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日本橋三越本店(撮影=編集部)
「人件費に潰される」三越伊勢丹が王者陥落…社員半数が管理職の異常体質、前社長を完全否定
http://biz-journal.jp/2017/06/post_19407.html
2017.06.12 文=編集部 Business Journal
三越伊勢丹ホールディングス(HD)の杉江俊彦社長は5月10日の決算会見で、人員削減のため早期退職制度の割増退職金を積み増す方針を明らかにした。秋までに積み増し額などの詳細を詰め、2018年3月末に実施する。杉江氏は業績不振の理由を「他社と比べて高い人件費が大きな課題だ」と説明した。
杉江氏は4月1日、業績不振の責任を取って引責辞任した大西洋氏の後任として社長に就任した。新社長がまず取り組むのは、“周回遅れ”と揶揄される不採算店舗の縮小と人件費の圧縮だ。
三越伊勢丹HDの18年3月期の連結純利益は前期比33%減の100億円の見通しだが、売上高販売管理費率は28%と0.7ポイント増える。
問題は販管費の3分の1を占める人件費だ。人件費は1200億円の見込みで、不採算店を閉鎖しているにもかかわらず、17年3月期の1180億円から1.7%増える。人件費の抑制が大きな課題になっているのに、具体的な道筋が見えてこない。
傘下の事業会社、三越伊勢丹は社員5400人の半数近くを管理職が占めている。ともに歴史のある、三越と伊勢丹が経営統合した経緯もあって、役職が多層に重なる組織になってしまっている。
三越伊勢丹は労組の力が強い。大西前社長が3月末、突然、辞任に追い込まれたのは、労組との関係が悪化したことが一因だ。
杉江氏が人件費削減にどう切り込むのか注目されたが、「リストラ、肩たたきはしない」と言明し、早期退職制度の退職金の積み増しにとどめるという。指名解雇などの荒療治はせず、多すぎる管理職に「割増金を払うので辞めてください」というマイルドな方策で、本当に効果が上がるのか疑問視する向きも多い。
「『2度とリストラをしない』と約束して大リストラを断行するのが人件費削減の鉄則です。小出しにダラダラと人減らしするのは、『次は自分の番か』と社員の不安をかきたてるだけで、さほど効果はないでしょう。三越伊勢丹は人件費削減に長期戦で挑むようですが、上策とは思えません」(外資系の人事コンサルタント)
三越伊勢丹HDの決算発表を受けた翌5月11日の株価は2営業日連続で8%安となり、1060円で取引を終えた。ちなみに、その後の安値は5月17日の1055円。構造改革への踏み込み不足が失望売りを誘った。5月11日の終値ベースでの時価総額は4189億円。三越伊勢丹の時価総額は08年4月の経営統合以来、ずっと業界首位を守ってきたが、初めてJ.フロント リテイリング(4362億円)に逆転された。「百貨店の盟主」を自負する三越伊勢丹HDにとっては屈辱の日となった。
■中期経営計画見直し、営業利益500億円の目標を取り下げ
5月31日付日本経済新聞は、三越伊勢丹HDが「現行の中期経営計画を見直し、連結営業利益で早期に500億円(2017年3月期は239億円)を達成する目標を取り下げ、11月にも新たな中計を発表する」と伝えた。
新社長のもとで中期経営計画をつくること自体に驚きはない。杉江氏は5月10日の決算会見で、17年3月期を最終年度としていた3カ年中期経営計画の数値目標が未達となったことについて、「量的目標だけが先行して拙速だった。社内で200にも及ぶ新規プロジェクトを次々にやり、本業(の売ること)がおろそかになった。ビジネスモデルができていないのに多店舗化を進め、採算が取れていなかった。構造改革が後回しになる状況だった」と述べている。大西体制に対する冷ややかな批判である。
同社は18年3月期を戦略転換の年と位置付け、負の遺産の整理を行う。17年度(18年3月期)から18年度は徹底した構造改革を実施し、不採算事業はこの2年で見切りをつける。18年度には成長に向けた投資を再開し、19年度以降に新たな成長の実現を図るとしている。
旗艦店がある東京・新宿や日本橋に優良な土地・建物を抱えているが、百貨店の王道を進むとして、不動産活用には一切取り組んでこなかった。だが今後は、立地を生かし複合ビルに衣替えして収益力を高めたいとしている。18年3月期の不動産事業の売り上げは前期比18%増の490億円、セグメント別の営業利益は0.9%増の65億円を見込む。不動産事業の稼ぎで、百貨店事業の収益の落ち込みをカバーする狙いだ。
同社の18年3月期の連結売上高は前期比0.9%増の1兆2650億円、営業利益は25%減の180億円、純利益は33%減の100億円の見通しで、厳しい決算が続く。そのため、20年度に営業利益500億円としていた目標を取り下げざるを得なくなったわけだ。
■J.フロントは不動産事業を収益の柱に据える
時価総額で初めて首位に立ったJ.フロントは、早くから百貨店に依存しない事業モデルを構築してきた。そのひとつが不動産事業だ。4月に森ビルなどと組み、松坂屋銀座店跡に商業施設「GINZA SIX」を開業した。同施設は初年度から利益貢献する見通しだ。
J.フロントは18年2月期決算から日本基準から国際会計基準(IFRS)に移行する。日本の会計基準とIFRSでは売上高の算定方式が大きく異なる。
日本基準では顧客への販売金額をそのまま全額、売上高に計上するが、IFRSでは販売金額から仕入れ値を差し引いた販売マージンだけとなる。売り上げは表面上減るが、百貨店事業の実態を反映したものになる。
J.フロントは、大丸松坂屋百貨店とファッションビルのパルコが2本柱だった。これに不動産事業が加わることで、百貨店事業の比重は売上収益(売上高に相当)ベースで53%まで下がる。“脱百貨店”の事業モデルに転換できていることを数字が如実に示している。
三越伊勢丹HDは自前の売り場づくりにこだわるあまり、流通業界の大きなトレンドから取り残された。百貨店の雄と称された三越伊勢丹HDの復活の足取りは重い。
(文=編集部)
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