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「総務省 HP」より
東京、ふるさと納税で深刻な税収減…税金「奪い合い」の道具化、本来の目的逸脱
http://biz-journal.jp/2017/06/post_19408.html
2017.06.12 文=小川裕夫/フリーランスライター Business Journal
ふるさと納税をしたことで、自治体から贈られてくる返礼品が年々豪華になっている。もともと、ふるさと納税は自分が愛着を抱く地方自治体に“寄付”をする制度だが、これらの“寄付”が税控除されるため、ふるさと納税が開始された当初から節税効果があると一部の人たちには一種の財テクとして利用されてきた。
ふるさと納税の開始初年度となる2008年、全国の自治体にふるさと納税された総額は約81億円、件数は約5万3000しかなかった。これを奨励するため、総務省は制度を改正。面倒な手続きを簡略化したことで、額・件数ともに爆発的に増加した。
とはいえ、その最大の要因は制度が簡略化したことではない。得られる返礼品が豪華になり、お得感が実感できるようになったからだ。今やふるさと納税のガイドブックは多数出版されており、テレビでも特集が組まれるようになった。驚くような豪華な返礼品を贈る自治体も珍しくなく、たとえば漁業が盛んな町村ではカニやホタテといった高級な海産物を、畜産業が盛んな町村では新鮮な牛肉や乳製品を納税額に応じて返礼品にしている。
返礼品を目当てにした納税者たちが爆発的に増えたこともあって、15年度のふるさと納税総額は約1652億円に達した。20倍にまで増加しているのだ。
地方の農山村が多額のふるさと納税を得た一方で、本来は納税される自治体に税金が落ちない。東京23区は、ふるさと納税によって129億円もの税金が奪われていると試算している。東京都や東京23区・市町村には返礼品として贈れるような豪華な名産品が少ない。それは東京都のみならず大阪や名古屋などにもいえる。
大都市圏の市町村からは不満の声が相次ぎ、そうした事態を重くみた総務省は、今年4月1日に各地方自治体に向けて返礼品を納税額の3割までに抑えるように通知した。総務省は地方自治体を所管する中央省庁。いわば、国から「豪華な返礼品で納税者を釣るのは、やめなさい」という勧告がなされたわけだが、総務省の通知には法的強制力はまったくない。あくまで“お願い”でしかないため、総務省からの通知を無視して豪華な返礼品を続ける自治体も少なくない。
■税の奪い合い
もともと、ふるさと納税を考案し、政府に働きかけて実現させたのは福井県の西川一誠県知事だといわれている。過激化する返礼品問題を危惧しながらも、西川知事はふるさと納税を振興するべく「ふるさと納税の健全な発展を目指す自治体連合」を5月16日に発足させた。同連合はその名の通り、ふるさと納税を振興・発展させようとする団体だ。しかし、そうした西川知事の思惑から大きく外れて、「ふるさとを振興させる」という趣旨から逸脱して暴走を始めている。ふるさと納税は、今や自治体間で税を奪い合う生存競争のアイテムへと変貌してしまった。現行のまま続ければ、自治体は疲弊するだけだ。
埼玉県所沢市は、そうしたチキンレースから降りることを宣言。しかし、多くの自治体はやめることができない。同連合に加盟している自治体の首長は言う。
「人口や財源の少ない地方自治体にとって、ふるさと納税は必要な制度。総務省が『返礼品は3割まで』という基準を示したが、そもそも『納税額の3割』というのは、何をベースにした話なのか。スーパーや百貨店でカニやマグロを買えば、中間流通業者を経ているから値段は高くなる。必然的に高級品ということになるかもしれない。しかし、地元の漁師や農家から直接買えば、安く仕入れることができる。私たちは、ふるさと納税の返礼品を地元の業者から買っている。市価ベースで考えれば豪華な返礼品に映るかもしれないが、地方には海産物・農産物が豊富にある。これらを返礼品として贈っても赤字にはならないし、だから“豪華”とされる返礼品をやめる気もない」
税収の少ない地方の過疎自治体にとって、ふるさと納税は死活問題。それだけに、総務省が「返礼品は納税額の3割まで」と通知してきても、そう簡単に「じゃあ、やめます」とは言えない事情がある。
総務省の通知を無視もしくは静観する地方自治体が増えることは、総務省の沽券にもかかわる。そのため、総務省は5月24日に再び豪華な返礼品をやめるように通知を出したが、その効果は限定的と思われる。仮に、一時的に豪華な返礼品を取りやめたとしても、ほとぼりが冷めた頃に再び豪華な返礼品が復活することは想像にかたくない。
総務省vs.豪華なふるさと納税の返礼品を贈る地方の過疎自治体の大戦争は、まだ始まったばかり。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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