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地に堕ちた?!国産ジェット旅客機。三菱MRJ、5度の延期はなぜ起きた
http://gansokaiketu.sakura.ne.jp/newsindex4-naiyou.htm#2017-06-08-地に堕ちた?!国産ジェット旅客機。三菱MRJ、5度目の延期はなぜ起きた
地に堕ちた国産ジェット旅客機。三菱MRJ、5度の延期はなぜ起きた?
http://www.mag2.com/p/news/252035
国産初の小型ジェット旅客機として日本中の期待を一身に背負う三菱MRJですが、三菱重工業は先日、初号機の納入について「5度目」の延期を表明しました。当初日程から5年以上もの遅延になるとあって、悲観的な報道も多数見られます。そこには一体どのような問題が横たわっているのでしょうか。メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』の著者で航空機事情にも精通する作家・冷泉彰彦さんが、その原因を探ります。
三菱MRJ、5度目のデリバリー延期の原因とは?
日本にとって久しぶりの民生用量産航空機となる三菱MRJですが、今回は5回目となる納入時期の遅延が発表になっています。これで納入時期は、2018年半ばということになり、当初日程から5年以上の遅延となります。
この遅延により、発注者からのキャンセルを招く危険だけでなく、ライバル社による後発機種に、納入時期で先回りをされる可能性もゼロではなくなってきました。
モノづくりということでは最先端を行っている日本の製造業で、しかもお得意のはずの「輸送用機器」というカテゴリで、どうしてこうしたトラブルが連続するのでしょうか?
一部には、三菱という企業に「上意下達」のカルチャーがあり、現場からのネガティブ情報が上がりにくいとか、あるいは、日本独特の形式的なコンプライアンス病のために、動きが取れなくなっているという解説があります。
ですが、問題は別のところにあると思います。
今回のトラブルは空調の監視システムが「故障の警告」を出したにも関わらず、空調は正常に動いていたという問題です。そこで監視システムのコンピュータを入れ替えたのだそうですが、問題解決が長期化しそうだったので、試験初号機を日本からアメリカに移送するのを延期することとなった、というストーリーです。
また、前回の2016年に起きたトラブルは、空調配管のセンサーに米国製を使用していたために、不具合の対応に時間がかかったというものでした。今回の問題と、2016年の問題が関連しているかどうかは現時点では不明ですが、2016年の問題は「空調のセンサー」という重要な部品に「国産品が使えない」ということでした。
その他にも、使用していたケーブルが「航空機用の規格を満たしていなかった」という問題が出たこともあります。
そもそも航空機用の企画とは、何なのか
確かに日本の産業界は、ケーブル、センサー、マイコンといった部品の製造ノウハウとしては今でも世界の最高水準をキープしていると思います。ですが、航空機用の部品には独特の規格があり、それを満たしているという証明が取れているかというと必ずしもそうではないのです。
航空機用の部品に必要な規格といっても、統一されたものがあるわけではありません。例えば「ボーイング規格」とか、「エアバス規格」というようなメーカー別のものがあり、その他に各国の軍による「ミリタリー規格」というものがあります。
規格というのは、要するに強度や信頼性ということですが、内容は複雑で、例えば「ねじれ」や「曲げ」に対する強度、高温や低温に対する耐性、更には「防カビ性能」まで問われるという厳しいものです。
こうした「航空機用の部品の規格」ですが、発注者(航空会社など)が、オーダーを入れる際に「この規格は満たしてください」というリクエストを入れることもあれば、厳しい発注者の場合は、そもそも「規格を満たした部品」しか認めないという場合もあるわけです。
所定のコストで、この厳しい規格にパスするというのは、一種の職人的なノウハウに加えて、技術的には特許等で守られているものもあり、実は日本のエレクトロニクス業界では、必ずしも対応が進んでいるとは言えないのです。
ですから、今回のMRJの場合は「うっかり規格の取れていないもの」が使用されたとか、規格にこだわると海外製の部品を使わざるを得ないなど、試行錯誤が続いているのです。
悲観論が奪う日本の航空機産業の未来
残念なことですが、YS11というプロペラ機の後、「YX計画」という中型ジェットの開発を断念して以来、民生用の航空機製造から「手を引いていた」という「空白期間」があったために、日本の航空機産業全体として、こうしたハンデが生まれているわけです。
そう考えると、今は大きな正念場に差し掛かっていると思います。一部には「またか」というため息とともに、悲観論めいた論調も見られます。ですが、ここでしっかり応援をして行かなくては、このまま日本の航空機製造に関しては「最終メーカーになる」チャンスが永遠に来なくなるという危険性もあるわけです。あくまで前向きに見ていきたいと思います。
image by: WikimediaCommons(CHIYODA I)
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