機へのシフトが続いている。
一方、世界の航空機市場では中国メーカーの存在感が日増しに強まっている。エアバスやボーイングは中国国内に相次いで内装や塗装の最終仕上げ拠点を設けた。今後の機体開発では中国メーカーの参画が確実視されている。
中国の猛追に危機感 日米連合で主導権維持
中国の航空機産業はここ数年、目覚ましい進歩を遂げている。国有企業の中国商用飛行機はリージョナルジェットの「ARJ21」の商用化成功に続き、5月には中型ジェット機「C919」の初飛行も果たしている。巨大市場を土台とする旺盛な国内需要に後押しされ、将来は完成機で世界の2強に割って入る勢いだ。
エアバス、ボーイングの市場予測では中国市場の伸びが目立つ。エアバスによると、向こう20年間の新造機引き渡しの4割をアジア太平洋地域が占めるという。国策企業を政府がバックアップする方針も明確で、開発コストを収益でまかなう体制が整えば脅威となる。
「中国のサプライヤーの技術は向上している」(ボーイングのマレンバーグCEO)と欧米の2強が中国の航空機関連業界に秋波を送るのも、旺盛な需要の裏返しといえる。ただ機体開発と違い、航空機エンジンではこれまで日米欧の大手が協力して長期の収益モデルを築いてきた。金城湯池の死守に向け、日本の航空機産業が動き出す。
[日経新聞6月23日朝刊P.17]
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MRJ、受注見込めず
パリ航空ショー機体初公開も 延期再三、先行優位薄らぐ
【ルブルジェ(パリ郊外)=市原朋大、広瀬洋平】三菱航空機が開発する国産初のジェット旅客機「MRJ」が19日開幕したパリ国際航空ショーで機体を初めて公開した。例年なら同ショーで新規受注が発表されるが、今回は「難しい」と水谷久和社長は認めた。同型機に比べ燃費面で優位性があったMRJだが開発の遅れで競合メーカーが猛追しており、ほろ苦いデビューとなった。
「パリ国際航空ショー」で展示されるMRJの試験機(パリ近郊)=共同
恒例の儀式はなかった。世界の航空関係者が一堂に会する航空ショーでは通常、新規受注を報告する記者会見があちこちで開かれる。三菱航空機も昨年の英国でのショーではあった。今回は機体を初めて持ち込み、三菱重工業の宮永俊一社長も駆けつけたが、初日の受注報告はなかった。
ただ三菱重工や三菱航空機には焦りはない。さらなる遅延を見込んでのキャンセル含みの発注なら、真に受けない方が賢明という判断が三菱重工にはある。「重工内部では『受注なんか取らなくてよい』という指示も出ているようだ」とある関係者は明かす。
事業環境は厳しい。5度目の納入延期で初号機納入は2020年半ばにずれこみ、事業化を正式決定した9年前に標榜していた他に先んじる環境、燃費性能や納期の優位性は薄れている。
MRJが当初示した燃費の1〜2割の改善効果は、米プラット&ホイットニー(P&W)の新型エンジン採用が大きな要因だった。だがMRJのライバルであるボンバルディア(カナダ)やエンブラエル(ブラジル)にも搭載されることが決まり違いを出しにくい。
エンブラエルの同型機の市場投入は21年の予定だ。MRJの初号機納入は20年。優位は1年しかない。
その初号機を採用するANAホールディングスは計25機(オプション契約含む)を発注している。同社の篠辺修副会長は「MRJの成功を願っている」と現地で報道陣に話した。一方で、ANAHDはすでに米ボーイングから代替機の調達を決めるなど遅延リスクに保険をかけている。
MRJの受注は確定が約250機、キャンセル可能なオプション契約や購入権を含めると約450機を確保している。市場で一定のシェアを確保するために1千機の受注をめざしていたが、信頼が揺らいだ現状で大幅な上積みは見込めない。
度重なる遅延によって開発コストは当初見込んでいた2千億円からふくらみ、少なくとも最終的に3千億円は超えるもようだ。
三菱航空機は債務超過に陥っており、三菱重工がMRJ事業を宮永社長の直轄に置き再建を急いでいる。三菱重工は将来見通しの公表に慎重な企業だが、初号機納入時期の19年への前倒しを公言した。
ボンバルディアやエンブラエルといった競合だけでなく、中国メーカーも政府の支援を受けてジェット旅客機の開発に注力している。MRJ包囲網は日増しに強まっているのは間違いない。
[日経新聞6月20日朝刊P.11]
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