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近所で借りた畑で収穫した野菜を森本さんが見せてくれた(撮影/編集部・澤田晃宏)
食費は夫婦で月2万円 「めっちゃ楽しい」鳥取湯梨浜町の移住生活〈AERA〉
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170512-00000043-sasahi-life
AERA 2017年5月15日号
人口の東京一極集中が止まらない。地方創生の点からも、まだまだ元気な高齢者を地方に移住させ、活躍の場と介護が必要なときになれば継続的な支援が受けられる日本版CCRC構想。そのモデル地区となっているのは鳥取県湯梨浜町だ。ただ、縁もゆかりもない土地に高齢から移住するには気が引ける……。東京、大阪からこの町に移り住んだ二人の高齢者を訪ねてみた。「年を取るのは怖いですか?」――AERA5月15日号は老後の不安に向き合う現場を総力取材。
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関西圏からのアクセスがよく、より自然が豊かな鳥取県の湯梨浜町。アエラの調査では「農業」分野で高い評価となった。65歳以上の1次産業就業率が20%を超え、シニアの農業支援制度や休耕田、農地貸出制度なども整えている。
鳥取砂丘コナン空港からバスで約40分。県中部で人口約1万7千人の同町。名前は「豊富な湯量と上質な湯に恵まれた温泉」「特産の二十世紀梨」「日本海に広がる砂浜」に由来する。
「湯梨浜の生活は、めっちゃ楽しいです」
関西弁で記者を出迎えてくれたのは、15年4月に夫婦で移住した森本せつさん(74)だ。高齢者に人気のグラウンドゴルフ発祥の地で、日本海を見下ろす「潮風の丘」の麓に住む。
森本さん夫婦はともに大阪中心部で生まれ育ち、いつかは静かな場所で生活することを夢見ていた。湯梨浜には知り合いもいなかったが、海、山、温泉と三拍子揃い、年金だけで十二分に豊かな生活が送れるコスパに大きな魅力を感じたという。実際に暮らしてみると、湧き水は自由に使えるし、米や野菜、魚、果物はすべて近所からのもらい物でまかなえるなど、予想以上。農家や漁師として生計を立てる人が多く、余った作物は近所に配る文化がまだまだ色濃く残っていた。
「今日も玄関に、わらびが置いてありました。メモを置いて、名前を書いてもらうようにしてるんです。漬物なども夫婦で食べきれないほどもらい、昔は低血圧だったのに今では高血圧」
と、森本さんは笑う。
●夫婦で月5万の生活費
自分たちでも近所の農家から畑を借りて野菜を栽培しており、移住してからは、肉やチーズ、牛乳以外、買ったことがない。食費は月2万円程度。光熱費やガソリン代、医療費を入れても月の生活費は夫婦で5万円程度だ。1989年に別荘として買った75平方メートル、2階建ての自宅に住んでいるから、家賃もゼロだ。
ただし、そうした恩恵を享受できるのも、夫婦で積極的に町会に顔を出し、自ら地域に溶け込む努力をしてきたからだ。普段はいろいろなものをもらっているので、大阪に帰ったときは「大阪名物551蓬莱の豚まん」を大量に買って帰り、近所に配ることを忘れない。小学生向けの読み聞かせのボランティアもしている。大阪でステンシルアートの教室を開いていたほど絵を描くのが大好きで、題材になる本を借りに図書館に通ううちに、スタッフから声をかけられたのがきっかけだ。
お正月にぜんざいを食べる風習など鳥取にきて驚いたことをテーマにした「鳥取にきてびっくりぽん」など、オリジナルの紙芝居を準備する。
「絵という一芸があったことも、早く町に溶け込めた一因だと思います。いまではどんどん声をかけてもらって、老人ホームのボランティアや、町の観光ガイドもやってます。ゆっくり暮らすつもりが、何の用事もないのは月に2日くらい。でも、めっちゃ楽しいですわ」
●ネットワークが大事
湯梨浜町はCCRC事業を強力に進めるために、昨年12月、民間と協力して「湯梨浜まちづくり会社」を設立した。そこで活躍する新田雅樹さん(66)は東京からの移住者だ。新田さんはCCRCが想定するアクティブシニアそのもの。65歳から年金生活を送ろうとしたが、
「山登りに行っても、温水プールに行っても、高齢者ばかり。自分はまだまだ元気。年をとる順番を待っていては駄目。子ども世代に負担をかけたくないし、このままでは駄目だと思った」
湯梨浜町が地域おこし協力隊を募集していると知り、単身、湯梨浜町にやってきたのが昨年10月。いまは町有地を利用した住民交流イベントの企画運営や、住民交流施設の運営など、移住者も入りやすい地域コミュニティーづくりに奔走する。移住者は先の森本さんのように積極的な人ばかりではない。
「衣食住も大事ですが、それよりも大事なのがネットワーク。移住者がスムーズに移り住めるような仕掛けが必要です」
湯梨浜町では住宅の新築・購入に上限200万円の費用を助成。運転免許の取得に上限15万円を助成するなど様々な移住支援制度を設けている。独自の子育て支援も充実し、合計特殊出生率は2.26と県内トップだ。高齢者と若い世代双方にとって魅力的な町にすべく、今後は福祉、移住、観光などの総合相談センターも設置する計画だ。ただし、目下の課題は雇用だ。
「都会からの移住者には、職の要望がある。アクティブなシニアからは年金とは別に、お小遣い程度は稼ぎたいといった声が多い」(湯梨浜町みらい創造室の岩崎正一郎室長)
そのため町としても、繁忙期の農家の手伝いや旅館業務など小さな仕事を紹介できる体制づくりを急ぐ。「どーんとため込んだお金で悠々自適」よりも、小さな仕事で地域に貢献しながら、地元の人とつながっていく。そこに第二の人生としての楽しみや喜びを見いだせるかどうか。都会からの移住は、そこを自分の心に問うてみることから始まる。(編集部・石臥薫子、澤田晃宏、福井洋平)
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