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空爆は、シリアの軍事基地を破壊しただけではなく、米ロ蜜月関係をも壊した Photo:REUTERS/アフロ
米シリア攻撃で原油価格上昇の条件は揃った
http://diamond.jp/articles/-/125018
2017.4.19 週刊ダイヤモンド編集部
原油価格は空爆の一報が伝わると急伸した。しかし、このまま急上昇を続けることはなさそうだ。空爆の影響は早期に落ち着き、その後、価格は緩やかに上昇するという見方が大勢だ。
シリア空爆によって中東全体が手を付けられない騒乱状態になり、原油価格は一本調子で急上昇する……そのシナリオはなさそうだ。専門家の間では、空爆による価格上昇は早期に収束、その後緩やかに上昇という見方が有力だ。
確かに空爆が行われた日本時間4月7日午前9時40分ごろを境に、原油価格(ウエスト・テキサス・インターミディエート、WTI)は1バレル当たり51ドル台半ばから急伸。一時は同53ドル台後半に達した。
だが、すぐに空爆の影響は収まった。12日の米ロ外相会談で、対テロ戦で今後も協力することが確認されたと伝わると、原油価格は落ち着きを取り戻し、同52ドル台にまで下落した。
冷静に考えれば、この下落は当然だろう。シリアはそもそも石油輸出国機構(OPEC)の非加盟国で、原油生産量は他の中東諸国と比較しても少なく、原油供給に大きな影響を与える国ではない。それに空爆は限定的で、米国が過激派組織「イスラム国」(IS)打倒を最優先するというトランプ政権の中東政策を変更したわけではなかったからだ。
ただし、だからといって原油価格が凪の状態になるとはいえない。空爆によって原油価格の押し上げ要因が、中東以外で新たに生まれている。
それは、空爆がきっかけで米ロ関係が冷え込んだ影響で、対ロシア経済制裁の緩和が遠のくであろうことだ。
米ロ関係は決定的な対立こそ避けられたが、トランプ政権発足直後のような蜜月ではなくなった。米ロ外相会談の後、レックス・ティラーソン米国務長官は米ロの信頼関係は最悪だと言及している。
トランプ政権は、ロシアのクリミア侵攻がきっかけで始まった経済制裁を緩和すると公言してきた。
国内経済が疲弊するロシアも当然それを望んでいたが、空爆による関係悪化でそれも雲散霧消。11日までイタリアで行われた主要7カ国(G7)外相会合では、緩和どころか、ロシアにアサド政権へ影響力を行使させるために、制裁強化が協議されたくらいだった。
ロシアは原油輸出が主要な外貨獲得手段で、その価格が高い方が自国経済は上向く。経済制裁緩和が遠のいた今、自国経済維持のために、原油価格を上昇させなければならなくなっているのだ。
OPECは現在、原油価格を上昇させるために、6月まで協調減産することで合意している。ロシアは非OPEC加盟国として、この協調減産に今後もさらに積極的に協力する可能性が高い。
他にも、北朝鮮情勢で緊張が高まったことも、原油価格上昇要因となり得る。北米のシェールオイルの増産も始まっており、それが価格上昇を抑える要因となってはいるが、今のところ原油価格上昇圧力の方が強い情勢だ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部)
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