http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/468.html
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「『プライマリー・バランスの黒字化』が日本を滅ぼす7つの理由」のとんでも論
著者は次のような経歴だそうです。
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC-%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E4%BA%A1%E5%9B%BD%E8%AB%96-%E8%97%A4%E4%BA%95-%E8%81%A1/dp/4594077323/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1493607479&sr=1-1
藤井 聡(ふじい・さとし)
1968年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。京都大学大学院工学研究科修了。東京工業大学教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員等を経て、現職。また、2011年より第2次安倍内閣・内閣官房参与(防災・減災ニューディー ル担当)。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。03年に土木学会論文賞、05年に日本行動計量学会林知己夫賞、07年に文部科学大臣表彰・若手科学者賞、09年に日本社会心理学会奨励論文賞および日本学術振興会賞などを受賞。著書には『コ ンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』(育鵬社)、『国民所得を80万円増やす経済政策』(晶文社)、『超インフラ論』(PHP新書)など。
上を読んだ時点で、なぜ「京都大学大学院工学研究科修了」という工学系の方が経済の本を書いているのかと疑問に思います。
それはともかく、次の記事をまず読んでいただきたい。これがとんでも論であることは明らかですが、その根拠は引用の次に書きます。
(*以下記事引用開始:)
「プライマリー・バランスの黒字化」が日本を滅ぼす7つの理由=内閣官房参与 藤井聡
http://www.mag2.com/p/money/219536?utm_medium=email&utm_source=mag_W000000204_sun&utm_campaign=mag_9999_0430&l=scg07e43e9
「プライマリー・バランスの黒字化」が日本を滅ぼす7つの理由=内閣官房参与 藤井聡
2017年4月30日 ニュース
記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年4月25日号より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです
「国の借金」の嘘。財政健全化で貧困と格差はむしろ拡大していく
亡国への道を歩む日本
この度、『プライマリー・バランス亡国論』という書籍を、出版することとなりました。
今、日本が採用している「プライマリー・バランス(基礎的財政収支)」の「制約」がある限り、この国は確実に亡国の憂き目にあう――それがこの本の主張ですが、なぜそう主張できるのか、について、その「7つの理由」をご紹介したいと思います。
(1)PB制約のせいで「デフレ」が続く(そして貧困・格差社会が拡大する)
第一に、このプライマリー・バランス制約(以下、PB制約)がある限り、デフレは脱却できません。
そもそもこのPB制約とは要するに、「政府は、税収の範囲で、支出しましょう」というもの。
ですから、デフレで税収が少ない時代――には、支出がどんどん削られていきます。
ですが、デフレというのはそもそも「内需(消費や投資)が冷えこんでしまう現象」で、それを脱却するには「内需を拡大していくこと」が必要不可欠――なのに、政府の支出を削っていけば、デフレから脱却できるはずはない、ということです。
つまり、今日のデフレの最大の原因は、「PB制約にあり」というわけです。
結果、PB制約のせいで、国民は貧困に苛まれ、格差社会が広がっていく――というわけです。
(2)財政が悪化する
「PB制約」は財政健全化のために必要だ、と信じられています。
影響力のある実に多くの経済学者、エコノミスト、政治家、官僚の皆さんが、この説を信じています。というよりも彼らは、PB制約を守ること、イコール、財政再建だ、と考えている節すらあります。
しかし、これは完全な間違い。
そもそも、財政悪化の原因は、「デフレ」です。
日本は98年にデフレ化するのですが、その前後で、国債発行額はナント3倍近くに跳ね上がり、20兆円近くも増えています(10年平均が13.1兆円→32.4兆円)。デフレになれば、あらゆる経済活動が停滞し、税収が激減するからです。
出典:藤井聡 – Facebook
これが日本の「財政悪化」をもたらしています。
そして、「PB制約」はデフレを導きますから、「PB制約が財政悪化を導いている」という次第です。
それは、商売人がケチケチ(=PB改善)すれば、「目先の倹約」はできても、お客さんをどんどん失って、結局「貧乏」になる――という、至って当たり前の普通の話なのです。
