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日銀の金融システムリポート
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52935392.html
2017年04月19日 在野のアナリスト
日銀が金融システムリポートを発表しました。「自己資本比率は規制水準を上回っており、安定性を維持」とします。「収益力が下押しされてもリスクテイクできる」とも。しかし金融機関が提供するサービスは「均質で代替性が高く」競争が激しいから、不安定化する恐れがある、とも。ひどい物言いですが、要するに日銀が長期金利をゼロにはりつけ、金融機関は収益力が低下しても大丈夫だろうけれど、金融機関の努力が足りずに同じようなことをしているから、破綻するところが出てくるかも、と述べているのです。簡単に言えば、もし金融システムが不安定化しても、自分たちのせいじゃない、お前たちのせいだ、とでも言いたげです。
それでいて金融機関が収益維持のために、過度なリスクテイクをとると過熱し、リスクだとします。また収益低下に歯止めがかからなくてもリスクだ、と。要するに、金融機関はほどほどのリスクをとり、新しい商品を開発するなど自己努力で収益を回復しろ、という何とも都合いい結論です。すでに地銀や信用金庫など、外債に手をだして厳しい環境にある、ともされます。リポートの中でも不動産投資の伸びが気になる、とはかかれますが、だからどうする? という提案はない。問題意識のもち方から対応に至るまで、日本の中央銀行としては些か心配になるほど、能力不足が否めない内容となってしまっているのでしょう。
最近の日本の株価は、米国株の動きを予想して売買がすすむ、といった傾向があります。為替の連動性を離れ、また売買が低調な中で、アルゴリズム取引はその日の晩の米株の動きを予想し、売りや買いを傾ける。しかもその予想が外れてもすぐに解消するのではなく、じっくりと取引する。当然、想定の範囲以上に動いてしまえば異なるのでしょうが、今はそうした市場環境にない。上値は重く、下値は日銀が控えており、底堅い。そこでそんな取引が増えているのでしょう。
金融機関はそうやって新たな仕組みを生み出し、収益を得ようとする。以前は株と債券との仕組みであったり、少し前は為替との連動だったり。そしてそれが広まり、対抗策が打たれたり、環境が激変したりするとそれが廃れ、新たな仕組みが生まれる。日銀の言うようなリテール部門だけをみて、均質などという話ではないのです。自己資本取引の部分は以前と比べると著しく低下しましたが、金融機関とて生き残るために必死なのです。
政府が日銀審議委員人事で提案したのは、緩和派の片岡氏と、バンカーの鈴木氏で、バランスをとったつもりでしょうが、今でさえ黒田日銀総裁の意を忖度した緩和派が多いにも関わらず、一人ぐらいの銀行出身者を入れたとて、状況が変わることはありません。安倍政権は今、黒田バズーカを見直されては困る、ということなのでしょうが、事実上日銀が緩和を継続するにも青息吐息のような状況です。
もし本当に消費者物価が上昇すれば、日銀は長期金利をゼロ近傍で張り付かせるために行っている買いオペにも、膨大なコストがかかる。そしてそれは事実上、日銀による財政ファイナンスとの指摘もある。しかも国債を高値掴みしてしまえば、日銀が買いオペを止めた途端、価格下落に伴う巨大な損失が生じることにもなりかねません。
実は、日本の金融システムを一番不安定化させる要因は、日銀がため込んでいる資産、その価値ともいえるのです。信用棄損にもなれば、それこそ日本の金融は崩壊することにもなるでしょう。米FRBではじまったバランスシート縮小、ナゼそれが必要か? それすら話題にならない日銀に、日本の金融をゆだねることこそ最大のリスクとも言えるのでしょう。金融システムリポートより、日銀の健全性についてのリポートを出す方が、よほど説得力もありますが、「ロクでもない黒だ」総裁では金融システムの改善すら望み薄、といえるのでしょうね。
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