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米国の株価指数が高いパフォーマンスを見せる理由は
日米の株価指数のパフォーマンス格差はどこから生まれているのか?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170627-00000003-moneypost-bus_all
マネーポスト2017年夏号
外資系証券会社で莫大な利益を上げた伝説のトレーダーの世界ウォッチング。かつて米証券会社ソロモン・ブラザーズの高収益部門の一員として活躍した赤城盾氏が、日米の株価指数のパフォーマンス格差がどこから生じているのか、考察する。
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アメリカの株価は、昨年11月の大統領選挙の直後から急騰した。それは、ドナルド・トランプ新大統領が公約に掲げていた金融規制緩和、大幅減税、インフラ投資などの政策に対する期待の表われのようにも見え、トランプラリーと称された。
しかし、1月20日に発足したトランプ政権は、やっと5月4日になってオバマケアを縮小する法案が下院を通過するまで、公約実現に向けてほとんど何の成果も上げられなかった。
大統領の支持率は、ご祝儀気分に包まれるはずの就任直後としては異例の低水準をさまよっている。その間に、株価は下落するどころか、ナスダック指数が2000年のネットバブル以来の史上最高値を更新するラリーが続いたのである。
これは、いわゆるトランプラリーなるものが、単に良好な経済環境と好調な企業業績の賜物であったことを示すものといってよかろう。
ヒラリー・クリントンが当選していても、セクター選好や多少のタイミングの違いはあっても、株価は同じ程度上昇したのではなかろうか。
トランプは、大手メディアや官僚や古手の政治家などから成るワシントンに巣食う既得権益層の一掃を訴えた。かつて、我が国の民主党が、財務省が隠す埋蔵金を掘り出せば、増税も福祉の切り捨てもなしに財政を再建できると主張していたことを思い起こさせる。
両者ともに、エスタブリッシュメントを激しく攻撃して、大衆の支持を得ることに成功した。しかし、政権を取った後は、中央政府の膨大な業務の運営は、官僚機構に任せざるを得ない。日本の民主党政権は露骨な対決姿勢が災いして、その協力を得られなかった。トランプ政権に至っては、主要なポストがなかなか埋まらず、政府は機能不全の状態にある。
■東芝は生き残り、ウェスチングハウスは消滅した
政治の力では、日本やアメリカのように成熟した先進国の経済を一挙に好転させることは難しい。しかし、政治や社会のあり方が長期的に株価や経済に甚大な影響を及ぼすことも間違いないように思われる。
日経平均株価は、今から30年ほど前の1989年末に史上最高値の3万8915円で引けた。当時の米ダウ平均は2700ドル台、ナスダック指数は450ポイントほどである。
それから30年の間に、日経平均はほぼ半値になり、ダウ平均は8倍、ナスダック指数は10倍以上に上昇した。この目の眩むような日米の株価指数のパフォーマンスの格差は、どこから生まれているのだろうか。それは、構成銘柄の変化に依るところも大きい。
東芝を存亡の危機に追い込んだウェスチングハウスは、元を辿れば、19世紀末に発送電の事業化に成功し、世界初の原子力潜水艦と原子力空母に原子炉を納めた由緒ある名門企業の一部門である。
本体は、当然、ダウ平均の一角を占めていたが、リストラに苦しむ中、1997年に構成銘柄から除外され、1999年にはバイアコムに買収されて消滅した。
もし今も残っていたならば、相当にダウ平均の足を引っ張ったに違いない。一方、東芝は、あれだけの不祥事を重ねながら、東証1部上場の日経平均採用銘柄の座を維持している。
この2社の経緯は、日米の株価指数の差異を非常に象徴的に表わしている。さらに言えば、今ナスダック指数を牽引するアルファベット(グーグルの持株会社)、アマゾン、フェイスブックなどは30年前には存在もしていなかった。
日本は、やはり、アメリカに較べて優勝劣敗を好まない、古い企業が生き延びやすい「和をもって貴しとなす」国柄なのであろう。
もちろん日本にも、長期にわたって株価が上昇基調を保ち、最高値圏にある優良企業はいくつもある。しかし、平均を取れば、為替と世界景気に合わせて業績が上下する多くの企業の株価の動きに飲み込まれてしまうのだ
■トランプ政権の支持率低迷がナスダック高値更新の追い風に?
企業の栄枯盛衰は、必然的に多くの社員の雇用を不安定にする。アメリカの企業エリートは、キャリアアップのチャンスにも恵まれる代わりに、日本のように新卒で大企業に正規社員として採用された時点で一息つくことは許されない。
ハーバード大学の同窓会報では、母校に多額の寄付をした卒業生を称えているという。その一方で、寄付を怠っている者は「恥ずべき者ども」というレッテルが貼られる。卒業生の競争を煽り、成功者を増やさなければ、優秀な学生を集められない。アメリカでは、大学も厳しい競争の渦中にあるのだ。
そして、世界中から優秀な志願者が押し寄せるために、アメリカの一流大学に入る門は年を追うごとに狭くなる。それは、外国人との競争に負けて、親と同じレベルの大学に入れないアメリカ人の子どもが増え続けていることを意味する。
トランプの勝利は、そういう厳しいアメリカの競争社会に辟易して、こっそりと移民排斥に賛同したエリート層が相当数いたことを示しているのであろう。
驚くには当たらない。私たちは自覚に乏しいが、「移民を入れるな、国内に工場を造れ」というトランプの主張は、日本では支配的な論調ではないか。そういう国は、株価指数は振るわなくても、住むには快適かもしれないのだ。
トランプ政権は、今のところ、移民を制限する有効な政策を打ち出せていない。もし、彼が公約通りにアメリカの「日本化」に成功したら、アメリカの株価指数は長期的に低迷することになろう。
トランプ政権の支持率低迷は、案外、ナスダック指数の追い風なのではなかろうか。
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