Next: PB制約で「日本の産業競争力」が凋落、「地方の衰退」が加速する
(3)産業競争力や労働生産性が低下する
昨今、とかく「労働生産性の向上」や「産業競争力の強化」が必要だ、と言われるようになりました。
ですが、「生産性」が落ちて「競争力」が低下している最大の原因もまた、デフレなのです。
「産業競争力」の最大の源泉は、各企業の「投資」。
しかし、デフレであれば当然「投資」は冷え込みます。
しかも、「PB制約」があれば「政府」もまた投資しなくなります。実際、デフレになってから、日本の政府による投資は半分以下になりました。
※先進国で唯一公共事業を減らす日本の不見識 – WEDGE Infinity
このままでは、私たちの社会を支えるインフラの「維持」すら不可能となります。そうなれば、私たちの社会の国際競争力はさらに一気に凋落するでしょう。
さらには、デフレになれば「科学技術力」も低下します。これが日本の産業競争力を根底から衰弱させます。
※【藤井聡】鮮明になる日本の科学技術の凋落――「PB緊縮財政」が日本をここまでダメにした – 新経世済民新聞
つまり、PB制約は、デフレを導いて民間投資を冷え込ませると同時に、直接的に政府投資を冷え込ませると共に、科学技術力の凋落も導き、このトリプル効果によって競争力を低下させているのです。
さらには、「労働生産性」が低いのも、デフレが原因。
そもそも労働生産性は、「労働1時間あたりが生み出した付加価値の合計」。そして、付加価値の国民全体の合計がGDP。したがって、GDPが減れば労働生産性は下がって、増えれば上がる、のは当たり前です。
だから、PB制約がデフレを導き、GDPの縮小をもたらし、最終的に、日本の今の低い労働生産性の低下をもたらしているのです。
※【藤井聡】日本経済の「供給力」「生産性」を破壊し続ける消費増税 – 新経世済民新聞
つまり、経産行政で今、最も重視されている「労働生産性」や「産業競争力」を、PB制約は実に様々なルートを通して凋落させているのです。
(4)地方を衰退させている
「シャッター街」や「地方消滅」というキーワードに象徴されるように、今全国各地の地方衰退は深刻な水準に達しています。
これには2つの重大な原因があります。
第1の原因は、デフレ。デフレだから皆、相対的にビジネス環境がよい、都会に人も企業も流れていくのです。結果、デフレになれば東京一極集中と、地方の衰退が同時に加速していくのです。
※藤井聡:「デフレ脱却」こそが各種都市問題の「抜本的な処方箋」である – 京都大学 藤井研究室
もう1つの原因は、地方のインフラ不足。新幹線も高速道路も、首都圏、三大都市圏、太平洋ベルトには豊富に作られていますが、地方部にはほとんど作られていません。これが、地方の衰退を加速させているのです。
※【藤井聡】「真剣」に国土強靱化・地方創生を目指すのなら…… – 新経世済民新聞
そして、PB制約はデフレ化と、地方へのインフラ投資の抑制の双方を導いています。このダブルの効果で、PB制約は地方を疲弊させ続けているのです。
Next: 国防・防災力が低下し文化は衰退、日本人が日本人として生きられなくなる
5)国防・防災力が下がる
PB制約は、直接的な政府活動を著しく制約します。結果、PB制約のせいで、防衛投資や、防災対策・強靭化投資が不十分にならざるを得ません(とりわけ、社会保障費が拡大の一途を続けている今日、PB制約による防衛・防災投資の抑制効果は深刻です)。
結果、PB制約のために、巨大災害や極東有事などが生じた時、大量の人命が失われ、二度と回復できないほどの深刻な被害を受ける危機が高まっています。つまり、PB制約は、日本が今までのように、「主要先進国の一員」で存在し続けられないような危機を拡大させているのです。
しかも、日本の巨大な経済力や、今よりも大きな国防力があれば、日本への国際的協力や連携同盟要請が拡大していくと同時に、仮想的な敵国からの攻撃リスクを抑止していくことも可能となります。
しかし、PB制約によって、デフレ化して経済力が衰退し、国防力も縮小していけば、仮想敵国からの攻撃リスクはさらに拡大します。例えば、日本の経済力が中国よりも圧倒的に大きかったデフレ化前の時代には、尖閣問題は皆無であったことを思い起こせば、相対的国力と有事リスクは直接関連していることは明白です。
つまり、PB制約は単に軍事的国防力を低下させているだけでなく、有事を呼び込むリスクそれ自身も拡大させているのです。
(6)文化が衰弱する
PB制約は、こうして私たちの命や財産の安全保障を棄損しているのみならず、私たち日本人の文化や教養も毀損しています。
そもそも文化もまた、「投資」によって維持され、発展していきます。
しかし、PB制約によってデフレが継続すれば、官も民も投資を縮退させますから、文化が衰退することは避けられません。特に、PBによって直接活動が抑制されている政府の文化活動は大いに縮退します。
「衣食足りて礼節を知る」―――と言われますが、デフレで衣食が不十分になれば、金儲けのために礼節、さらには、文化や教養があらゆる側面で蔑ろにされてしまうのです。
例えば、この報道は、そうした日本の文化や教養力の衰弱を端的に象徴するものと言えるでしょう。
※「観光のがんは学芸員」山本幸三地方創生相が発言 – 産経ニュース
つまり「PB制約」は、私たちの経済的豊かさや安全保障を毀損しているだけでなく、日本人が日本人であるための文化や教養すら、毀損し始めているのです。
