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期待のテレワーク、日本に根付くか あいまいな境界、難しい労務管理
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170505-00000500-fsi-bus_all
SankeiBiz 5/5(金) 8:36配信
■「ながら勤務」防ぐ自己管理が鍵
米製薬会社メルクの子会社、MSD(東京都千代田区)に勤める渡辺菜採子(39)は、2人の子供を送り出すと、自宅からパソコンで書類を作り始めた。大学院で薬学を専攻した渡辺が担当するのは、新薬の承認に必要な申請書類の作成。平均して月2、3回のペースで、渡辺は在宅勤務する。
「仕事もプライベートも諦めずに頑張れるから、会社への帰属意識も高まった」と渡辺は言う。
家族は共働きの夫(44)と長男(9)長女(6)。出産後しばらくは午後4時までの時短勤務を選択した。が、3年前から出産前と同じフルタイムの勤務に切り替えた。MSDが2009年10月から導入した在宅勤務制度が、背中を押した。
「子供の送り迎えや、学校行事などがあり、時短勤務から通常勤務に戻すのには勇気がいる。でも自宅でいいなら、もっと働ける」
渡辺の表情は明るい。
◆強力なツール
ITを活用し、自宅や出先の作業拠点など、会社に出勤しなくても働ける「テレワーク」は、働き方改革を進める強力なツールだ。
遠距離通勤するビジネスマンや、本社から離れた地域を担当する営業マンの場合、テレワークにより移動にかかる“拘束時間”を、家庭やプライベートに充てられる。ある程度、柔軟な働き方もできるため、介護や子育て期の社員の離職防止や、障害者、高齢者の就労促進にもつながるとの期待もある。
16年10月24日、首相の安倍晋三は官邸で開かれた「第2回働き方改革実現会議」でこう訴えた。
「ライフステージに合った仕事の仕方を選択できる社会を創りたい。テレワークは子育て・介護と仕事の両立の手段として有効だ」
しかし、総務省の調査によるとテレワークの導入企業は15年末で16.2%にとどまる。導入の妨げとなるのが、労務管理の難しさだ。例えば対象の社員を限定すると、不公平感につながる恐れがある。また上司や周囲の監視がなく「怠けているのでは」という疑義や、逆に成果を求めるあまり「働き過ぎるかも」との懸念もつきない。
渡辺が勤めるMSDは、昨年4月に在宅勤務の日数制限や適用条件をなくした。対象は全社員。子育てなどの事情のある人だけが利用していては、独身者や子供のいない社員の不満が高まる。それを防ぐため、「誰でも使えて、最も成果を上げやすい制度」にするという経営判断だ。
ただ、全ての企業や業種が同様の対応をとるのは難しい。先行して導入した企業も、さまざまな工夫でハードルを乗り越えている。
英蘭日用品大手、ユニリーバの日本法人では毎週月曜日に、上司が部下の前週の勤務状況をチェックする。工場を除く全社員に在宅勤務を認める同社の労務管理は、基本的に「性善説に基づいた自己申告」だ。超過勤務が続けば優先順位の低い仕事を減らし、業務配分を見直すよう促すなど、管理職の負担は少なくない。
「働き過ぎていないか、業務が順調に進んでいるか−など、今まで以上に上司の資質と管理能力が問われる」とアシスタントコミュニケーションマネジャーの新名司はいう。
リクルートワークス研究所の調査によると、働く場所を「選べた人」と「選べなかった人」を比較した場合、女性は「選べた人」の方が平均2時間、労働時間が短かった。
一方、男性の場合、両者に明確な差がなく、「選べた人」では労働時間超過と時間不足の二極化が鮮明になったという。
主任研究員の萩原牧子は「育児や介護などの制約がない男性の場合、在宅勤務をすれば、際限なく働く危険性がある」と指摘する。
◆あいまいな境界
「いつでもどこでも働ける」というテレワークの特性は、裏返せば仕事とプライベートの境界があいまいになる、というデメリットにもなる。チームワークを重視し、大部屋で仕事をする日本型の働き方から脱却するには、自己管理の徹底が不可欠だ。
昨年7月から、社員3万人中1万8000人を対象に在宅勤務を制度化した三井住友銀行では、貸与するパソコンの接続記録で勤務時間の管理を徹底する。ダイバーシティ推進室長代理の金子元気(34)は「仕事の開始と終了にメール連絡を義務付けた。働き過ぎを防ぐための労務管理はテレワークには必須」と話す。
一方、仕事と子育ての両立支援のため、三菱商事は一部の社員に在宅勤務を認めている。
だが、就業中は託児を義務付け、会社と同様に業務に専念できる環境を条件とした。自宅での「ながら勤務」の防止を図り、オフィスの社員と同等の評価をするためだ。
◆普及のハードル
「外資系企業の場合、社員の仕事の範囲は決まっている。だが、日本企業は範囲が明確ではない」
米製薬会社メルクの子会社、MSD取締役の太田直樹(53)はこう指摘する。外資系企業の場合、経営者や管理職が社員に求める仕事の範囲は明確で、仕事の成果も、売上高や処理した業務量など数値化しやすい。一方、日本の場合は、社員の裁量で仕事はいくらでも増やすことが可能だ。こうした違いが、テレワーク普及のハードルになっている。
夫の転勤でやむなく退職した経験を糧に、テレワークコンサルタントの会社を立ち上げた田澤由利(54)は、日本企業の強みを生かしたテレワークの可能性を探る。「離れていてもチーム力を発揮できるシステムと、マインドの切り替えが必要」と訴える。
政府は3月にまとめた働き方改革実行計画で、テレワークの導入指針を17年度中に改定し、時間管理の方法を明確にすることを打ち出した。労務管理と人事評価の両面で、幅広い業種に対応した指針づくりは不可欠だ。(敬称略)
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