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日本銀行の“株価”とも称される日銀出資証券の価格は、日本経済に対する期待のバロメーターとなっているが、長期凋落傾向にある Photo by Ryosuke Shimizu
日銀の“株価”は長期低迷 黒田時代もピーク時から6割減
http://diamond.jp/articles/-/128818
2017.5.26 加藤 出:東短リサーチ代表取締役社長 ダイヤモンド・オンライン
東京証券取引所のジャスダック市場に日本銀行の出資証券が上場されている。これは、一般の株式会社の株式に相当するものだ。黒田東彦氏が日銀総裁に就任した2013年3月にその価格が9万円台へ跳ね上がったのだが、その後は下落傾向が続き、今月は3.6万〜3.7万円で売買されている。
日銀は株式会社ではなく認可法人で、その資本金は1億円だ。日銀法は「日本銀行の資本金のうち政府からの出資の額は、五千五百万円を下回ってはならない」と定めている。実際、16年3月末時点で政府の出資は5500万8000円、残りの4499万1000円は民間等の出資だ(うち個人は3999万1000円、千円未満切り捨て)。
1億円のうち、民間保有分は45%しかないので、市場で取引される日銀出資証券は少ない。その上、実は購入しても投資家にとっての魅力はあまりない。
第一に、配当利回りが低い。日銀の剰余金(利益)から出資者への配当は、日銀法によって払込出資金額に対して年5%以内に制限されている。15年度は総額500万円が出資者に支払われており、16年度も同様だろう。1口(100円)の配当は5円で、市場価格を3.7万円と仮定すると、利回りは0.014%にしかならない。
第二に、この出資証券を保有しても、株主総会に相当する出資者総会は開かれておらず、日銀の経営への参加権は得られない。また、もし日銀が解散したとしても、残余財産の分配請求権は払込資本金額の範囲内に限定されている。
このように、投資妙味は本来あまりないはずの日銀出資証券なのだが、なぜかその価格は、日本経済の先行きに対する人々の期待のバロメーターとなっている。
日銀出資証券の価格はバブル経済絶頂期の1989年9月に、なんと73万円を記録。まさにバブルといえる価格だ。その後は見事に長期凋落傾向となり、08年9月には10万円を割り込む。白川方明・前日銀総裁の任期終盤である12年の平均価格は約3.7万円だった。
前述のように、黒田総裁が登場した13年3月には9.1万円へ急反発したのだが、やがて期待は剥がれ落ち、最近は3万円台後半で推移している。白川時代の終盤にほぼ戻ってしまったのである。
では、海外の中央銀行の株式(または出資証券など)はどうなっているのか。米連邦準備制度理事会(FRB)の地区連邦準備銀行の株式は各地域の銀行に保有されているが、非上場だ。英中央銀行のイングランド銀行は、かつては民間銀行だったが、1946年に国有化された。欧州中央銀行(ECB)はユーロ加盟国の中銀によって所有されている。
取引所に上場されているのは、スイス、ベルギー、ギリシャ、日本など両手の指の数に収まるといわれている(米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」)。
スイスの中銀の株価は16年に4割程度上昇した。その解釈は諸説あるのだが、同行のマイナス金利政策によって、当時スイス国債の多くは深いマイナス金利になっていた。中銀の株式の配当利回りは低いが、国債よりはまだましという判断で買った人がいたのではないかという声も聞こえた。
なお、日銀の場合、マイナス金利の国債を世界で最も大規模に購入している中銀であるため、将来的には赤字決算に陥る可能性がある。それが現実味を帯びてきたとき、日銀出資証券の価格はどういった動きを示すのかが注目される。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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