Next: このままでは日本は近い将来、メキシコレベルの「後進国」になる
(7)日本が後進国化する
PB制約を日本政府が持ち続ければ、デフレは確実に継続します。その結果、このままデフレが続けば、かつて2割弱もあった日本のGDPの世界シェアは近い将来、メキシコ程度の水準にまで凋落することは避けられません。
※【藤井聡】 日本は25年で、「後進国」化する。 – 新経世済民新聞
同時に、産業競争力も生産性も、はては文化の力それ自身も衰微の一途を辿っています。
これはつまり、日本が近い将来に「後進国」の地位に凋落することを意味しています。
しかも、私たちは自然災害や軍事的な危機に対する強靱性も衰弱し続けています。したがってひとたび何らかの「有事」があれば、十年、二十年という年月を経ずとも、近い将来、私たちは一気に「後進国」に凋落することも十分に予期されるのです。
つまり、PB制約を日本が持ち続ける限り、「日本が後進国化」してしまうことは、避け難い、確定的未来なのです。
以上、PBが如何に日本の「亡国」を導く恐ろしい制約であるかを、ここでは簡潔にまとめました。
読者の中には、ここでの指摘は、過度に悲観的なものではないか――と感じた方もおられるかもしれません。しかし決してそうではない、という一点を、最後に強く強調しておきたいと思います。
なぜなら、今日本はデフレであり、それによって確実に後進国化しつつあり、周辺には北朝鮮、ロシア、中国、アメリカという極めて好戦的な核保有国に囲まれており、しかも、世界中どの先進国にも存在しない、深刻な巨大自然災害の危機に直面しているのです。
ところが、PB制約があれば、政府は最悪の諸事態を避けるための、
「自由」
を奪われてしまうのです。そうなれば、数々の危機に翻弄され、亡国の憂き目にあうことは避けられません。ですが、PB制約が解除されれば、政府は再び、
「国を救うための自由」
を手に入れることができるのです。
そうした自由を私たち日本国家が手に入れるためにも――まずは、「PBによる亡国」をしっかりとご理解いただきたいと思います。
PS1:「PB亡国論」にご関心の方は是非、下記をご一読ください。
※『プライマリー・バランス亡国論』藤井聡 (著) – Amazon.co.jp
PS2:「PB亡国論」について、三橋貴明さんと対談いたしました。ご関心の方は是非、下記ページをご覧ください。
※【特別対談映像】藤井聡(内閣官房参与)×三橋貴明(経済評論家)
【関連】さらに貧困化する日本人。「エンゲル係数急騰」本当の理由=内閣官房参与 藤井聡
【関連】消費税は廃止しかない。財務省データで暴く財務官僚「亡国の過ち」=矢口新
【関連】年収400万円層が知らない本当のルール。富裕層になるたった1つの方法とは=鈴木傾城
(*以上記事引用終わり)
さて、とんでも論であることは納得が行かれたでしょうか?
1.悪いことは全てデフレが原因であり、デフレを止めればすべてが良くなるという議論になっています。これ、小泉改革の郵政民営化論によく似ています。
2.「今、日本が採用している「プライマリー・バランス(基礎的財政収支)」の「制約」がある限り、この国は確実に亡国の憂き目にあう」との記述は他の国はプライマリー・バランス(基礎的財政収支)」の「制約」が無いような印象を与えますが、違います。どの国であれ、必ず、税収の中で国家事業をやっていくしかないのです。
3.「日本は98年にデフレ化するのですが、その前後で、国債発行額はナント3倍近くに跳ね上がり、20兆円近くも増えています(10年平均が13.1兆円→32.4兆円)。デフレになれば、あらゆる経済活動が停滞し、税収が激減するからです。」
この記述そのものがデフレを解消しようとして日本政府が打った手が実効性が無かったことを証明しています。プライマリーバランスを悪化させて国債を大量発行しても、デフレ傾向は止まりませんでした。効果のないことをより大規模にやれと言うのがこの記事の主張であることが分かります。
4.「しかも、日本の巨大な経済力や、今よりも大きな国防力があれば、日本への国際的協力や連携同盟要請が拡大していくと同時に、仮想的な敵国からの攻撃リスクを抑止していくことも可能となります。」
国家のリスクはデフレさえ解消すればすべてが無くなるわけではありません。少子高齢化とか、大規模地震はデフレであろうとなかろうと大きなリスクとしてあるのです。更に、単に財政だけを考えても、今のような状況を続ければ、一気に財政破たんへ追い込まれるでしょう。その時には国家公務員でも生活は行き詰りますよ。
そのほか、いろいろと指摘できる点は数限りなくあるとさえ思えるほどのとんでも論ですが、問題は、国内だけでなく、国際的な好循環のなさにあります。
昔は、社長がより収入を増やそうと思えば、社員の待遇をよくしてよりがんばって働いてもらうことが一番の手段であったのです。これによって好循環が生まれました。
今は、違います。資源や資産の独占が出来てしまい、それが全ての点でデフレを作り出しているのです。国際的にも国内的にもです。問題は、アメリカや日本の超資産家による、資産だけでなく、マスコミや政治権力の独占なのです。
国の制度、または国際的なルールがそういった独占を許すものになってしまっていて、それが一般市民の展望を、つまり、まともに働けば明日はよりよい生活を送れるという希望を打ち砕き、それがデフレを招いています。
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