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有識者会議の様子
安倍政権、「国立公園満喫プロジェクト」始動…急増する外国人観光客を国立公園に誘導
http://biz-journal.jp/2017/06/post_19374.html
2017.06.08 文=山田 稔/ジャーナリスト Business Journal
インバウンド(訪日外国人客)の増加が止まらない。日本政府観光局公表のデータによると、4月は前年同月比23.9%増の257万8900人で、単月として初めて250万人を突破し、過去最高を記録した。5月13日時点で1000万人を超えたことも明らかにした。1000万人突破は、これまでもっとも早かった昨年より23日も早い。
環境省の「国立公園満喫プロジェクト」には、増え続ける外国人たちを国立公園エリアに誘導して地域活性化につなげようという思惑が見える。
この事業は2020年のインバウンド4000万人を目標としている政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」の施策のひとつで、20年までに国立公園のインバウンド利用者数1000万人を目指すもの。先導的モデルとして選定した8つの国立公園に地域協議会を設置し、ステップアッププログラムなどの策定に取り組んでいる。モデルとして選ばれた国立公園は次のとおり。
・阿寒国立公園
・十和田八幡平国立公園
・日光国立公園
・伊勢志摩国立公園
・大山隠岐国立公園
・阿蘇くじゅう国立公園
・霧島錦江湾国立公園
・慶良間諸島国立公園
■ようやく当たり前のことに着手
阿寒国立公園
プロジェクトではこれまでに5回の有識者会議を開催し、観光の専門家らからアドバイスを受けながら取り組みを進めている。昨年9月には各公園に地域協議会を設置し、12月には各地域協議会で「ステップアッププログラム2020」を策定した。
また、今年5月12日に都内で開かれた5回目の有識者会議では、現在の取り組み状況が報告された。具体例として、以下のような事例が挙げられた。
・地方自治体、他省庁との連携
・ファムトリップ(誘客促進のための現地視察ツアー)の実施
・「全国温泉地サミット」の開催
・廃屋撤去、「山の駅」の整備
・観光地間を結ぶバスの試験運行
・成田空港や全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)の機内で8公園のプロモーションビデオを放映
・オフィシャルパートナー(31社)との連携
さらには、公共施設の民間開放として、展望台に民間のカフェを導入した例も紹介された。
これまでのところ、アッと驚くような画期的な取り組みは見当たらないが、興味深い例はいくつかあった。それは、「引き算の景観改善」として紹介されたもので、阿寒や日光における廃屋撤去や、十和田八幡平の登山口の標識・看板の整理統合、日光の電線地中化などだ。地元自治体と連携し、大きな予算をかけずに景観を整備・改善するという、当たり前だが欠かせない施策である。
「日本の国立公園には私有地が多く、廃墟となったホテル、ガソリンスタンドの跡など、景観を損なう建物が各所で見られます。国立公園のプレミアム化、ブランディングを図るのであれば、景観を美しく維持管理するのは最低限の責務で、これまで放置してきたことがおかしいくらいです。ようやく当たり前のことが始まったという感じです」(観光に詳しいジャーナリスト)
■ヨセミテやイエローストーン並みの世界ブランドにできるか
素晴らしい大自然と地域に育まれた伝統文化と食事。その魅力やポテンシャルを、いかに訪日観光客に伝え、滞在に結びつけていくのか。まだまだ課題は山積している。有識者会議でも意見が出されていたが、バックパッカーから富裕層にいたるまで、あらゆる階層に向けた滞在拠点の拡充、外国人の意向に沿ったアクティビティの充実、国立公園の魅力の伝達方法の確立など、やらなければならないことはいくらでもある。
一方で、大自然の植生や動物たちの生育環境、景観を損なうような開発は許されない。大自然の環境維持とインバウンドの誘致を両立させることが不可欠だ。
海外の国立公園で当然のように実施されている、エリアに応じた入場料の徴収も必要だろう。1872年に世界最初の国立公園として誕生したアメリカ・ワイオミング州のイエローストーン国立公園は、自動車1台当たり30ドルの料金を取っている(ワイオミング州政府観光局HPより)。アメリカには、ヨセミテやグランドキャニオンなど世界中から観光客を惹きつける国立公園が多い。
満喫プロジェクト実施にあたり昨年7月、丸川珠代環境大臣(当時)が職員を伴いイエローストーンを訪れ、同公園の所長代行から運営体制や財政状況、訪問客増加への対応策など話を聞いたという。プロジェクトの主体となる環境省が、世界の国立公園の運営実態をどこまで把握しているのか。それを日本流にどうアレンジしていくのか。民間との連携も欠かせないが、安易な規制緩和は禁物だ。きちんとコントロールしながら訪問客を増やしていくべきだろう。
単に数値目標を追うだけでなく、日本独自の国立公園文化や観光客との交流のノウハウを構築してもらいたいものである。
(文=山田 稔/ジャーナリスト)
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